ここ数年の株価上昇によりFIRE(早期退職・経済的自由)という生き方に注目が集まるようになってきました。
とはいえ資産からの収入だけで満足いく生活を維持するためには、かなりの資産を貯める必要があるでしょう。
そんな中で注目を集めているのがサイドFIREという選択肢です。
完全にリタイアするのではなく副業程度の労働を継続し、資産収入と合わせて生活するスタイルですね。
このサイドFIREなら計算上必要とする資産額も比較的少なく済むため、年収が多くない人でも現実的な目標とすることができるでしょう。
では、実際にサイドFIREに必要な資産額はどのくらいなのか。
結論を先に書きますと『労働収入の種類により異なる』です。
今回は今まさにウェブライターでサイドFIRE生活を送る筆者が、サイドFIREを計画中の方々に向け、安定した生活を送るために必要な資産額を解説します。
退職後の収支予測は慎重に
必要な資産額の話題に入る前にサイドFIRE後の支出と収入見込みについて簡単に触れておきましょう。
夢を求めるあまり、見込みが甘くなっていては生活が破綻してしまいますからね。
天引きされていた支出に注意
サイドFIREを計画する際、今の生活費だけを基準にしてはいけません。
なぜなら退職後は給料から天引きされていた社会保険料や税金を、生活費とは別に自分で支払わなければならないからです。
- 国民年金:約1万7千円(月額)
- 国民健康保険料:数千円ほど(月額)
さらに、資産売却時の利益や配当金・分配金に対する税金も掛かります。
また、単発の出費ですが住民税は前年の収入に基づき計算されるため、退職翌年に大きな支払いが発生することも忘れてはいけません。(年収500万円で23万円程度)
全資産を運用には回せない
退職後の投資計画はどの様に立てていますか?
もしも「総資産を〇%で運用して取り崩せば資産を減らさずに生活できる」と考えているのでしたら、いささか甘い計画だと言わざるを得ません。
なぜなら総資産のうち、少なくとも半年分の生活費相当額は銀行口座に残しておく必要があるからです。
生活費の決済用と失業や働けなくなった場合に備えた生活防衛資金ですね。
総資産を全て投資に回せるわけではないことを前提にサイドFIRE計画を立てるようにしてください。
労働収入の種類で必要な資産額は変わる
それでは本題のサイドFIREに必要な資産の話題に戻ります。
なぜ労働収入の種類で必要な資産額が変わってくるのかは、収入の安定性や将来性に違いがあるからです。
サイドFIRE中に得る労働収入は、この3つに分けられます。
- フロー型のスキル収入:ウェブライター・動画編集者など
- ストック型のスキル収入:ブロガー・YouTuberなど
- 時給労働の収入:アルバイト・パートなど
自分の努力が収入アップに直結するなら、より少ない額で早期退職を決断できます。
また、不安定な収入では少し多めに準備しておかないと、途中で生活が破綻する危険があります。
これらを踏まえて、退職後に生活の軸とする収入元ごとにサイドFIREに必要な資産額を解説しましょう。
フロー型:少ない資産でもサイドFIRE可能
クラウドソーシングサイトなどを利用し、すでに自分のスキルを活かした副業で安定した収入を得ているなら、より少ない資産額でサイドFIREが実現可能です。
『副業収入と資産収入で生活費にギリギリ届く』程度でサイドFIREを決断しても問題ないでしょう。
早期退職で作業に充てる時間が増えれば、単純に受注できる案件が増えますし、継続案件の仕事もより受注し易くなります。
そうなれば、さらに収入を伸ばすことが期待できます。
上手く行けば退職前の本業収入を超えることすら夢ではありません。
いい意味でのサイドFIRE卒業です。
ストレスなく続けられる副業で
ただし、副業は単に収入を得るための手段ではなく、趣味も兼ねて続けられる作業であることが前提です。
今は稼げていたとしても、いやいや行っている副業がたまたま稼げているだけでは、安定した収入は期待できません。
自分が楽しめる、最悪でも苦痛と感じない副業であることが、サイドFIREを成功させる最低条件です。
ストック型:収入の継続性が重要
ブログやYouTubeから安定した収入を得ている場合もサイドFIREを決断しやすい状況です。
ただフロー型収入よりも少し多めの『副業収入と資産収入で余裕で生活できる』程度が欲しいところですね。
なぜなら作業に充てられる時間が増えたとしても、収入が増えるとは限らないからです。
それにストック型収入には、Googleなどの特定企業の匙加減で収入が増減してしまう欠点があります。
期待に反して収入が伸び悩んだ場合に備えておかないといけません。
収入が激減しても再就職がしやすい
とはいえ、収入が大きく下がってサイドFIRE生活を維持できなくなったとしても、ストック型収入でサイドFIREする場合は意外なメリットがあります。
それは再就職が比較的容易であることです。
例えば登録者1万人越えのYouTubeチャンネルを作り上げて運営してきた経験を欲しがる企業は少なくないでしょう。
生活の軸にできるほどの収入をブログやYouTubeから得ていた経験がアドバンテージとなり、万が一の時も好条件の再就職先が期待できるのです。
時給労働:資産収入だけでギリギリ生活できる額
アルバイトでのサイドFIREを目指すなら『資産収入だけでギリギリ生活できる資産額』が必要でしょう。
なぜなら良いアルバイト先がすぐに見つかるとは限らないからです。
アルバイトを探している間にも生活費は必要ですから、その間に資産が減り続けることは大きなストレスです。
そして、資産が減れば好きな仕事ではなく時給を優先してアルバイトを探さなくてはいけません。
結果、生活のためだけに好きでもないアルバイトを続ける生活になってしまいます。
それではサイドFIREの意味がありません。
さらに、フロー型やストック型収入と違い、年収を増やす余地がほとんどないため、いつまでも「働けなくなったら終わり」という生活が続くことになります。
果たしてこれが、FIREの根幹である経済的自由と言えるのでしょうか?
サイドFIREよりも転職の検討を
一方で退職する前から副業として良好な関係を築いているアルバイト先があるなら、その職場を活用してサイドFIREを実現できるかもしれません。
しかし、そうであれば無理にサイドFIREにこだわらず、その副業先への転職を選択肢に入れることも一つの方法です。
また、転職エージェントに登録すれば、自分の持つスキルにあった求人を紹介して貰えます。
転職エージェントは求人を出す企業側がコストを支払ってでも良い人材を確保したい場合に利用するサービスなので、好待遇の求人が多いといわれています。

とりあえず資産を貯めながら転職エージェントにエントリーだけしておいて、良い求人があったら転職する。
なかったら十分な資産が貯まったのちにサイドFIREを実行する。
このような二段構えのサイドFIRE計画も有効な手段でしょう。
ストレスのない職場で安定した収入が得られるなら、焦ってサイドFIREを進める必要はないのですから。
まとめ
サイドFIREを始める前に収支のチェックが必要。社会保険料や税金に注意
安定したフロー型収入と資産収入でギリギリ生活できそうならばサイドFIRE可能
ストック型収入の場合は余裕を持って生活できる資産額が欲しい
アルバイトの場合は資産収入だけで生活できる資産額が不可欠
サイドFIREにこだわらず転職エージェントの利用も選択肢としてあり
少ない資産で済むフロー型・ストック型収入でサイドFIREを目指すのが理想的ですね。
