必見!「年金」は何歳からもらい始めると得になる?損になる!?

皆さんこんにちは。金融商品を売らない投資と財務の専門家、BFPホールディングスの土居です。

本日は「運用と財務に特化したFP(ファイナンシャルプランナー)」として活動していると非常に多い、「年金の受給開始年度」についての情報共有と所感について、お話させていただきます。

後半は弊社の主観が入りますが、前半部分についてはすでに50代に差し掛かっている方にとっては死活問題となる情報が盛りだくさんなので、ぜひぜひご参考にしてください。

目次

基礎年金(国民年金)で知っておくべきこと

年金制度がどうだこうだ!という記事に関しては、わざわざ書くまでもなく様々なところに記載されているので省略します。皆さんが知っておくべき情報は以下の3つです。

  • 年金は、「早く貰う」ことも「遅く貰う」こともできる!
  • 前倒し(早くもらった)場合、1カ月に0.4%減額される。
  • 後倒し(遅くもらった)場合、1カ月に0.7%増額される。

※本記事は2024年11月時点の法令等をベースに記載。

やれ制度がどうこう、年代ごとの需給損得が・・・という話は、専門家や学者先生に任せておきましょう。多分その辺を議論してもどうしようもないです。

大事なのは、上記の通り「自分の意志で早く貰う・遅く貰う」ことを選択できる、そしてそれによって受給額が変わる!!というところだけです。

もう少し細かい話をすると、前倒しは最大5年、つまり最短「60歳から」貰い始めることができます。それに対して後倒しは最大10年、つまり「75歳から」貰い始めるようにすることが可能です。

これで一目瞭然!?年金損得早見表!

年金を「何歳からもらうと得なのか?」という議論をする上で欠かせないのは、「皆さんは何歳まで生きるのか?」、バッサリ言うなら「寿命」の議論が欠かせません。

いま、○○歳の人は何歳からもらい始めるのがお得だ!!という最適解があるなら、みんなそうします。議論する余地なんてありません。

というわけで、余り引っ張る意味もないので上記が基礎年金をもらい始める年齢と、それを基にした年金増減、そして何歳まで生きると損になるのか・得になるのかの一覧表です。

ちなみに本記事を執筆している2024年現在、厚生労働省が集計・発表している「簡易生命表(令和4年)」によると、2022(令和4)年時点での日本人平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳です。

そこに照らし合わせると、男性は70歳から貰うと得、女性は75歳から貰うと得、という結論に至るのですが、もちろんこれはそんな単純な話ではありません。皆さんは自身がが平均値より健康・不健康である、という観点から自己評価すると、どうですか?

「体力には自信がある!!」という方ももちろんいらっしゃるでしょうし、逆に「いやぁ、生活習慣やら、酒とたばこや労働やらで自信がない・・・」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このように、年金受給は平均寿命を基にした理論的最適解を基に、自身の健康状況と照らし合わせていただかないといけない問題となります。

しかも、話はこれで終わりではありません。

年金を受給せずに、生活できる資産はあるか?

仮に、仮定したように健康条件も問題なく男性は70歳から貰うと得、女性は75歳から貰うと得という前提で話を進めるとしましょう。

この場合、男性は60歳から70歳の10年間、女性は15年間、【自身の資産を切り崩しながら無報酬で生活する】必要があるのですが、これが可能な方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?

