「100年続く、地域密着型歯科医院」を志す――医療法人百花繚乱(ほほえみ歯科)理事長・松岡督明氏インタビュー

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「起業されたのはいつ?(何年前)」「起業しようと思ったきっかけは」

私は2010年に朝日大学歯科学部を卒業後に勤務医として経験を積み、2016年に大阪府高槻市で「ほほえみ歯科」を開業しました。

その後、スピード感をもって2号店・3号店である「ひだまり歯科」「「いろどり歯科」を開業し、法人化として医療法人百花繚乱を設立しました。そこから継続して分院展開や本部機能の整備を重ね、現在はグループとして診療科目の拡充や人材育成に取り組んでいます。

歯科医師としての原点は大学・研修医時代に培った口腔外科の臨床経験です。朝日大学歯学部を卒業後、高知大学医学部附属病院の口腔外科で臨床研修を修了し、一般開業医での勤務を経て、地域医療の最前線で「幅広い症例に責任を持って向き合う力」を鍛えていただきました。この積み重ねが、最初の一院を高槻という街で“顔が見える医療”として根づかせるという開業動機につながりました。

また、法人の掲げるビジョンは「100年以上続く医療法人」。一代で完結しない、地域に継承される医療体制を築くことを明確な旗印にしています。


「大変だったというエピソード」

最初の数年でもっとも大変だったのは、規模拡大と品質維持の両立でした。診療ユニットや人員を拡充し、分院を展開していくプロセスでは、どうしても「スピード優先」と「安全・品質重視」がせめぎ合います。私たちは「患者様の安心が最優先」という原則を崩さず、滅菌・衛生管理の標準化、説明責任(インフォームドコンセント)の徹底、スタッフ教育の体系化を進めました。グループとして高槻では最大規模となる拠点づくりも、設備投資・人材確保・動線設計など多面的な意思決定が必要で、現場と経営が同じ地図を見るための仕組み作りに苦労しました。

具体的には、

  • 院内オペレーションの統一:受付〜説明〜会計までの“患者様の体験”を標準化し、分院間で品質のバラつきを抑える。
  • 専門性の見える化:インプラント・矯正・審美など自費領域でも、初診時からリスクと代替案を整理して共有する仕組みを徹底。
  • 人材育成の連続性:新人・中堅・リーダーで段階的な教育カリキュラムを整備し、評価と面談でフィードバックの速度を上げる。

これらは一朝一夕では身に付きません。とくに採用市場が逼迫するなかで「文化への共感」を重視した採用基準を維持することは難易度が高く、“人が育つ仕組み”を先に作るという逆算思考が必要でした。

「こうすればうまいこといっていたのではないか?」

振り返ると、もっと早い段階で“本部機能”を設計しておけば、現場の負担をさらに軽減できたと感じています。例えば、経理・広報・法務・人事・教育のハブとなるチームを初期から明確化し、各院が診療に集中できるようにする――この考え方は後にグループが本部機能を持つようになってから一層強まりました。

また、カスタマージャーニー(問い合わせ→来院→治療→メンテナンス)をデータで“見える化”しておけば、投資配分や教育テーマの優先順位付けがもっとスムーズだったはずです。実際、インプラントや矯正のように説明量の多い治療では、初期説明の質が満足度と継続率に直結します。初期から説明資料・動画・模型を用いた一貫したカウンセリングを全院で統一していれば、転院やスタッフ入替えの局面でも体験価値をさらに均質化できたと考えています。

「個人的もしくは業務にAI利用はされてますか?」

現時点では、院内マニュアルの下書き研修資料の要点整理、患者様向け説明文の読みやすさチェックなど、ドキュメント領域で限定的にAIを活用して行く準備を整え、従業員研修なども拡充していく予定です。

ただし、現場業務としてはやはり「医療」という、直接お越しになられたもしくはご訪問させていただくというのが本業となりますので、将来は分からないですが現時点では業務補助・バックオフィス的な立ち位置にとどまると考えております。

「これから起業する人・プロダクトを作る人に一言」

“最短距離”より“継続距離”。 起業初期は売上の波に心が揺れますが、医療・ヘルスケアの領域であればなおさら、「安全と誠実さ」を軸に事業を積み上げるべきだと考えます。短期の勝ち筋に寄りかかった戦略は、信頼の毀損と紙一重です。

もう一つは、“人が育つ仕組み”を先に作ること。採用・教育・評価・称賛のループが回りだすと、品質もカルチャーも自走します。逆にここを後回しにすると、採用数を増やしても離職や品質低下で焼き直しに時間を取られます。

プロダクトづくりでも同じです。顧客の「不安」を正しく定義し、説明責任を果たす体験設計を先に固める。医療法人としては、インプラントや矯正のような選択肢の広い治療でこそ、この考え方が生きます。よい体験の連続が、紹介と再来の土台をつくるからです。

当然私も、ここまでスピード感をもって経営してきたので、売り上げ10億医院を作り上げるうえで失敗やピボット、時には取引先にご迷惑をおかけしてしまうこともありました。ですがそこで逃げ出すのではなく、お互いに尊重しあえる範囲で法律論ではなく「通すべきスジ」をきっちり通して話し合えば、必ず道はひらけます!

とはいえ一方で、残念ながら「すべての人と分かり合えるわけではない」という割り切りも、ある程度必要にはなりますが。

同業他社の方や協業できそうな方に向けて

医療法人百花繚乱グループおよび私、松岡 督明は歯科医院の経営と仕組化を軸にしつつ、「同業他社の方々の助けになれる事業」を横展開しております。

意図として、我々もやしなうべきスタッフ・従業員がいるため、「事業」として売り上げ・利益は頂戴しなければいけません。ただその一方で、歯科医院に限らずではありますが「地域医療というのは社会的に責任がある立場であり、自分だけが儲かればそれでいい」というわけでは、決してありません

医院の経営・仕組化や、開業されてからの安定化に悩んでいる方に向けて、例えばMillionaire Dentist Club(ミリオネア・デンティスト・クラブ、通称「MDC」)という歯科院長専門の経営学習+スポットコンサルタント付きの学習媒体を、財務・経営顧問の株式会社BFPホールディングスさんと共同運営しております。

また自社グループとしては競争力がある歯磨き粉などの製品開発事業や歯科経営のフランチャイズなども企画しており、「一緒に歯科医院経営を盛り上げ、地域医療に貢献しよう」をスローガンに活動しております。

内容にご興味がある方、遠慮なくお声がけください。

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