「会社員として13年、企業内新規事業支援には30年関わってきましたが、どこか“自分の事業ではない”感覚がありました」。
そう語ってくださったのは、株式会社Qand代表の青木玄さんです。

大手企業で新規事業開発やコンサルティング支援に携わり、組織内でも重要な役割を担ってこられました。しかし、実績や安定がある一方で、「自分の人生を使って生み出せるものは、これで良いのか」という気持ちが、次第に大きくなっていったといいます。
そして2年前、青木さんは本気でゼロイチの起業を決意されました。会社員時代の延長線にあるコンサルではなく、まったく新しい領域──“謎解きチームビルディング”という、一見すると「遊び」のように見えるビジネスで勝負する道を選ばれました。
なぜ安定したキャリアを手放し、未知の領域で挑戦することを選んだのか。
その背景には、これから起業したい方にとっても参考になる、「行動こそが未来を切り開く」という強いメッセージがありました。
会社員13年、新規事業のプロが「自分の事業を作りたい」と思った瞬間
青木さんは約30年間、企業内新規事業に会社員やコンサルタントの立場で関わってきました。前半は会社員として新規事業の構築、後半はコンサルティングとしてプロジェクト推進を担う専門家として活躍されていました。
ただ、長く携わるほど、ある葛藤が積み重なっていったといいます。
「新規事業もコンサルティングも、最終的には自分の事業ではありません。
発注側やクライアントの事情や思惑が必ず入り、自分の人生に100%紐づくものではないと感じていました。」
その中で、「自分の手でゼロから事業をつくりたい」という気持ちが強くなっていきました。
そして、1つの出来事が青木さんの心に火をつけます。ものづくり補助金を活用してシステムを開発するプロジェクトに携わった際、“ものをつくる喜び”が鮮明に蘇ったのです。
しかし、最も強く背中を押したのは、仕事ではなく、まさかの“遊び”でした。
年に50回の「謎解きゲーム」。遊びの中にビジネスの可能性が眠っていた
青木さんはある時、謎解きゲームに熱中されます。
チームで挑む謎解きゲームに、多い年には50回ほど通われたそうです。
「終わった後に飲み屋で反省会をするほど真剣にやっていました」と笑う青木さん。しかし同時に、深い気づきもあったといいます。
「これはチームビルディングになる、と強く感じました。
PDCAが自然と回るし、コミュニケーションの癖や個性がよく見えるんです。」
そして決定的な出来事が起こります。
10〜20代の若い仲間の1人が結婚することになり、チームで「オリジナルの謎解きのサプライズ」を半年かけて制作したのです。
「映画を観たからといって映画を作ろうとは思わない。でも、この時は自然と“作ろう”と思えた」と青木さんは振り返ります。
その体験が、「謎解きを通じた体験設計」を事業にするという新しい道を確信させました。
こうして株式会社Qandが誕生しました。
創業から2年赤字。“創業融資が減っていく恐怖”に向き合った日々
しかし、起業後の道のりは決して簡単ではありませんでした。
「とにかく売上が安定しませんでした。創業融資もどんどん減っていく。
2年間赤字が続き、“どうやって売上をつくれば良いのか”が本当に見えませんでした。」
謎解きチームビルディングは、納品後に売上が立つ一方、企業からのリピートは1年スパン。
ビジネスモデルとしてキャッシュが安定しにくい特徴もありました。
それでも青木さんは、模索を続けながら事業を磨き続けます。
“種まき”が繋がった日。波が来た理由は「フルタイム+土日半分」の行動量
転機は、ちょうど1年前でした。
「突然、波が来ました。特別なことはしていないのに、過去にまいてきた種が一斉に繋がったような感覚でした。」
そこには青木さんの圧倒的な行動量がありました。
フルタイムで事業を動かしながら、土日の半分は仕事。会社員時代より忙しい。
それでも「ストレスがない」と感じたといいます。
「ワークアズライフなんですよね。仕事が生活の延長線上にある状態です。好きなことで戦っているから苦になりません。」
ゼロイチの期間に必要なのは「苦にならないほど好きな領域を選ぶこと」だと、青木さんは語ります。
AIが業務量を3倍にした。AIシフトが事業の転換点に
事業に勢いが出た大きな理由のひとつが、「AIの本格活用」でした。
起業1年目、青木さんは業務委託として半稼働のスタッフを雇っていましたが、ある時期を境に契約を終了されたそうです。
「AI前提で業務フローを作り直したら、1週間でこなせる仕事量が3倍になりました。」
ChatGPT、ジェンスパーク、キャンバ、オブシディアンなどを組み合わせ、
- コンテンツ制作
- 研修後フォローアップ
- 調査
- 企画
- クリエイティブ
などを効率化。
現在では、AIを活用した自社サービスも展開されています。
「AIは人を削る道具ではありません。
個人企業にとっては“最初に雇うべきパートナー”だと感じています。」
起業希望者へのアドバイス:「思考→行動」ではなく「行動→思考」
青木さんが、これから起業したい人に伝えたい言葉があります。
「いろいろ考えてから踏み出す、という学校的な考え方を捨ててください。
行動して初めて思考が生まれるんです。」
踏み出さずに年を重ねてしまうことが、一番の後悔につながるといいます。
失敗しても命を失うわけではなく、むしろ“失敗して学ぶ”のが本来の成長サイクルだと青木さんは強調します。
「日本では成功か失敗かで評価されがちですが、アメリカでは
“失敗して学び、また失敗して学び、最後に成功する”という文化があります。
起業とは、自分が何にチャレンジするかを自分で決められる生き方なんです。」
こんな企業様におすすめ:謎解きで“コミュニケーション”と“エンゲージメント”を高めませんか?
株式会社Qandの主力サービスは、謎解きを活用したチームビルディングプログラムです。
企業に特に喜ばれているポイントは次の通りです。
- 社内コミュニケーションを活性化したい
- エンゲージメントを高めたい
- 部署単位で一体感をつくりたい
- 企業の10年史や価値観をコンテンツ化したい
制作期間は最短2週間。
30〜1000名まで対応可能で、日本全国に提供されています。
オリジナルコンテンツの制作依頼も増加しており、企業文化を“謎解き”という体験で表現するケースも増えているそうです。
最後に──“好きなことで戦う覚悟”が未来を切り開く
青木さんのお話には、起業を目指す方や事業を横付けしたい不動産オーナーの方にとって、多くの学びがありました。
- 遊びの中にこそビジネスの種が落ちている
- 成功は、過去にまいてきた種がつながる瞬間に訪れる
- 情熱を持てる領域を選ぶことが行動量につながる
- AIはスモールビジネスの強い味方
- 「行動→思考」の順番で前に進む
青木さんのストーリーは、挑戦に年齢もタイミングも関係ないということを、力強く示してくれています。
行動が未来を変える。
その言葉を裏付けるインタビューとなりました。
株式会社Qand 公式ページ
https://www.qand.co.jp/


