「ドロップキックしていい??」事業投資・M&Aをはじめたばかりのころ、失敗した話。

みなさんこんにちは!

本メディアを主幹しております、株式会社BFPホールディングスの代表、土居 亮規でございます。本日は弊社がアドバイザー・投資家として出資・買収・コンサルティングした企業・起業家さんの中でも思い出しただけでイライラ指数が上昇する、「失敗した理由と反省」の情報について、忘備録も兼ねて執筆させていただきます。

今でこそクリアな心境で書けていますが、当時はどいつもこいつも表題の通りドロップキックしてやりたい心境ではらわたが煮えくり返っていました。時間の経過というのは偉大ですね。

というわけで今回は、ハイリスクハイリターンで事業投資やM&Aをやっていきたいと考えている方は、ここでご紹介する弊社の失敗を、実行する際の参考にしていただければ幸いです。

目次

事業投資・M&Aの大前提

さて、事業投資やM&A・・・と言わず、全ての投資に言えることですが。

大々的に募集されている・売りに出されている、ということはこれすなわち「大なり小なり、何か問題があるから公開されて資金を募っている・売りに出されている」わけです。

皆さんもちょっと想像してみてもらいたいんですが、例えば売り上げが10億!!毎年2億利益が出ていて、資産や借り入れなどの財務体制や労働体制も問題ないです!!こんな企業が売りに出されたり、出資を募ったりすると思いますか?しないですよね。

事業投資やM&Aの場合はこの「大なり小なりの問題」を具体化して、買収・出資後「それが改善できるか」を加味し、もし改善できた場合「どんなリターンがあるのか」を比較分析し、「割に合う」と思ったら投資活動を行うわけですね。

で、この問題というのをざっくり書き出すと

  • お金が足りない(利益がまだ上がっておらず、自走できてない)
  • 事業が不採算(売り上げは上がってるけど赤字)
  • 運営体制に不安がある(経営システムが安定していない)
  • 人材に不安がある(後継者不足や人員不足)

等々が要素として挙げられるわけです。

このうち、「お金が足りない」「事業が不採算」「運営体制に不安がある」などに関しては、決算書などのデータを見ればある程度分かります。ですが最後の「人材に不安がある」に関しては、書類に表面化していない場合があります。弊社の最初期失敗例としては、この「人材」の部分ですね。

決算書には載りませんが、「人は資産になる」。良い言葉です。ただし言い換えれば、「人は負債にもなりえる」ということです。この辺りで最初期のころ痛い目にあったので、実例というかエピソードをまとめておこう!というのこの本記事の本題となります。

事業投資・M&Aをするときは「事業」だけでなく「人」に投資をするんだ!!という大前提を忘れないようにしましょう!!

ドロップキック1人目:カードローンくん

大前提2つ目・・・というには1つ目と関連があるような気がしますが、そもそもの話として事業がうまくいっていない場合、「人材」という要素の中でも「経営者自身が負債」であるというケースがままあります。

一口に負債といっても能力不足から体調の問題、もしくは求心力や価値観等々いろいろとありますが、弊社所感で事業を傾けて売りに出すような人が多い要因としては「お金にだらしない」という要素を持つ人が一定数いる、というのがあげられます。

お金にだらしないといってもこれまた様々で、決算がどんぶり勘定なだけの場合もあれば、表題の通りカードローンを引っ張っているケース、またクレジットカードや携帯の支払いをルーズにして信用棄損(俗にいうブラック)な方まで様々です。

事業の買収を行い、社長を挿げ替えるのであれば別に何の問題もないのですが、事業を買収して継続するM&Aや、出資を行う事業投資(エンジェル投資)においては、その代表社長をそのまま起用する、ということも珍しくありません。

そんな時に、本ケース。契約時にカードローンを引っ張っているなどの要因で銀行の新規融資が受けにくい状態である、もしくは買収・投資後、個人の遊ぶ金欲しさにカードローンに手を出して融資が受けられない状況に移行した場合。どうでしょう?想定していた事業の成長と躍進を、妨げることになりますよね?

これを過去にやりやがった大馬鹿野郎がいました!

当時は弊社も初心者だったので、買収する前に個人的な借り入れなどを申告させる「ヒアリングシート」、また社長として継続雇用する場合に締結する「業務委託契約(社長業)」において、この辺りを提出させて縛りを入れなかったのが失敗でした。

いや、自己弁護するわけではないですが、「そんなこと言わなくてもわかるだろう」と思っていたんですよ、当時の私は。でも、わからなかったみたいです。というか、わからないような人だったから、事業を傾けたんですね。タイムマシーンがあるなら過去に戻って、当時の自分にもビンタしたいです。

