人口世界首位となるインドは以前のイメージと何が変わっているのか

いまの現役世代は年齢に関わらず、世界で最も人口が多い国と聞けば中国(中華人民共和国)を思い浮かべるでしょう。近年は社会主義の印象も更に薄くなり、上海や深圳(シンセン)など世界有数の先進都市に成長しています。

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両国の人口推移

2022年7月に国連が発表した資料によると、2022年時点で世界トップの中国の人口は14億2600万人、世界2位のインドの人口は14億1200万人です。人口上昇率から、2023年に両国の順位は逆転することが確実視されています。その後もインドの人口は増加を続け、2050年には16億6800万人となり、中国の13億1700万人を大きく突き放すといわれています。

インドとはどのような国なのか

ではインドとはどのような国なのでしょうか。一言でいうと頭脳国家です。10年ほど前からアメリカの主要なIT企業のトップをインド出身者が占めるようになりました。主にITに関する教育レベルが高まっていることがわかります。一方で既に廃止された身分を固定するカースト制度は非難の声も強いものの、ヒンドゥー教を国教とするインドでは社会の仕組みや意識のなかに刷り込まれています。地方部では公的医療保険も未整備の地域も散見されるため、極めて国家間における格差の激しい国といえるでしょう。

人口増加やGDPの急伸には目を見張るものの、カントリーリスクも大きな国です。民族的対立が発端となったパキスタン・バングラディッシュとの関係や中国との緊張関係は、今後株相場に強く影響する可能性は否定できないものです。

とはいえ外国の、特に投資家から見えるインドは先進部分です。インドのITレベルを語るときに欠かせないのが、南部にある都市であるベンガル―ル(旧称バンガロール)です。インド南部にあるこの都市は国内屈指のハイテク都市とされ、国内外に多くの人材を送り出しています。

投資面ではインドという国をどのように見るべきか

2022年現在のインドの名目GDP(国内総生産)ランキングは5位の2兆9600億ドルです。2019年、2020年ともに経済成長率は7.4%を記録しており、更に上位に移行するのは時間の問題といわれています(3位が我が日本なので悲しいのですが、国の勢いは明らかに異なります)。国の出力上昇は財政悪化を改善し、国民間における経済格差も縮小しています。

さて、インドは前述の通りカーストの意識が残っていますが、国全体が経済発展という強い機関車に率いられているため、投資対象としてのマイナス要因にはそれほど該当しないでしょう。2023年現在国のリーダーであるナレンドラ・モディ首相も貧しいカーストの生まれであり、日本でいう江戸時代の身分制度とは明らかに異なります。イギリスのサッチャーに近い自由市場主義とされ、海外投資家からの評価も高い政治家です。筆者の主観ですが、身分の低い出自から強いリーダーが生まれ、軋轢を生みながらも国を発展させていった、明示時代中期を重ね合わせます。

インド関連で考えたい投資領域

国の看板ともいえるIT領域や教育領域を前提として、筆者は経済格差の圧縮に注目します。旧首都のデリーやベンガル―ルのようにIT都市として「垢ぬけていく」投資コストは、今後ますます期待できるでしょう。都市の根幹というべき建設やインフラ、再整備といった銘柄は注目です。都市間をつなぐ交通インフラは日本の鉄道会社が強い領域です。各社の決算書や経営計画を取りそろえ、インドに展開している企業がないか、目を光らせることをお勧めします。具体的にはまだインド従来の発展から抜けず、IT都市は言い難い中核都市などです。IT化は中南部に多い印象があり、北部にはデリーがあります。人口最大都市のムンバイや、屈指の人口密度を記録する東部のコルカタなどに注目です。

経済格差が縮小されると、国民の生活向上機運が高まります。家庭内の家具家電や自動車などの交通手段、装飾品なども狙い目です。先日亡くなったセコムの創業者は太平洋戦争後の経済成長にともない、会社および家庭にて警備領域のニーズが上がると先読み、今日の企業発展に繋げました。従来の警備に加えITセキュリティニーズの高い時代です。インドにはリアルのセキュリティ市場とIT市場の、二大可能性があるといえるでしょう。

インドの投資信託は意外に多い

インドは熱いかもしれない。そう考えてインドの投信を探すと、思いのほか多いことに気が付きます(投信慣れした人には当たり前かもしれませんが)。NISAの対象となっているファンドも複数あります。

投資家のなかにも2024年の新制度開始を持って投信を始めたり、上限額拡充を利用して運用ポートフォリオにおけるNISA投資分を増額させたりという方も増えるでしょう。新制度ではこれまでのNISAになかった生涯非課税限度額が設けられました。この制度は買付ベースで計算され、一度使用したNISAの枠を売却すると復活するものです。これまでのNISAには無かった制度趣旨のため注目されています。

投信の枠組みでいうとインドはまだ新興国寄りです。ボラティリティも大きく、投信のなかでは短期売買に向いているものです。本記事を見てインドに興味を持った方はぜひ、インドをめぐる投資熱のなかに身を置いてみましょう。

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この記事を書いた人

株式会社FP-MYS 代表取締役。

相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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