日本株にフォーカスが当たり始めてきた?

ちょうど1年ぐらい前、2021年の秋は米国株市場が絶好調といえる状況でした。
米国の多くの株価指数が最高値更新を繰り返していました。
筆者はそんなときすら日本株を主戦場にしていました。
その畑で仕事をした経験がある故、米国株より理解が深いことと、絶好調な市場に多くの金額をゆだねることをよしとしなかったからです。
そんな状況を見て「今時、日本株?」と思っていらっしゃった方もいるかもしれませんが、さしあたり現時点ではそんなにまずい選択でもなかったように思います。
2022年、あくまでも過去の近年と比較してという意味ですが、日本株に少し注目が集まり始めているように感じます。
しかしながら、あまり日の目を浴びなかったせいでしょうか。
日本株事情をあまり知らないという方も少なくないように感じます。
この記事では、代表的な日本株指数の一つTOPIXにフォーカスを当てます。
TOPIXとは
この表はJPXのwebsiteに掲載されているTOPIXの説明です。

出典: JPX
これではさっぱりわからないので、「東証指数算出要領(TOPIX編)」(https://www.jpx.co.jp/markets/indices/topix/tvdivq00000030ne-att/cal2_30_topix.pdf)
(以下:算出要領)の内容を少し引用してかみ砕きます。
TOPIX は、日本の株式市場を広範に網羅するとともに、投資対象としての機能性を有するマーケット・ベンチマークである。内国普通株式を対象とし、新株予約権証券、優先株式、出資証券等は算出対象外とする。
「内国普通株式」は、東証には外国企業の株式もわずかに上場していますが、それらはTOPIXの対象とはならないこと、またREITやインフラファンド、ETFはTOPIXの対象にはならないということです。
TOPIXは2種類ある??
算出要領には、こんな記述があります。
「本資料では、(中略)TOPIX(東証株価指数)及び上場時価総額加重 TOPIX(旧東証株価指数)(以下、「TOPIX等」という。)に関する算出方法等を示す。」
TOPIXと上場時価総額加重TOPIXって何だ?と思われたかもしれません。
これは、2022年4月に東証の株式市場再編に伴って生まれた言葉です。
区別しやすくするため「TOPIX」は「現TOPIX」と呼ぶことにします。
2022年4月に、東証の株式市場は以下の図の再編がありました。

出典:JPX
この再編時にそれぞれの市場の上場基準も変更点があり、かつて市場第一部に所属していたからと言って、無条件にプライム市場に所属できたわけではありません。
上場企業は2022年4月からの市場区分の上場基準に基づき、市場選択手続きを行いました。
この時、旧市場第一部所属であっても、プライム市場の上場基準を当面満たせないと判断して他市場を選択した企業もありますし、東証に上場基準達成の計画書を提出することで猶予を得てプライム市場を選択した企業もあります。
「上場時価総額加重TOPIX」は、旧市場第一部に上場していた内国普通株式全銘柄で構成されていた株価指数です。その構成銘柄は市場再編後の現TOPIXも継続して採用しています。つまり、現TOPIXには「プライム市場」以外に上場している銘柄も含まれています。
しかし、所属市場を問わず「流通株式時価総額」の基準を満たせていない銘柄については、段階的にTOPIXにおけるウエイトを減らしていくことになっています。
この点については、次回もう少し詳しく触れます。
連動資産がそれなりにある株価指数である
現TOPIXが上場時価総額加重TOPIXをほぼほぼ引き継いだのにはわけがあると考えられます。
JPXのwebsiteにこのような記述があります。(https://www.jpx.co.jp/equities/market-restructure/revisions-indices/index.html)
「TOPIX(東証株価指数)は、(中略)広く市場関係者に利用されてきました。近年ではパッシブ運用の隆盛などに伴い、TOPIXを投資対象とするETF及び年金信託運用等の連動運用資産は70兆円を超えるとともに、大阪取引所及びシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)においてTOPIXの先物取引が行われるなど、様々な形で利用されています。」
70兆円という決して小さくない連動資産がある株価指数の構成銘柄を、市場再編を理由に、いきなり変えるのは構成銘柄への影響が小さくないと判断したと考えられます。
わかりやすく言えば、「プライム市場」所属ではないから、いきなり除外とか、いきなり大きくウエイトを減らすのは該当銘柄の株価に大きく影響が出るのを避けようとしたということです。
この辺りは、もう少し突っ込んだ方がより理解が深まると思いますので、次回改めて触れます。
まとめ
TOPIXは日本の株式市場を代表する株価指数の一つである
2022年4月の東証の株式市場再編に伴い、現在はTOPIXと名のつくも
のが2種類あり、只今変化の過程中
市場再編時にTOPIXも全面変更しなかったのは、それを実施することによる株価への影響が大きいからと想像される
