「考えるより、まず動く」――M&A仲介で掴んだ“スピード経営”の本質 

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「自分でやった方が早い」──起業の原点は、もどかしさから

「高校生ぐらいのころから、“いつか起業したい”という気持ちはありました。」

そう語るのは、M&A仲介を中心に事業を展開する株式会社アイビーキャピタル代表・中野佑祐さん。2022年10月3日に同社を設立して以来、国内外の企業をつなぐ架け橋として数々の案件を手がけています。

大学卒業後、中野さんは証券会社に入社。金融や企業の資本戦略に関わる中で、M&Aの世界に魅力を感じるようになりました。しかし、会社員としての働き方にはどこか“スピード感の欠如”を覚えていたといいます。

「書類の稟議に1週間、印鑑をもらうのに2日。意思決定が遅くて、正直もどかしかったですね。もちろん組織だからしょうがない側面はあるんですが『自分でやった方が早いんじゃないか?』と思うようになりました。」

そんな思いが、起業への引き金となりました。

起業直後は、大学時代の知人から「会社を売りたい人がいる」と紹介されたことをきっかけに、初の案件を手がけることになります。まさに“タイミングと縁”が重なった瞬間でした。

紹介から始まるM&Aビジネス——信頼の輪を広げる

「最初は紹介ベースでしたね。知人のつながりから始まり、徐々に口コミで広がっていきました。」

M&Aという事業は、単に“会社を売る・買う”という取引ではありません。経営者の想い、従業員の生活、取引先との関係……そのすべてを引き継ぐ責任が伴います。だからこそ、“信頼”が何よりも重視される世界です。

「結局は“人対人”なんですよ。売り手も買い手も、AIやシステムでマッチングされるだけでは動かない。信頼できる人が間に入るからこそ、前に進むと思っています。」

近年、AIによるマッチングサービスや業界調査ツールが増えていますが、中野さんは「それだけでは完結しない」と断言します。
「AIは全然使っていません」と笑いながらも、その言葉には“本質を見極める力”が感じられました。

行動の先にしか“正解”はない

インタビューの中で何度も出てきたのが、「まず行動する」という言葉。

「うじうじ悩んで、来年にしようとか考えても意味がないと思います。変なリスクを考えすぎず、まずは動くこと。動いてみないと、何が問題なのかもわからないんですよ。」

これは、これから起業する人たちにとって何よりの教訓です。頭の中でリスクを並べても、現実の課題は想像とは違う形で現れることが多い。
“やってみて初めて見えるもの”がある。中野さんの言葉には、経験に裏打ちされた重みがあります。

「まだ3年目ですけど、やっぱり行動したから今があると思っています。」

起業は“準備”よりも“実行”に価値がある。
中野さんの経営スタイルは、まさに“スピードと柔軟性”に支えられています。

海外へ広がるネットワーク——新たな挑戦

近年では、海外案件にも挑戦しています。

「取材いただいている現在、ちょうど今はフィリピンにいて、7月にはベトナムの会社のM&A案件がありました。日本の企業が買いたいというケースです。」

国を超えた企業間取引が増える中で、中野さんの活動フィールドも着実に拡大中です。業種も金額規模もさまざまですが、「M&Aを通じて、良い出会いを増やしたい」という思いは一貫しています。

「もし周りに“会社を売りたい”という方がいれば、ぜひ声をかけてほしいです。業種は特に問いません。」

その言葉には、柔軟さと挑戦心が共存しています。
中野さんにとってM&Aは、単なる取引ではなく「人と人をつなぐ仕事」。そのスタンスが、国内外の企業から信頼を集める理由でしょう。

起業を考えるすべての人へ——「考えるより動け」

最後に、これから起業を考えている人へメッセージをお願いしました。

「本当に、考えるより動くことが大事です。やってみれば、思っていたリスクの大半は“考えすぎ”だったと気づきます。行動すれば、必ず何かしらの結果が出る。それを見て、次に修正すればいい。」

“完璧な準備”は存在しない。だからこそ、“まず動く”。その積み重ねが、事業を成長させる一番の近道です。

インタビュー内でも繰り返しおっしゃられ、ご自身で実行しておられるなかでのアドバイスには非常に重みがあります。

おわりに:スピードと信頼が、未来を変える

中野さんのストーリーは、知人が起業直後に案件を紹介された、というところだけ切り取ると「運が良かった」ように見えるかもしれませんが本質はそこではないことがわかります。
案件を紹介してもらえるような「信頼」と「機会」があった、

これは、そこに至るまでの中野さんの、「動く」「つながる」「信頼される」――この3つを徹底してきた結果です。

M&Aという専門的な世界であっても、根底にあるのは“人間力”。
その力を磨くためには、机上の計画よりも現場での一歩が大切だと、中野さんは教えてくれました。

「自分でやった方が早いと思った。」
「考えるより行動した方がいい。」

そのシンプルな言葉が、これから起業を考えるすべての人にとっての原動力になるはずです。

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