【新NISA】年初一括投資より月30万円のつみたて投資が勝る理由

「インデックス投資は年初に一括投資した方が得ですよ!」

新NISAが始まって2年目の2025年。投資系のSNSをチェックしていると、こんな情報が頻繁に目につきます。

こんな情報を信じて、せっかくのつみたて投資設定を変更しようとしていませんか?

確かに数字の上では、早く投資を始めた方が資産は大きく育ちます。

しかし、資産運用の成功を分けるのは単なる理論や計算ではありません。

実は投資が失敗に終わるか成功するかは、投資を続けられるかで決まります。

今回は投資の本質である「継続」という観点から、新NISAの年間投資枠計360万円を年初一括投資するより、月30万円のつみたて投資が優れている理由を解説します。

目次

暴落時に投資を続けるのは難しい

多くのインデックス投資家の方が「暴落が来ても上がるまで待てば良い」と豪語しています。

しかし、それは簡単なことではありません。

投資信託協会が実施したアンケートによれば、投資信託保有者の30%以上が20%超の損失に耐えられずに売却してしまうというデータが出ています。

出典:投資信託協会 調査広報室レポート(2022年9月)

さらに最も多くの割合を占めている『売却したことはない…』と『損失をしたことがない』の中には、そもそも含み損を経験したことがない人が含まれています。

そのうえ、このアンケートは現在投資を続けている人だけを対象とした調査ですから、損失に耐えきれず投資を諦めてしまった人は含まれていません。

それを考えるとこのデータをはるかに上回る割合の人が、含み損に耐えられず売却してしまったことになります。

理論上は売るべきではないと分かっていても、暴落でパニックになってしまえば冷静な投資判断などできるはずがありません。

長期間にわたり投資を継続するためには、いかに冷静さを失わないかが重要なのです。

「失敗だった」は冷静さを失う

暴落以外でも冷静な投資判断ができなくなるケースがあります。

それは「自分の投資判断が失敗だった」と感じた時です。

典型的なのが「塩漬け株」でしょう。長期間値上がりが期待できない株を持ち続けるケースです。

本来なら上昇の見込みがないと判断したなら、売却して他の銘柄に乗り換える方が合理的です。

しかし多くの投資家は、失敗を認めたくないがために売却できません。

これは暴落時のパニック売りとは正反対の行動に見えますが、冷静な判断ができていないという点では同じなのです。

では、一括投資とつみたて投資では、それぞれどのような状況で「失敗した」と感じるのでしょうか。

年初一括投資:暴落時の強烈な後悔

仮に年初に360万円を一括投資したとしましょう。

その直後に株価暴落に遭遇すれば「年初一括投資は失敗だった」と強く後悔するはずです。

また全資金を一度に投資しているため、含み損の額も大きくなります。

ただでさえ平静を保つのが難しい暴落時に、自分の投資判断についても後悔していたのでは、パニック売りに走ったとしても不思議ではありません。

月30万円のつみたて投資:上昇時にわずかな後悔

一方、毎月30万円ずつ投資している途中で株価が急上昇すれば「一括投資しなかったのは失敗だった」と感じるかもしれません。

しかし、利益が出ているのですから「投資を止めてしまいたい」などとは思わないでしょう。

つまり、一括投資の「失敗」は投資を諦めさせる強い感情を伴いますが、つみたて投資の「失敗」は投資を続けるうえで妨げにはならないのです。

「コロナショックを経験したから大丈夫」の大いなる勘違い

さて、ここまで読まれた方の中には「私はコロナショックの暴落を経験したから大丈夫」と思われている方がいるかもしれません。

しかし、コロナショック時のS&P500指数(円建てベース)は、わずか1ヶ月ほどで30%暴落の後、半年程度で元値まで回復しました。

そこから一気に株価が上昇し、いくども過去最高値を更新しています。

これは過去の大暴落と比べると極めて異常な回復スピードです。

実際、2008年のリーマンショック時には50%超の下落から回復まで4年以上かかっています。

投資を始めたばかりの初心者さんなら「怖いから少しずつ投資しよう」と慎重になる分、まだ賢明な選択ができるかもしれません。

中途半端に投資経験がある人ほど暴落リスクに対して甘くなるものなのです。

むしろ「コロナショック程度なら耐えられる」という過信の方がパニック売りへの近道になってしまうかもしれません。

インデックス投資家は誰も暴落を経験していない

意外に思われるかもしれませんが、インデックス投資は歴史の浅い投資手法です。

今ではインデックス投資信託の信託報酬0.1%未満が当たり前になりましたが、2010年代半ばは0.5%で「格安」といわれていた時代でした。

そして旧つみたてNISAが開始されたのも2018年です。

つまり、普通の人が手軽にS&P500や全世界株式に投資できるようになったのは、せいぜいここ数年。

SNSで年初一括投資を推奨している人の中に、インデックス投資で本当の暴落を経験した人は誰一人としていないのです。

まとめ

投資の成功は「計算上の結果」より「継続」が重要

年初一括投資は暴落時にパニック売りにつながりやすい

月30万円投資なら冷静な判断を保ちやすい

コロナショック経験は過信せず慎重な姿勢を

長期投資で大切なのは途中で止めないこと。新NISAで年初一括投資できる資金力があっても、つみたて投資で着実な資産形成を目指しましょう。

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この記事を書いた人

投資ブロガー兼ウェブライター

投資歴は20年ほど

投資初心者さん向けに全世界株式を主軸にした投資を勧めるブログを執筆。

趣味の投資枠で中日ドラゴンズのHR1本につきFANG+を1000円買付けるホームラン投資を実施中(日本一になったら売ります!)

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