仮に10年、年間生活コストを300万円としても3000万円、15年なら4500万円です。少し贅沢したいなら生活コストを倍の600万円とすると、10年で6000万円、15年で9000万円もの出費になります。

ここで少し残酷な話をしますが、「皆さんの資産の状況および貯蓄、退職金の有無」は様々です。また、退職金はあるのか?厚生年金や厚生年金基金、企業年金はあるのか?などなどは皆さんのお勤めの状況などによっても、状況は様々です。

また仮に、上記の資産状況を満たしていたとしても【毎年毎年、口座残高が目減りしていく状況に耐えられるのか】という心理的な要素もあります。メンタルの強さなんて人それぞれですよね。仮に上記のような健康状態と理論的最適解が出たとしても、お金のプロを自称するFP・アドバイザーが「理論的にはこの数字とやり方が正しいんだ!!こうするべきなんだ!!」と押し付けるのは傲慢です。自分が正しいと理論武装している分、下手をすると無知のアドバイスよりたちが悪いかもしれません。

それ以外にも、運用を行っている方と資産の状況によっては「収入が途絶える60歳を境に、リスクある証券運用は辞めたほうがいい」のか、それとも(リスク許容度は多少調整するにしても)「運用を続けることを是とするのか」・・・考えるべきことは様々です。

先にも書きましたが、○○歳の人は何歳からもらい始めるのがお得だ!!という最適解があるなら、みんなそうします。そんなに簡単なものではありません。

とはいえ、ここまでの知識でも「知っている」のと「知らない」のとでは、天と地の差があります。ここまでを話の枕として、ここからは運用と財務に特化したFP(ファイナンシャルプランナー)」としての弊社所感を聞いていただけると幸いです。

議論すべき内容

まず、上記図表をベースに真っ先に考えるのは「皆さんが平均年齢以上に生きられそうか、否か」です。結論から言いましょう、「健康状態に不安がないなら、年金受給は後倒しにするほうがお得」です。資産やメンタル的に、できるか否かは別にして。

健康に不安がある、飾らずに言うなら「自分は早死にするだろうと思うお方は早く貰い始めて、資産も使い切り戦略で突き進む」のが得です。それを是とするか否とするかは置いておいて、想定以上長生きしてしまいすっからかんになったら最悪の最悪、生活保護という選択肢もあります。そういう意味では、寿命に不安がある方はある種、シンプルな選択となります。

話が少しややこしくなるのは、良くも悪くも多少長生きできそうで、かつ年金受給を後倒しにすることができる資産をお持ちの方。この場合、

1:皆さんのメンタル

2:資産の分量

これら2つの要素を基に、選択肢を絞り込んでいくことになりますが、実は最終的な結論は変わりません。

まず、資産の多い・少ないにかかわらず「預金が減り続けるという状況に耐えられない方」。この方の場合、「これ以上貯金が減ったら無理!!」という段階で年金受給し始めるようにしましょう。

弊社のロジックとしては、年金受給を後倒しにすると月0.7%、年8.4%増加するということは言い換えると【年利8.4%の運用リターンが確定している有価証券】です。低金利が続き日本においては(長生きできるという前提なら)こんなに有利な投資対象はありません。

何なら65歳からは、変動リスクがある有価証券を現金に戻し、そのお金で生活しながら可能な限りこの「固い投資運用」を行うべきです。投資リターンに連動する要素は株価ではなく、皆さんの健康と寿命です。少なくとも日経平均株やかアメリカのインデックスよりもコントロールは効くはずです。なに?効かない?じゃあ前提が間違ってる(=早死にリスクが高い)のでさっさと年金をもらい始めましょう。

ちなみについでに書いておきますが、なぜか投資を勧める専門家はもとより投資を行っている人も、「運用に回しているお金は増える前提」で議論する人がいます。が、弊社的にはこれ、非常に危険だと思ってます。

確かに「過去のチャート」を参照すると株価は右肩上がりですが、下がっている時期もあります。その【下がっている時期】が退職前後に重なってしまい、「長期的には株価は右肩上がり」だが、仮に60歳から70歳の間はマイナスリターン(含み損)の時期が続いたら・・・どうでしょう?

