すべてを捨てて東京へ。崩壊の中にしか自分の正解はなかった

――「ワークライフバランス」を手放した起業家が語る、自由と覚悟のリアル

合同会社KijiLifeの代表・小川翔太さんは、関西で正社員として働いていた29歳のとき、ふと立ち止まったといいます。
「このままの人生でいいんだろうか?」
その問いが、すべての始まりでした。

安定した仕事や地元での生活を一度に手放し、小川さんは東京へと向かいました。目指したのは、「自分の可能性を試せる場所」だったと語ります。

合同会社KijiLifeの代表・小川翔太氏
目次

フリーランスから法人化へ。働くことが“日常”になった日々

東京では人材営業の仕事を経験したのち、フリーランスとして独立。
およそ3年間、クライアントワークに没頭する日々が続きました。
案件を受け、取材に行き、文章を書き、次の提案を考える。
気づけば、休日も仕事の延長のような生活になっていたといいます。

「働いている時間が長いとか、休日がなくなるとか、当時は大変だと思わなかったです。脳みそが常に仕事モードで、それが自分にとっては自然な状態でした。」

そうして2022年11月、記事制作会社、KijiLifeを設立。
自分一人の時間を売る働き方から、チームとしての事業へと転換を図りました。
しかし、そこで初めて「経営者としての難しさ」を感じたそうです。

「ワークライフバランス」は人によって“遺伝子レベルで違う”

自分にとっては、仕事と生活の境界が曖昧であることが普通。
けれども、社員にとってはそうではありません。
経営者として、自分と他者の“働き方のリズム”を調整する難しさに直面しました。

「ワークライフバランスって、人によって遺伝子レベルで違うと思うんです。僕は仕事と生活が完全に混ざっていて、それが心地いいタイプ。でもメンバーはそうではない。だから『自分にとっての当然を他者に押し付けない』ということに今も苦労しています。」

一方で、小川さん自身は「ワークライフバランスが整っていない状態のほうが性に合う」と笑います。
「ワークライフバランスって、コントロールしようとしてもうまくいかないし、崩壊している方が自分には合っている。ただ、独り身のときなら問題なかったんですが、結婚して子どもができると、土日も当たり前のように仕事しているのは、さすがに迷惑をかけているなと思う瞬間もあります。でも、多少はワークライフバランスが崩壊しているほうが、深夜に子どもの世話ができて、妻を寝かせることもできるので利点もある。直そうとは思ってません。。」

それは無責任という意味ではなく、“自然体でいるための選択”だといいます。
無理に整えようとすれば、かえって本来の力を失う。
そんな実感が、彼の経営の根底に流れています。

テクノロジーは“使う”もの。目的にしてはいけない

KijiLifeの事業は、取材記事制作とSEOコラムの制作を中心としています。
もともと理系・情報系の大学院出身でエンジニア経験もある小川さんは、AIやテクノロジーへの抵抗感はまったくありません。
むしろ積極的に業務へ取り入れています。

「SEOコラムの一部はAIで自動生成しています。取材記事の企画作りにもAIを活用しています。でも、AIで“完結”させるのではなく、人が書く部分で付加価値をつけるのが事業の本質だと思っています。」


また、小川さんはテクノロジーを特別視していません。

「業務における生成AIの活用は、文系の人がようやく使えるようになったから騒がれているだけで、理系の人たちやテクノロジーを積極的に業務に取り入れてきた人たちからすると、Excelの関数、VBA(Visual Basic for Applications)、GAS(Google Apps Script)での自動化など、これまでの技術発展の延長線上にあるもの。精度や利便性が良くなるスピードに凄さを感じるものの、AIそのものは新しいものだとは考えません。大事なのは“どう使うか”。手段が目的になってはいけない。
AIを使うこと自体が目的になっている人は多いですが、そこに本質はないと思います。」

