政治イベントと日経平均株価の動きを振り返る

日経平均株価の動きを予想する上で、政治の動きは見逃せません。どのような首相候補がどのような政策を訴えるのか、政策が実現する可能性はどうなのか、政権を維持する力はどの程度あるのかなどは日経平均株価の動きに影響してきました。

各補欠選挙で自由民主党の候補が苦戦しているなか、9月29日には自由民主党の総裁選を迎えます。今回は過去の歴代首相別にみた日経平均株価の騰落率や、新しい首相が就任した後の日経平均株価の動き、衆議院選挙前後の日経平均株価の動きなどを振り返ってみました。今後の日経平均株価の行方を占う上で、参考にしたい点があります。

目次

各補欠選挙で自由民主党の候補者が苦戦

  • 4月28日に3つの衆議院補欠選挙が行われましたが、東京15区と長崎3区の補欠選挙で自由民主党は独自候補の擁立を見送ることを決めました。政治資金問題が逆風となり、自由民主党で候補者を立てましたのは島根1区のみでしたが、この選挙区でも議席を失いました。
  • 7月7日に行われました東京都知事選挙では、自由民主党が支援した小池知事が3選を決めましたが、同日に行われました東京都議会議員の補欠選挙で、自由民主党は9つの選挙区のうち8つの選挙区で候補者を擁立しましたが、選挙前に保有していた5議席を下回る2議席の獲得にとどまりました。

政治資金を巡る問題などから、自由民主党に対する不満・不信が有権者にたまっている可能性があります。都知事選挙の結果を見ますと、知名度の高い(立憲民主党などから支援を受けた)蓮舫氏も苦戦したことから、既存政党への不満・不信がたまっている可能性があります。

こうしたなかで、自由民主党は総裁の任期を迎えます。

管前首相は2021年9月3日に、同年9月29日投開票される自由民主党総裁選への立候補を断念しました(事実上の退任となりました)が、地方選挙での敗北がきっかけとなりました。同年7月4日に行われました東京都議会選挙で自由民主党が苦戦し、同年8月22日投開票の横浜市長選で管首相が支援した候補が落選しました。

9月の自由民主党の総裁選挙を前に、岸田首相が継続するのか、新しい首相が誕生するのかといった議論は、株式市場を占う上で大きな注目材料になるでしょう。


歴代政権別にみた日経平均株価の騰落率

下の表は、バブル崩壊以降に誕生した17の政権(安倍政権は2回で計16人の首相による政権)の在任期間での日経平均株価の騰落率を示したものです。

現在の岸田政権を除いた16の政権のうち日経平均株価が上昇して終えた政権は、7つでした。長期政権となった小泉政権とその後の第1次安倍政権、経済政策・アベノミクスを打ち出し長期政権となった第2次安倍政権とその後の菅政権、ITバブルの前に誕生した小渕政権、リーマンショックからしばらくしてから誕生した野田政権(旧民主党政権)、バブル崩壊後しばらくしてから誕生した羽田政権(旧新生党政権)です。

日経平均株価の上昇を期待するという点では、やはり長期政権が期待できる状況が好ましいでしょう

岸田政権は、内閣支持率こそ低迷していますが、バブル崩壊以降で見ると3番目に長い政権になっています。在任期間の日経平均株価は、今のところ第2次安倍政権に次いで騰落率が高くなっています。

 政権発足直後の日経平均株価の動き

今年9月に、自由民主党の総裁選が行われます。告示は9月17日、投開票は9月29日となっています。現在の衆議院議員の任期が2025年10月までとなっており、2025年は7月に参議院選挙もあり、自由民主党・公明党の衆参の国会議員の間では、「次の選挙では支持率の高い首相の元で戦いたい」との思惑が働きやすいでしょう。秋に向けて、政治のニュースが増える可能性が高そうです。

ここでは、各政権が発足した直後の30営業日に日経平均株価がどのように推移してきたかを示しました。

バブル崩壊以降は良い傾向が見られませんでしたが、第2次安倍政権以降の騰落率は高くなっています。菅政権、岸田政権は、秋の自民党総裁選に伴って誕生しましたが、秋の季節的な上昇しやすい傾向も影響したと考えられます。

衆議院選挙と日経平均株価の動き

2025年10月に現在の衆議院議員の任期は満了となります。ここでは、過去の衆議院選挙の前後30営業日で日経平均株価がどのように推移してきたかを調べて見ました。

衆議院は参議院より予算の議決などで優位性もあることから、衆議院選挙の行方はより注目度が高いと言えます。

表をみますと、2005年以降、コロナ禍となるまでの衆議院選挙の前後で日経平均株価は上昇してきたことが分かります。

その傾向がもっとも強く表れましたのは、2012年12月の衆議院選挙の前後が挙げられます。経済政策「アベノミクス」を打ち出した安倍首相を誕生させることになった衆議院選挙です。このときの衆議院選挙の30営業日前から30営業日後までの期間(以下、選挙前後期間とする)で25.9%上昇しました。

安倍首相のもとで行われました衆議院選挙は2014年12月、2017年10月もありますが、いずれの選挙前後期間もそれぞれ13.6%、17.0%の上昇となりました。

また、2005年の衆議院選挙は、当時の小泉首相が郵政民営化を最重要公約として掲げて衆議院選挙が行われ、その後に安定した政権基盤ができました。この選挙前後期間でも11.6%の上昇が見られました。

経済成長が期待される政権の誕生や政権の安定につながった選挙の前後で、日経平均株価は堅調に推移してきました。

 まとめ

今回は、過去の歴代首相別にみた日経平均株価の騰落率や政権誕生直後の日経平均株価の動き、衆議院選挙前後の日経平均株価の動きなどを振り返ってみました。今年の日経平均株価は好調に推移していますが、政治に不透明感が出るようですと、国内景気や株価に影響を与えかないと考えます。

国内ではデフレ脱却期待が高まっており、かつてより、「日本企業の稼ぐ力が高まった」ことから、海外景気などが良ければ日経平均株価は堅調に推移する期待も持てますが、過去に見られた政治イベントと日経平均株価の動きも参考にすべきだと考えます

この記事は投資経済マーケットについて学習および解説をすることを目的に作成されています。 投資や運用の推奨および加入や結果の保証を行うものではございません。 参考資料としてご活用いただき、運用を行う場合は自己責任でお願いいたします。

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