最高値が視野に入った日経平均株価の動きを振り返り、今後を予想

2024年の日経平均株価は堅調に始まり、1989年につけた史上最高値(38、915円)が視野に入りました。今回は、過去に見られた「もちあい相場」の後の傾向、25日移動平均かい離率の動きなどから、今後の日経平均株価の動きを予想してみました。

目次

2023年の日経平均株価の動きを振り返る

2023年の海外要因としては、欧米などで金利引き上げの動きが一服したことがプラス材料となりました。堅調な米国の経済とインフレの減速が見られたことから、世界的に株価は上昇傾向となりました。

日経平均株価は、円安による企業業績の回復期待、3月に東京証券取引所が各企業に株価を意識した経営を要請したことなどを背景に上昇し、6月に33,700円台の高値を付けました。その後は、世界的な利上げの影響などを懸念し、10月には一時30,500円を割り込みましたが、年終盤には米国での緩やかな景気拡大、世界的な半導体需要の回復などが確認され、年末まで堅調に推移しました。

日経平均株価で見られる「もちあい相場」


ここでは、日経平均株価の長期的な推移を示してみました。

「もちあい相場」とは、景気などに不透明感があり上下に動きにくい場面のことです。株式相場の格言として「大もちあいは大相場の前兆」というものがありますが、これはもちあい相場の後にいったん方向性が出ればその方向に大きく動きやすいことを表しています。

過去にみられた「大もちあいの後の大相場」


(参考:dマネー2022年8月15日(https://money.smt.docomo.ne.jp/column-detail/500938.html?ref=tag-list_article

➀ 2005年夏場までのもちあい相場から、景気改善、郵政解散をきっかけに上昇

2004年5月から2005年7月までの日経平均株価は、10,500円台から12,000円までの間での推移が続きました。
2002年以降、回復していた日本経済は、2004年後半に「景気は踊り場にある」と伝えられ、日経平均も一定範囲内での推移となりました。
2005年夏に景気の回復が伝えられた頃、小泉首相は郵政解散を行い、衆議院選挙で自民党が圧勝すると、規制改革などが進むとの期待も高まり、日経平均株価は上昇し2007年に18、000円台に乗せました。

② 2012年終盤までのもちあい相場から、アベノミクスへの期待で大きく上昇

2010年から2012年終盤までの日経平均株価は、8,000円台から11,000円までの間での推移が続きました。
2008年のリーマンショックの後の欧州債務問題、世界景気の減速、2011年3月の東日本大震災、円高などが懸念され、日経平均株価は低迷しました。
2012年終盤に経済政策「アベノミクス」を掲げた安倍首相が誕生し、景気の改善を期待した買いが入り、日経平均株価は上昇し2015年には20,000円台まで上昇しました。

③ 2020年序盤までのもちあい相場から、米中摩擦解消、コロナのワクチン開発で上昇

2018年から2020年序盤までの日経平均株価は、18,000円台から24,000円台までの間での推移が続きました。
米中貿易摩擦の悪化、米国の長期金利が上昇したことなどが懸念材料となりました。さらに2020年序盤には新型コロナウイルス拡大による景気悪化懸念が台頭し、日経平均株価は一時16,000円台まで下げました。
2020年終盤になると、米中摩擦解消、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待感から日経平均株価は上昇し、2021年に30,000万円台まで上昇しました。

足元の「もちあい後の上昇相場」

④ 足元の相場

2023年6月に高値をつけた後の日経平均株価は、30、000円台から33,000円台までの間での推移が続きました。中国での景気減速、世界的な利上げの影響などが懸念されました。
2024年に入ると、米国での緩やかな景気拡大、世界的な半導体需要の回復などが確認され、上昇場面となりました。

④の場面でのもちあい期間(もちあい相場の期間)は過去のもちあい相場と比べて短いのですが、過去のもちあい期間と上昇期間の関係を振り返りますと、今年前半あたりは上昇が続くことが期待できそうです。

25日移動平均かい離率の推移

下図は、過去5年間の日経平均株価とその25日移動平均乖離率の推移を示したものです。

図で10%を超えたのは、米国での景気回復が確認された2020年半ばのみでした。
図にはありませんが、2017年以前では、異次元の金融緩和政策を打ち出した2013年の黒田日銀総裁の就任後、消費増税の見送りを決めて行われた2014年の衆議院選挙の直前などで10%を超えました。

この3つの場面の前後を除くと、第2次安倍政権の誕生直後や新型コロナウイルスに対するワクチン開発への期待感が高まった2020年11月、(後の岸田内閣を誕生させることになる)自民党総裁選挙の前である2021年9月などで、7%を超える場面が見られました。

大きな買い材料がある場合は、7~10%などの水準まで上がりますが、過去に高い水準を付けた場面と比べて、大きな買い材料が出ているかを考えてみることは参考になるでしょう。

今後の日経平均株価の展望は

2024年の日本株を予想する上では、内外の景気は必ずしも強気ばかりではないことなどが上値を抑える材料と言えそうです。
一方、世界の半導体の需要が好転すると見込まれることや、各企業が資本効率を意識した動きを見せていることなどがプラス材料と言えそうです。新NISAが導入されたことがプラスに影響している面もありそうです。

さらに、上昇要因として期待されますのは、春闘で賃上げの動きが示されることです。すでに賃上げを表明する企業もありますが、具体的な数字が示されます。この動きが個人消費を押し上げるなどの好循環につながれば、日経平均株価に良い影響を与えるでしょう。

春季労使交渉が始まるのは1月で、大企業の交渉結果がまとまるのは3月中旬となります。今年も、年序盤の上昇しやすい傾向が期待できそうです。

さらに今回取り上げましたように、「大もちあい」が見られた後の日経平均の動きを見ますと、いずれもある程度の大きさ(数千円単位)で上がってきました。このことも年前半の堅調な展開を示唆する経験則と考えます。

25日移動平均かい離率で日経平均株価の動きを見ると、プラス7%前後に上昇する場面では利益確定の売りで下落する場面もありそうです。しかし、過去の上昇場面のように25日移動平均の前後などでは下げ止まりやすい展開が期待できそうです。

この記事は投資経済マーケットについて学習および解説をすることを目的に作成されています。 投資や運用の推奨および加入や結果の保証を行うものではございません。 参考資料としてご活用いただき、運用を行う場合は自己責任でお願いたします。

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