「改善が伴っていないのに“使いたい”だけの人が多いですが、テクノロジーは自分を助けるものであって、代わりに考えてくれるものではありません。例えば、とある会社では、生成AIにコーディングさせたGASの処理が業務に導入されたのですが、誰も中身を理解していないので、まったく保守性がなく、微調整もできない。社内も慌てふためいて、効率化どころの騒ぎではない。そもそも、この処理は必要なのか、関数でよくないか、このシートは必要なのか、などの根本的な部分にも問題がある。そういった思考も放棄して、生成AIに丸投げするのは、手段の目的化に他ならなない」

「起業したい」という気持ちが先に走るなら、やめておいた方がいい

最後に、これから起業を考えている方や、プロダクトづくりを始めようとしている方へのメッセージをうかがいました。

「“起業したい”という気持ちだけが先に走っている人は、起業すべきではない。起業には向き・不向きがあると思う。具体的には2~3日徹夜しても、パフォーマンスが落ちない体力や精神力。ワークライフバランスは崩壊するので、9時~17時の働き方がしたい人にはまったく合いません。」


「個人的には(事業が軌道に乗るまでは)朝の5時まで仕事をするか、朝の5時から仕事をするか、この2択しかないと思っています」「なぜなら、メンバー(作業者)への『指示出し』は、彼ら彼女らが稼働を始める9時~10時までにすべきであって、トップの意思決定やフィードバックは、それまでに済ませておかないといけないから。」と小川さんは言います。
一般的な働き方とは異なるからこそ、自分のライフサイクルにマッチしていないと継続は難しい。
「残りの人生のすべてが仕事になる覚悟がないと、しんどいと思います」と率直に語りました。

起業という言葉の響きは華やかですが、実際の現場には泥臭さも葛藤もあります。
それでも小川さんが前に進み続けるのは、「整っていなくても、自分にとっての正解がある」と信じているからです。

崩壊の中に見えた“自由”という価値

「崩壊している方が自分に合っている」という言葉は一見ネガティブに聞こえます。
しかし、その裏には“自分を偽らずに生きる”という強い意志があります。

多くの人が「整った生き方」を目指す中で、小川さんは“整わないことを受け入れる”ことで、自分らしさを取り戻しました。
起業は、完璧な人生をつくるためではなく、“自分に正直でいるための環境をつくること”だったのです。

「働く時間も、家族との関係も、すべては変化の途中です。それでも、自分の中で嘘をつかずにやっていければ、それが一番だと思います。」

その言葉には、リアルな起業家の等身大の姿が映し出されていました。

記事制作・SEOコラムのパートナーを求めて

KijiLifeでは現在、取材記事とSEOコラム制作に特化した事業を展開しています。
取材記事では、企業や個人の思いを丁寧に言葉にし、SEOコラムではデータに基づくキーワード分析を活かして効果的な記事を大量に制作しています。
さらに、AIや自動化ツールを活用することで、コストを抑えながら高品質なコンテンツを提供できる体制を整えています。

対応業界は幅広く、医療・法律などの専門領域を除けば、テクノロジー、美容、エンターテインメント、IT、eスポーツなどさまざまな分野での制作実績があります。
また、企業の社員インタビューや採用広報コンテンツの制作代行も好評を得ています。

「“伝えたいことはあるけれど、どう言葉にすればいいかわからない”という企業や個人の方にこそ、ぜひ声をかけていただきたいです。取材から執筆、そして伝える仕組みづくりまで、一貫してお手伝いします。」

編集後記

小川さんの言葉には、一切の飾りがありません。
「崩壊」「混ざる」「整わない」といった言葉が印象的ですが、それは彼の中で“生きるリアル”を表すものなのだと思います。

完璧を目指さなくていい。
ただ、自分に正直であること。

整わない現実の中にこそ、ほんとうの自由がある――。
そんなメッセージを、静かに、しかし確かな熱量で伝えてくれるインタビューでした。

合同会社KijiLife 公式ページ

https://kiji-life.com/
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この記事を書いた人

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