金相場の動きを振り返り、今後の動きを予想する

日本円で見ると、金相場の堅調な展開が続いています。しかし、円安・ドル高も同時に進んでいることもあり、ドルで見た金相場はどのように推移しているのかなどは、冷静に見ていく必要があるでしょう。今回は、金相場についての魅力、NY金先物(ドルベース)での推移を振り返って、今後の見通しについて考えてみました。今後の上値メドになりやすい水準があるようです。

目次

金とは

金は世界で最も価値のある商品の一つです。通貨や宝飾品として利用されてきた歴史があり、安全資産としても評価されています。金は鮮やかな色と柔軟性、さらに希少性によって古くから人々に愛されてきた貴金属です。最近では、電子機器やコンピューターなど産業用途としても使われます。

金は希少な鉱物

金は希少な鉱物であり、地球の表面部分にある岩の層の中に様々な形で含まれていますが、その割合は0.003g/1000kgと言われています。さらに少ないという説もあり、金はその希少性から高い価値があります。

資産としての金

人類は何千年もの間、金に高い価値をおいてきました。古代エジプトやローマなど、世界に名だたる文明の通貨としても使われてきた歴史があります。最近では19世紀後半から第一次世界大戦が勃発するまで通貨の価値は一定量の金によって固定されていました。第二次世界大戦後、多くの経済大国が金の価格と米ドルが連動した金融システムを採用していました。この仕組みは1971年にアメリカがドルと金の連動を停止するまで続きました。

金投資のメリット

安全資産として見られている

金投資では、金の持つ特徴がメリットになります。世界情勢の変化に強く、株安や紛争、テロなどが起きると安全資産として金を買う人が増えるため、逆に価値が上がる傾向が多いのです。金は資産を増やす目的だけでなく、資産を守ることにも使えるという点が大きな魅力です。

マーケットが混乱しているときでも価値を維持あるいは増加させることができるため、貨幣や安全資産として、長く利用されてきました。最近では、コロナウイルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻では安全資産としての金に注目が集まり、金価格の上昇要因になりました。

インフレに強い

1970年代のオイルショックによる原油価格上昇も、金価格に大きな影響を与えた出来事のひとつです。オイルショックがもたらした世界的なインフレは金の買いを促進し、金価格を押し上げました。このため「金はインフレヘッジになる」との定説が生まれました。

激しいインフレの際には食料品や衣料、燃料など様々な物の価格が大きく上がるため、国民の生活は打撃を受けやすくなります。しかし、金を購入していた場合は様々な商品と一緒に金の価格も上がることによって、インフレによる資産への打撃を減らすことが可能です。

信用リスクがない

金は信用リスク、簡単に言えば国や企業の破綻によって無価値になるリスクがありません。なぜなら、金はそのものに価値がある「実物資産」だからです。実物資産は誰かの信用の上に価値が成り立っているものではないため、信用リスクへの注意は不要となります。

金はそのものが価値を持っており、鉱物のため埋蔵量に限りがあり、希少価値も高いです。そのため、無価値になることがなく、高い価値も保つという大きな魅力があります。

価値基準が世界共通

先進国であっても発展途上国であっても金の価値は世界共通になっています。つまり、金の取引価格は世界のどこでも大きな違いはないのです。金取引では主にドルが使われていますが、例えば今日の金価格が「1トロイオンスあたり1500ドル」であれば、世界のどの国でも金価格は1500ドル程度となります。実際には為替の状況によってドル以外の通貨に換算した時の価格は異なってきますが、金の価値自体は世界共通です。

また、金は世界中のマーケットで取引されていますが、特定の国の経済状況には依存していません。いわゆる「無国籍のお金」として世界各国の銀行が保有量を増やし、世界経済に大きな役割を持っています。そのため、長期的な視点で見ると非常に安定した価値を保っており、投資しやすい資産であると言えます。

実際の金先物(NY)の推移

ここでは、1980年以降、金価格(NY金先物)がどのように動いてきたかを表しました。金価格が高値をつけたのは、オイルショックの後の1980年、リーマンショックの後の2011年、新型コロナウイルスによる悪影響が懸念された2020年などとなっています。

2003年あたりからの上昇が特に大きいのは、中国・インドでの金の消費量が増加したことが挙げられます。

金価格の過去の高値を見ますと、1980年に882ドルの高値をつけた後、2011年の高値が1915ドル台、2020年の高値が2089ドル台、2023年5月の高値が2102ドル台となっています。上値を徐々に切り上げていますが、オイルショック、リーマンショック、コロナによるショックなどを受けて大きな上昇をしてきたことを考えますと、ドルで見て金価格が急騰するにはやはり大きな材料が必要ではないかと考えます。

短期的には、2100ドル前後が上値メドになりやすいと考えます。

もっとも、2003年あたりからの上昇の原動力にインドでの消費量が増えたことがあることを考えれば、今後もインド経済は高成長が予想されることから、再び一段高となる場面が来る可能性は高いと思われます。

<参考資料1>

・DAILY FX(https://www.dailyfx.com/jp/education/commodities/what-is-gold.html

<参考資料2>

・三菱マテリアルの金投資(金投資の特徴|三菱マテリアルの金投資|純金積立なら三菱マテリアル GOLDPARK(ゴールドパーク) 三菱の金 (mmc.co.jp)

<参考資料3>

・買取専門 おたからや(https://www.otakaraya.jp/contents/gold-platinum/price-gold-rises/

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