日銀新総裁、植田和男氏を起用へ 経済学者で元審議委員: 日本経済新聞 (nikkei.com)より画像引用。
皆さんこんにちは。「金融商品を売らない投資と財務の専門家」、BFPの土居でございます。
本記事では、サプライズ人事となりました「日銀新総裁の植田和男とはどんな方なのか?」と、投資商品(株式・債券・FX)への影響などについて解説していきます。
日銀新総裁の植田和男氏とは?
まず、今回のサプライズ人事となった植田和男氏(以下、「植田氏」)のパーソナルデータから解説していきましょう。
植田氏は経済学者で、東京大学の名誉教授や東京大学大学院経済学研究科長などを歴任されております。
また専門分野としては「マクロ経済学」と「金融」です。
マクロ経済学とはつまり、「マクロ(巨大)」な視点、世界や国家といった単位で経済を見る学問であり、国家自体を裕福にするという観点(つまりは株価など)に注視する反面、市民単位での生活にはあまり気が行き届かない、という問題があります。
ここからは筆者の所管ですが、本記事執筆時点の岸田政権はどちらかというとミクロ視点、「まずは賃金を上昇させよう」「株価に関しては、暴落は望んでないが、上げようとも思っていない」と考えている節があります。
岸田政権の見方に関しては異論があるかもしれませんが、景気後退・停滞の現在、増税、とりわけ消費税増税や社会保険料アップに必死な岸田政権がマクロ単位で経済を見ている(株価などの上昇をさせる気が本気である)とは思えないので、このような分析をしています。
※ワンチャンス、「株価は上げたいけど予算と利権のため増税を辞められないアホである」という可能性がありますが、一国民としてこっちであると判断はしたくないので、上記のように好意的に解釈しています。
植田氏の過去インタビューと分析
結論として、植田氏はYCC(イールドカーブコントロール、日本においては低金利政策)の推進継続派となります。ただし、やや「タカ派」、必要であれば金利は引き上げるというスタンスであることが相場の懸念材料にもなります。
イメージとしては、FRBのパウエル氏と同じ、と考えていただければわかりやすいでしょうか。
もともとはハト派でありリスクを取らない方針(金利を上げない方針)だが、現在のような景気情勢になれば遠慮なくコントロールする。こういったスタンスには、お二人の共通点が見えてきます。もちろん、国が違うため完全に行動が一致するとは思えないですが、参考サンプルにはなります。
次に、植田氏の過去インタビューなどの情報を見ていきましょう。まず直近の日経新聞の記事から。
(リンク)植田和男氏「日本、拙速な引き締め避けよ」 物価上昇局面の金融政策: 日本経済新聞 (nikkei.com)
2022年7月6日、リンク先記事のヘッドラインには以下のようにまとめられています。
○2%インフレの持続的な達成には程遠い
植田和男氏「日本、拙速な引き締め避けよ」 物価上昇局面の金融政策: 日本経済新聞 (nikkei.com)
○円安回避のための利上げは景気悪化招く
○世界経済の減速が金融政策変更の重荷に
このことからも、「緩和の継続(金利を上げるとインフレ=物価上昇はとまる)」「円安よりも物価を重視している」ということが見えてくると思います。
日銀のスタンスとしては、「騙し騙し今の緩和状態を維持して、各国のインフレが対峙されれば利下げがはじまる。だからこのままYCCを維持していても為替レートは元に戻るだろう」という方向で考えていると思います。
ではなぜ、「就任ニュースがでた瞬間、円が買われているのか?」についてです。
(リンク)円急伸、日銀新総裁に植田氏起用の報道-長期金利0.50%に (訂正) (msn.com)
参照リンク先の記事に「とりあえずマーケットは円を買っているだけ(どう反応すればいいのかわからないのでは?」と書かれています。弊社も同感です。
下馬評では雨宮氏(ハト派)だったのが、目論見が外れた!とりあえずポジションを清算して円を買おう!その程度の動きで、大きな意味はないと思います。なので弊社はそれを前提に短期ポジションを建てています。
投資商品への影響は?
まず、短期的には「円買い」による円高ドル安が進みますが、これは最長でも数日で戻るでしょう。日銀のスタンスは何も変わってないからです。
上記に引きずられる形で数日はやや株高傾向、とはいえ冒頭に述べましたように政権が頼りないですし、弊社は1年前の勉強会などでお伝えし続けているのですが、日経平均の指標などに連動するETFで稼げるボーナスステージは終了している、と思ってます。
なので、株価全体としては大きな金融政策の変更が国内外でない場合は横ばい~緩やかな下落ではないかと予測します。とはいえ、アフターコロナで株価を戻す企業もあるでしょうが。
なので、投資の前提としては「大きく資本を投下すべき時ではない」「光る個別銘柄を国内で探そう」という方針になります。
なぜ海外の個別銘柄がダメなのか?円高になると、そこで含み損がでるからです。もっと専門的な話をすると、実はこういったときに(手数料を払ってでも)投資信託がより大きなリターンを出せる場合もあるのですが、それは別の話としておきましょう。
まとめ
- 新総裁最有力候補だった雨宮さんよりは「ややタカ派」
- だが、YCCの急速な終了は考えていない
- 相場は現在過剰反応だが数日で戻す
- 株価は横ばいか下落(今までの日銀スタンスと変わらない)
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