2022年1月、鈴木浩二ビジネスコンサルタントを主幹される鈴木浩二氏は「このままでいいのか?」というふと湧き上った疑問と正面から向き合い、60歳手前で安定した大企業を辞めて縁が深かった・北海道で起業されました。
サラリーマン歴数十年、しかも大手メーカー・リクシルで活躍してきた彼が、なぜこのタイミングで独立に向かったのか。その裏には「仕事の目的」への深い問いと、地元企業への強い想いがありました。
本記事では、鈴木さんのストーリーを通じて、これから起業を目指す方へ届けたい“教訓”をお伝えします。

「このまま東京で在宅勤務していていいのか?」
鈴木さんの人生を変えたのは、コロナ禍でした。地元・北海道から東京に転勤していたものの、コロナによる在宅勤務が増え、通勤も会議もなくなった静かな時間が多くなったといいます。そんな中、ふいに、自分に問いかけたことがあったと言います。
「こんなことしていていいのかな。仕事の目的ってなんだろう?」
長年勤めたリクシルでのキャリアは順調でした。
しかし、パンデミックがもたらした静けさの中で、改めて向き合うべき問いが急に大きく響くようになったのです。残り少ないサラリーマン人生をこのままでいいのか、後で後悔しないのか、そんな思いが胸に浮かぶようになりました。
そして気づきました。
「自分が働いてきた意味は、まだ地元になにも返せていない」
東京で仕事をしつつも、鈴木さんの中には常に「北海道の企業の力になりたい」という想いが心の底にあったといいます。
起業するつもりはなかった。それでも背中を押された
北海道に戻る決心をし、60歳手前で早期退職を選びました。ただ、このときはまだ「起業」は考えていませんでした。
戻った北海道でリクシル代理店から声をかけられ、1年間勤務。
しかし、このとき強烈な衝撃を受けます。
「中小企業の実態を知って、愕然としました。これほどデータが揃っていないのか、この状況で戦っているのか…と。」
紙ベースの管理、数字が揃わない経営判断、現場がバラバラの品質管理。
大企業で長年培ってきた“当たり前”が、ここにはまったくありませんでした。
そして思いました。
「自分のスキルを生かせば、もっと役に立てるのではないか」
これが起業を決めたきっかけでした。
想像以上の「話が通じない」状況
しかし、独立して気づいた現実は、想像以上に厳しいものでした。
鈴木さんはトヨタ式の「トータルクオリティコントロール」、つまり製品の品質だけでなく、企画・設計から生産、販売、アフターサービスまで企業活動の全段階と全社員が関与し、品質を総合的・全社的に管理・改善していく手法を軸に、
データに基づく業績分析と改善を得意としています。
ところがその大前提となる「数字が活用できる状態になっていない」という事態に直面しました。
「データではなくまだ紙で管理している企業もたくさんあります。いずれにせよ分析するにはこれをまとめて行く作業から始めないといけない。」
課題の抽出以前に、材料となるデータが存在しない。
これでは改善の入口にも立てません。
本人は収入をガツガツ求める段階ではなくとも、
クライアントを本当に良くしたいという想いが強いからこそ、余計にジレンマが生まれたといいます。
「自分の想像をはるかに超えて“話が通じない”。 ここが一番大変でしたね。」
「もっと優しいところからやればよかった」
これまで大企業の仕組みに身を置いていたからこそ、地元の中小企業の現実とのギャップに驚くばかり。
「こんな状況だとあらかじめ分かっていたら、もっと優しいところから始められたかなと思います。」
地場での商習慣、データ文化の薄さ、改善の概念そのものが共有されていない現実。
最初からフルスロットルで改革に入ったことで、企業側の負担になってしまったケースもあると振り返ります。
しかしこの経験が、今の鈴木さんの“寄り添うコンサルティング”の土台になりました。
「AIで業績は上がらない」——データの本質は“価値観”にある
AI活用について伺うと、非常に本質的な答えが返ってきました。
「AIは使えばいいと思います。
ただ、データのリテラシーを高めるには“自分で経験すること”が必要です。」
数字を読むとは、単にグラフを見ることではありません。
どこに着目し、どう解釈するのか。
その背景には、経営者自身の価値観や現場経験が深く関わっています。
「AIが業績を上げてくれるわけじゃない。 業績は“人のモチベーション”で変わります。」
この言葉は、これから起業する人にこそ強く響きます。
仕組み以上に、結局は“人”が動かすという視点です。
【教訓】起業したい人へ——人とのつながりがすべてを変える
鈴木さんが強調するのは、スキルよりも「人とのつながり」です。
独立後、現在の顧客の多くは勤務時代の取引先。
しかも驚くことに、事業の広がりは“偶然の出会い”から生まれています。
「独立したときに参加したセミナーで、たまたま一緒にグループワークした人がいたんです。その人に“ホームページどうしてます?”と聞かれて、手伝ってくれることになって。そこからEラーニング投稿や、いろんな展開につながりました。」
自分一人では絶対にできなかった。
そう鈴木さんは言い切ります。
「外に出て、人に会う機会をつくったほうがいい。仲間が提案してくれるから“やらないとな”と前に進めるんです。」
これから独立を考える人にとって、非常に実践的なアドバイスです。
「こんな方はぜひ声をかけてください」
鈴木さんは、北海道という地域に根ざしつつ、東京を含め全国からの支援依頼も受けています。
- 中小企業の業績を本気で良くしたい
- データをもとに経営改善したい
- 人材のモチベーション向上に悩んでいる
- 自社の品質管理、業務の見える化を進めたい
- Eラーニングで学びたい企業
こういった方々はぜひ、鈴木さんの知見を頼ってほしいとのことです。
結論:仕事の目的を取り戻す旅は、誰にでも訪れる
鈴木さんの物語は、華々しい起業ストーリーではありません。
むしろ、普通のサラリーマンが「仕事の目的」を探しに行った結果、行き着いた“自然な起業”です。
しかしここに大きな学びがあります。
- 仕事の目的を問い直すことは、誰にでも訪れる
- 人とのつながりが、起業の可能性を何倍にも広げる
- AIではなく、人と組織のモチベーションが業績を決める
- 大企業の常識は、中小企業では常識ではない
- 地域に目を向ければ、活躍の余白はいくらでもある
安定を手放し、新しい道を選んだ鈴木さん。
その一歩は、誰よりも「誠実に働くとは何か」を探し求めた結果でした。
あなたが今、「このままでいいのか」と感じているなら——。
鈴木さんの物語は、きっと前に進む勇気になるはずです。
eラーニング
鈴木浩二ビジネスコンサルタント 公式ページ
https://suzuki-koji-bc.com/


