株式会社エッジコネクション 代表取締役 大村氏インタビュー

起業のきっかけ──始まりは学生のノリから本格的な事業へ
株式会社エッジコネクション代表の大村氏が最初に起業したのは、今から20年以上前のこと。2003年12月、まだ大学生だった彼は、いわば「学生ノリ」で事業を立ち上げたと振り返ります。
「今にして思うと、当時は若さに任せた勢いでやってみた感じで、不純とまでは言わないですがちょっと軽い気持ちでした」
その後、紆余曲折あり会社員として一度就職し、2007年1月に再び独立。サラリーマン生活を経たことで、起業への考え方が大きく変わったといいます。
「会社で一番感じたのは、“ずっと上からの指示に従って動くことが基本で、自分の成長が遅い”ということでした。もちろん、組織で働くことで学べることも多いですが、自分で考えて動く力が鈍ってしまう。自分の成長を実感したかったんです。」
社会に出て、組織の構造を知り、現場で鍛えられた経験。その上で「やはり自分は勤め人ではなく起業家だ。もう一度やってみたい」という思いが再燃し、再度の起業に踏み出しました。
「仲間との起業」が教えてくれた、痛みを伴う学び
再起業は順風満帆とはいきませんでした。10年前、4人の仲間とともに新しい事業を立ち上げたものの最終的に残った創業者・ボードメンバーは自分ともう一人だけ。
しかも、その最後の一人も最終的に離脱し、決定的な転機となりました。
「最後に抜けた方のやめ方がうまくなくて、社員も10人いたのが2〜3か月の間に半分ほどに減ってしまい、正直つらかったです。彼には副社長として実務をすべて任せていたんですが、意思決定の面では序列があいまいだった。社員が『社長と副社長、どっちの指示を聞けばいいんですか?』と迷うような状況が続きました。」
社内の指示系統がぶれれば、現場も混乱します。最終的に「どちらかが辞めるしかない」となり、組織としての方向性を決断するタイミングが訪れます。
「副社長とは長年の仲でした。話し合いの翌週には自分が辞めるわけにはいかない業務も控えており、よって、私が残ると決断しました。ですが、実務は全部任せてましたので、ほぼ全てリセットするような形になり、改めて起業したかのようでした。あの瞬間は本当にきつかった。精神的にも、経営的にも。」
しかし、大村氏はその経験を通して、「人間関係に甘えない経営」の重要性を痛感したといいます。
起業の教訓──序列と敬意の重要性
「友達と起業するときは、ちゃんと上下関係をつけて、敬語を使い、役職などのけじめを明確にすべきです。」
スタートアップ期のフラットな関係性は一見、自由で風通しがよく見えます。しかし、いざ意思決定やトラブル対応となると、“責任の所在”が曖昧になるリスクがあります。
大村氏は、自身の経験から「友人と起業する際には、序列をはっきりさせることが何より大切」と実感したといいます。
「起業したら敬語を使い、社長は社長と呼ぶなど、立場を明確にしておくこと。これが後々の信頼関係を守るポイントです」と語ります。
序列が曖昧なままだと、後から入社する社員が“誰の指示を聞けばいいのか”混乱してしまい、組織運営に支障をきたすこともあるのです。
この経験から得た教訓を、大村氏は「これから起業する人たちにこそ伝えたい」と話しています。
経営は“仲良しクラブ”ではなく、ミッションを遂行するための組織である――。その当たり前の原則を、実践と痛みの中から学び取ったのです。
AIは「使う人の知恵」で差が出る時代に
近年、大村氏が注目しているのがAI(人工知能)の活用です。
すでに自社では研修費を投じてAI活用の研究を進めており、データ分析などで実務に組み込んでいます。
「AIは、大学を卒業したくらいの知識レベルまでは十分にこなせると思います。人間が出てこない発想を出してくれたり、分析の手間を減らしてくれたりする。使い方次第では大きな武器になると思っています。」
一方で、AIに任せるだけではなく、“使う側の賢さ”が問われるとも強調します。
「AIは大学院レベルの知識を持っていますが、使いこなすのは人次第です。使う側が賢くないと、うまく活用できません。今後は“AIを使いこなす人”と“使われる人”で、貧富の差や格差がますます広がるでしょう。」
このような現実的な視点は、これまで数多くの経営判断を下してきた大村氏ならではの洞察といえます。
起業を考える人へのメッセージ
「起業はしんどい。だからこそ、準備がすべて」
自由・自主性・大きな将来性。起業が語られる場合はそういった「正」の面がクローズアップされがちですが、大村氏は現在、多くの起業志望者から相談を受けておられます。その際に必ず伝えるのが「起業は間違いなくしんどい」という現実です。
その上で、相談者にはこう伝えるといいます。
「やめろとは言わない。でも、どうしてもやりたいなら、まずは今いる会社でエースになってください。企業で一目置かれる存在になっておくことで、独立後も社会で通用する力をつけられます。また、万が一うまくいかなくても戻ってくることができ、人生の保険になります。」
この言葉には、かつての自身の失敗や苦労を乗り越えてきた実感が込められています。
さらに、大村氏は独立準備の重要性も強調します。「会社を辞めてから起業準備をするのではなく、退職前に準備を詰めて、スムーズに事業を進められる状態にしてから独立してください」と語りました。
エッジコネクションの事業とサポート
大村氏の会社、エッジコネクションは営業関係のコンサルティングを中心に事業を展開しています。起業を考えている方や新規プロダクトを作ろうとする方に対して、社長へのコンサルタントという立場で接することができ、独立までのノウハウや経験を提供しています。「独立ってどんなものかを体験できる場としても、ぜひご縁を持ってもらえたらと思います」と大村氏は話します。
会社としては、営業に関するコンサルティングを中心に、企業の成長フェーズに応じた幅広いサポートを行っています。
新たに事業を立ち上げる方や起業を志す方への支援はもちろん、既存事業の拡大や営業組織の強化といった領域でも支援を行っており、その実績から現在累計1,700社以上との取引がございます。
こうした環境の中で、具体的な知識と現場での経験を学べる環境を提供することができるのです。
終わりに
大村氏の経験は、学生時代の軽い気持ちから本格的な起業へ、仲間との別れや組織運営の難しさ、そしてAIの活用と未来への考え方まで、多くの示唆に富んでいます。
これから起業を目指す方にとって、準備の重要性や組織での序列の大切さ、そして現職での実績を積むことの意義を学ぶことができるインタビューとなりました。
株式会社エッジコネクション 公式ページ
https://edge-connection.co.jp/