というわけで失敗談その1。「お金にルーズなやつはとことんルーズ。きっちり確認と管理をするようにしましょう」。いやほんとうに。彼らは想像のはるか斜め下を行きます。

ドロップキック2人目:∞自己資金くん

ところで、BFPグループの本業は「投資と財務の計画立案や実行補助」なわけですが、こういう仕事をしていると世間から見れば大きくずれた、不思議な人に良く出会います。

コロナ禍では特に多かったのが「融資を受けたお金は、自分のお金だと思い込む」人

「ワシはコロナ融資で○○円借りることができたんですよ!ガッハッハ」という、謎のマウントをとってくるおじさんですね。「それ、借金だよ?返さないといけないの分かってる??あと自慢するにしてもゼロの数が二つ足りない。最低10億以上にして出直してこいダボが。」と言いたくなる方であふれかえってました。

まぁ、顧客様であればやんわりと間違いを諫めていましたが、そうでない方と喧嘩してまで考えを正してあげる義理もありませんので、生暖かい目で優しく見守っておくにとどめました。

が。しかし。

他人事であれば放置で終わる話なんですが、これを出資・買収した経営者にやられるとなると、話が別。具体的にいうともう、出資だろうが融資だろうが「口座に入ったお金は自己資金だと勘違いする」、そんなマインドを持っている経営者、これはまずい。でも結構いるんです(当時はそんなバカばかりだと信じられなかったですが)。

経営者を庇うわけではないですが、これは事業投資(ベンチャー投資)業界の悪癖というか、ポジショントークも影響しています。ベンチャー投資界隈では、「将来、ストックとして回収できる売上が上がっていれば、赤字経営でも問題ない!!どんどん資金調達して、どんどん使おう!!」と、タガを外して盛り上げる傾向があります。

財務会計を預かることがある人間としては「何を言ってるんだ、まずは安定させて黒字化させるほうが大事だろう!!」と言うのですが聞く耳を持ちません。だって、起業家に投資をするエンジェル投資家・VC(ベンチャーキャピタル)からすれば、

1:「売上」と「利益」を積ませれば、上場したときの自分の利益が増える

2:調達を繰り返すことで、上場時に「目指すべき」時価総額目標が増えてやっぱり利益が増える

3:もしその自転車操業で事業が失敗しても、自分は出資した分を失うだけで、起業家がほぼすべてのリスクを背負う

という構図になるからです。で、どんどん資本を調達させて、金を使うことを覚えさせ、後戻りできなくするわけですね。最大限控えめに表現しても人でなしです。

話を戻しまして、M&Aにおいてはこういった「上場を目的で資本調達して頑張っていたが、どうにもならなくなったので売りに出された(ロスカット)」企業、というのも出てくることがあります。で、事業を買収した結果、本項目に書いた経緯で「代表者が壊れて」いた場合。これはもう、すごいリスクなわけですね。

カタログスペックだけ見れば、「○○億円の資金調達を達成した、ベンチャー経営者!!」「総売上○○円達成!!(利益ではない)」「UU(ユニークユーザー。ざっくりというとサービスのコンテンツ訪問ユーザー数)○○万人達成!!」等々。素晴らしい経営者に見えます。

でも実際は、流されるままに資金調達という積み木を積み続けて、走りきることができずに瓦解させた落伍者です。何も褒められることはありません。

というわけで失敗談その2。「ベンチャー経営者のカタログスペックなんて売りに出されている時点で立派に見えても失敗者。実績があるから任せよう、ではなくきっちりとハンドリングしよう」。悲しいけどこれが現実でした。見栄えを重視するベンチャー・事業投資の世界。でもこれがM&Aにまで流れてくるとなると、ベンチャー投資界隈の悪癖も加味して、厳しい見方をしましょう。

余談ですが、投資・出資・顧問先の経営者をこの経験からあまり信じないようにした結果、弊社の買収や事業投資のパフォーマンスがかなり良くなったような気がします。

まとめ

・事業投資やM&Aを行う時は、代表者の「金銭感覚」をしっかり押さえよう!!

・というか、金銭管理という一面においては基本的に信用するな!!

これです。

今回はドロップキックしたくなる人の失敗要因とプチ解説をいくつか書きましたが、これに類する話はまだまだあります。執筆未定ですが、次は「ラリアットしたくなる、事業投資・M&Aをはじめたばかりのころ、失敗した話。(仮題)」でその辺もお話しできれば幸いです。

最後に宣伝です。こういった事業投資やM&Aも含む、投資全般を緩ーく勉強したい方のための、「BFPゆる起業・投資学習交流会」を主幹しております。内容が気になる方は以下のバナーリンクより詳細をご確認いただき、情報配信や交流ができる無料公式Lineにご登録いただけると幸いです。

弊社の経験が皆様の何かお役に立てていただければ幸いです。

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この記事を書いた人

「金融商品を売らない投資と財務の専門家」、株式会社BFPホールディングス 代表取締役。

株式・為替(FX)・不動産・事業投資など、総合的に投資を実行する現役の投資家兼アドバイザーとして活動中。2023年、書籍発行予定。

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