2024年のこれまでの日経平均株価の動きを振り返る
2024年1-3月期の動き
2024年序盤の日経平均株価は、時価総額の大きい主力株や半導体関連銘柄が相場の上昇をけん引し、2月に34年ぶりにバブル崩壊後の最高値を更新しました。
欧米などで金利引き上げの動きが一服したこと、人工知能(AI)関連の需要が拡大する期待が高まったこと、国内企業で株主還元策を打ち出す企業が見られたことなどがプラス材料となり、世界的に株価は上昇傾向となりました。
2024年4-6月期の動き
4月の日経平均株価は4.9%の下落となりました。米国での利下げ期待が後退し、米長期金利が上昇し、世界的な株高にブレーキがかかりました。
短期的な過熱感を意識した米半導体株安が東京市場にも波及し、日本の半導体関連株が売られる場面がありました。
2024年7月以降の動き
米国でさえない経済指標が見られ、円高の動きとともに急激な下落場面が見られました。その後は、「米景気は深刻な景気後退には陥らない」との見方が優勢になり、戻りを試す展開となっています。
日経平均株価で見られた「もちあい相場」
ここでは、日経平均株価の長期的な推移を示してみました。
「もちあい相場」とは、景気などに不透明感があり上下に動きにくい場面のことです。株式相場の格言として「大もちあいは大相場の前兆」というものがありますが、これはもちあい相場の後にいったん方向性が出ればその方向に大きく動きやすいことを表しています。
過去にみられた「大もちあいの後の大相場」
(参考:dマネー2022年8月15日(https://money.smt.docomo.ne.jp/column-detail/500938.html?ref=tag-list_article)
過去に見られた「大もちあいの後の大相場」としては以下の2回が挙げられます。
- 2005年夏場までのもちあい相場から、景気改善、郵政解散をきっかけに上昇
- 2012年終盤までのもちあい相場から、アベノミクスへの期待で大きく上昇
また、アベノミクスが始まってからは、約3年おきに高値をつけてきたことが分かります。
1、2と比べますと、短めの「もちあい相場」となりますが、③、④として取り上げたいと思います。
- 2020年序盤までのもちあい相場から、米中摩擦解消、コロナのワクチン開発により上昇
- 2023年半ばまでのもちあい相場から、米国での景気拡大、世界的な半導体需要の回復により上昇
3、4でのもちあい相場は、1年から2年程度の期間で高値を更新できない期間がありました。この点からは、今後いったん高値を更新できない期間があってもおかしくないと考えます。
25日移動平均かい離率の推移
下図は、過去5年間の日経平均株価とその25日移動平均乖離率の推移を示したものです。
矢印で示しましたが、水準を切り上げているか切り下げているかは、その後の相場を占う上で参考になるものと考えます。
2023年は6月にプラス7%を超える上昇場面がありました。2024年7月の上昇は、2023年6月の上昇より遅いものにとどまりました。
2023年から2024年7月の日経平均株価はおおむね上昇基調となりましたが、2023年10月、2024年4月に25日移動平均かい離率はマイナス6%台をつける下落場面がありました。2024年4月に見られた下落は2023年10月に見られた下落より速いものでした。
これらの点から見ても、今後は高値を更新できない期間があってもおかしくないと思われます。
日経平均株価の季節的傾向
株価は、月別などで見るとある程度の傾向が見て取れることがあります。こうした時間軸で株価の傾向を見ていくことは軽視できないと考えます。
今回は、過去の日経平均株価の月別の騰落率はどうであったのか、また各月の動きはその後の推移に影響を与えたのかについて調べてみました。その後の推移に影響を与えている月があると思われます。
表は、日経平均株価の月ごとの騰落率を示しました。
5月、6月に大きく上昇した年には良い傾向がある
図を見ますと、5月、6月の日経平均株価が堅調であった年は、その後も堅調に推移しやすいようです。
特に、5月、6月ともに4%以上の上昇を見せた年は2003年と2009年、2023年でしたが、いずれの年も日経平均株価は、年末まで堅調に推移しました。
2023年については、各企業による業績の改善、資本効率を意識した動きなどを好感し上昇しました。
8月、9月に冴えない傾向がある
表のように8月、9月の平均騰落率は悪くなっています。夏季休暇を取る投資家がいること、米国の新年度を前に売りを活発化させる投資家がいることが背景になっていると思われます。
8月、9月ともに2%以上の下落を見せた年は、その後によくない傾向があります。
何度か急落したことがある10月相場
10月の日経平均株価の平均騰落率は近年、プラスの数値になっていますが、急落を何度か見せました。
表にありませんが、米国発で起きたブラックマンデー時(1987年)の10月、アジア通貨危機の起きた年(1997年)の10月、リーマンショックが起きた年(2008年)の10月に大きく下落しました。
11月に良好な経験則がある
11月は、7-9月期の経済指標や主要企業の決算が発表され、資金が流入しやすい時期であると考えられます。特に、今年の日本では9月終盤に自由民主党の総裁選があり新首相が決まること、米国で11月に新大統領が決まることから新政権への期待が高まりやすい時期がありそうです。
今後の日経平均株価の展望は
2024年終盤の日経平均株価を予想すると、過去のもちあい相場の傾向、移動平均かい離率の推移、季節的な傾向などから、9月あたりまでは上値が重くなりやすいと考えます。
しかし、年終盤は米国で新大統領、日本で新首相が誕生し、政権への期待が高まりやすいこと、世界で半導体需要が高まることや各企業で資本効率を意識した動きが強まることなどが期待できそうです。年終盤あたりでは堅調に推移することが期待できると考えます。