大げさに聞こえるかもですが、日本がバブル崩壊から持ち直す時期や、アメリカがリーマンショックから持ち直す年度などを参照すると決して大げさな前提ではありません。そのあたりを良く熟考するべきだと思いますね。

話を戻しましょう。

年金の受給後倒し=リターンが確定した固い証券、ととらえると、「貯金がすり減るという状況に、皆さんのメンタルがもつ限り」においては、可能な限り後倒しにするべき、というのが弊社の提示です。

さらにその上で。2つ目の要素「資産の分量」。分量とはいえ、資産が少ない場合そもそも選択の余地がないものとして、ここでは「資産が十分ある方」、まぁハッキリ言えばそもそも、年金なんてものに頼らず十分生活できるだけの資産を引退までに形成できている方ですね。弊社の投資学習や戦略作成のFP業務ではこれが理想・・・というか達成する前提のプランニング、そもそも「年金に頼らないといけない状態のまま引退を迎えた時点で次善の策」となっているわけですが、今回はそれはいいでしょう。

資産が年金に頼らなくてもいいほど十分にある場合、はっきり言って1の「メンタル的要素」の影響はほぼ皆無です。お金にあまり困らない生活をしたことがある方は分かっていただけるかもしれませんが、こういう状況になると貯金の額や値札なんて、そもそもあまり見なくなります。

もちろん定期的な資産見直しや、無駄遣いを防ぐという意味では大切ですが、「お金に縛られなくなる」という状況になるわけですね。ここまで突き抜けると、やはり(健康状況に問題がない限り)年金は後倒しがお得ですよ!という議論になるわけです。

え?年利8.4%以上で、負けることなく、絶対に資産を減らさず運用できる自信がある?それはそれで、素晴らしいですね。無理、とは言いません。実際に弊社もその程度は余裕で達成しています。

が、一方で。人生は「何が起こるかわかりません」。負けるときには負けます。

上記のようなリターンを出し続けられる投資家・投機家のかたであれば、こんなことは言うまでもなく身に着けておられる基礎ロジックだと思いますが・・・収入がなくなり、体や脳が弱っていく「老後」にそれを数十年達成し続けられる、もしくはお客様をそういった状況に導き続けられる自信があるなら、「引退後も、一生運用を続ける前提」であることを止めません。現預金資産が2~3億円以上あるなら、多少リスクを取ったところで問題なく生きられるでしょうし。

ここまでで書かせていただいた「年金後倒しを利回りが安定した資産」として考えて運用しなさい、というロジックは弊社の投資家としての経験、および財務・運用戦略特化FPとして人生がゲームオーバーになるリスクを可能な限り配した上での提案となります。

重ねて言いますがこの辺りは各専門家および退職者の皆さんの「好み」です。そこをご念頭に置いたうえで、基礎年金受給の参考資料としていただければ幸いです。

まとめ

長生きできそうか否かが第一に考えるポイント

余裕があるなら基礎年金受給は後倒しがおすすめ

メンタルと資産がそれを許容できるか否か

退職後のリスクの取り方はよく考えよう

最後に冷や水をぶっかけますが、弊社的にはそもそも書いた通り「年金に頼らないといけない状態で老後を迎えた時点で次善策、言い方は悪いですが落第に近い」と考えています。とはいえまぁ、ご年齢や状況的に、そうせざるを得ない方もいらっしゃることは理解していますので、次善、の選択を間違わないように老後設計しましょう。

最後に宣伝です。「年金に頼らない生活ができるよう、資産形成がしたい。でもどうすればよいのかわからない」。こんな方は、財務・運用戦略に特化した弊社「株式会社BFPホールディングス」にお問い合わせください。初回相談は無料なので、状況とお悩みを聞きながら、お役に立てることがありそうでしたら見積提案させていただきます。

知識は最大の投資です。これを機に、老後のプランニングについてぜひぜひいろいろとお考えいただけると幸いです。

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この記事を書いた人

「金融商品を売らない投資と財務の専門家」、株式会社BFPホールディングス 代表取締役。

株式・為替(FX)・不動産・事業投資など、総合的に投資を実行する現役の投資家兼アドバイザーとして活動中。2023年、書籍発行予定。

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