「9敗1勝」が未来をつくる——起業家が語る、折れずに立ち続ける理由と学び

世の中には、順調に見える起業ストーリーが多く語られます。しかし実際の現場では、「一つの成功の裏に、数え切れない失敗」が存在します。今回お話を伺ったのは、データ活用・DX支援を手がける株式会社キューバリューの代表・磯部直樹氏。2022年に個人事業として創業し、翌年に法人化。まだ若い企業ながら、確かな価値を届け続けています。

磯部氏は、創業からの数年間を「9敗1勝」と表現します。では、その“9敗”をどう受け止め、どう乗り越えてきたのか。そしてこれから起業したい方、不動産賃貸業に新規サービスを横付けしたい方は、どんな視点を持てばいいのか。

挑戦の本質と、折れないための思考法について語っていただきました。

株式会社キューバリューの代表 磯部直樹氏
目次

起業の原点──「やりたいこと」を形にするために動き出した2022年

起業を決めたのは2022年。まずは個人事業として静かにスタートを切り、1年後には法人化へと踏み出しました。

きっかけは、昔から抱いていた「起業家への憧れ」だったといいます。

「若い頃から、パワフルに事業をつくっていく起業家の姿に強い魅力を感じていました。やりがい、目的意識、そして“自分の力で何かを動かしたい”という気持ちがどんどん強くなっていったんです。」

前職でもベンチャー企業に所属し、経営者を近くで見る環境にいたことが、自身の背中を押したと語ります。

「経営というものを身近で見ていると、“自分ならどうするか”と考えるようになるんです。 その延長線上に、自然と『起業しよう』という気持ちが芽生えました。」

「やりたいことを形にしたい」。その純粋な衝動から始まったのが、現在のキューバリューです。

9敗1勝の日々──うまくいかないのが“普通”だった

創業からの数年間を振り返っていただくと、その答えは迷いなく返ってきました。

「大変じゃなかった日はほとんどなかったです(笑)。」

特に印象的だったのは、柳井正氏の著書『一勝九敗』への強い共感です。

「問い合わせや相談はいただくけれど、受注につながらない。いろいろ仕掛けても、数を打っても、想定した結果が出ない。 “9敗の苦しみ”という言葉は、本当に身に染みました。」

磯部氏の言葉には、華やかな成功談では語られない「起業のリアル」が詰まっています。

また、影響を受けた人物としてホリエモン、三木谷浩史氏、藤田晋氏、スティーブ・ジョブズといった起業家の名が挙がりました。さらに、理念の部分では柳井氏や稲盛和夫氏など、日本を代表する経営者の哲学から学んできたと言います。

「挑戦し続ける人は、必ず“うまくいかない時間”を経験している。
その事実に触れられたことで、苦しい時期も折れずに立っていられたんだと思います。」

「9敗を耐え抜くために必要なもの」──言語化と振り返り

“うまくいかなかったこと”は、創業者にとって避けられないものです。しかし磯部氏は、その経験の価値を強調します。

「失敗した経験って、不思議と後から返ってくる事が多いです。
その時はつらくても、振り返ると“必要な負け”だったと思えるんです。」

では、どうすれば折れずに挑戦を続けられるのか。

磯部氏が徹底してきたのは、「やりたいことの言語化」でした。

「自分はなぜこの事業を始めたのか。どこに向かいたいのか。これを文章にして、折に触れて見返していました。」

目の前の数字や外部評価に揺れそうになる時も、原点に立ち返ることで気持ちを持ち直してきたと言います。

「1勝をつかむまでは、9敗に耐え忍ぶしかない。でも、原点を明確にしておけば折れないんです。」

この姿勢は、これから起業しようとする読者にも強い示唆を与えてくれます。

AI活用への向き合い方──“効率化ツール”ではなく“価値を深めるパートナー”

最近では、多くの企業がAIを業務効率化に取り入れ始めています。磯部氏も、DX支援を行う立場としてAI活用の重要性を強調します。

しかし、その捉え方は少し違います。

「現状は“人がやる仕事を効率化して置き換えるツール”として実業務に使われるシーンをよく見ますが、本来の価値はもっと深いと思うんです。」

「AIは“人が考えたことに付加価値をつける(もしくはその逆も然り)パートナー”です。
人とAIが協働しながらこれまで以上のモノやサービスを作り上げてい作り上げていく。その関係性が理想です。」

つまり、AIは“人を不要にするものではなく、よりクリエイティブな挑戦を可能にするバディ”だという考え方です。
_どの業界におけるAI利用でも、この視点が大きなヒントになります。

これから起業する人へのメッセージ──「そのプロダクトがすべて」ではない

最後に、起業や新規プロダクト開発に挑む人へのアドバイスを伺いました。

「学生のうちから挑戦するのは本当に素晴らしいと思います。でも“今つくっているプロダクトがすべて”と思い込まないでほしいです。」

興味を持つ人がいる=ビジネスとして成立する、とは限らない。
否定されたからといって、それが全てではない。

「お客様の要望と自分のアイデアがマッチすること。それがビジネスの起点です。」

そして何より、起業の価値は「やりがい」にあると言います。

「起業とは、“何にチャレンジするか”を決めることなんです。チャレンジそのものが、人生を大きく変えるきっかけになります。」

キューバリューが求めている仲間──データ活用の第一歩を一緒に踏み出せる方へ

最後に、現在の事業内容と「こんな方はぜひ声をかけてください」というメッセージをいただきました。

キューバリューの主軸は、データ活用とDX推進の支援。データサイエンスを基盤に、企業の成長戦略をサポートしています。

「データを使いこなせている企業は、大手か、外部コンサルに依頼できる大~中堅企業が中心です。
多くの中小・零細企業では“データは活用したいが棚卸すら着手できていない”ケースも多いんです。」

そのため、まずは現状整理からでも構わないので気軽に相談してほしいと語ります。

「業種は問いません。特にto C向けのデータを活用した販売戦略やマーケティング支援であれば、過去の実績を強みとした高い価値を提供できます。」

データ活用の“最初の一歩”を一緒に踏み出したい企業との出会いを求めています。

おわりに──9敗1勝を恐れないで進むために

起業とは、成功よりもむしろ「負け」と向き合う日々です。
しかし磯部氏の言葉から感じられるのは、失敗を悲観材料ではなく、未来への“投資”と捉える姿勢でした。

  • 課題に直面しながらも折れずに進むこと
  • 原点を言語化し、自分を支える軸にすること
  • AIを恐れず、価値を深める道具として向き合うこと
  • ビジネスは「マッチング」から生まれること
  • そして、挑戦そのものが人生を変えるということ

これから起業する方にとって、この「9敗1勝の哲学」は大きな力になるはずです。

株式会社キューバリュー 公式ページ

https://www.quevalue.co.jp/
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