破綻が懸念され続けている、クレディスイス銀行とは?

スイスの名門銀行である「クレディスイス銀行」の破綻が懸念され、ついにはUBSが31億5000万ドル(約4200億円)で買収することで合意しました。

今回の株安・ドル安円高騒動に結び付いたクレディスイス銀行がどのようなものなのか知らないという人も多いのではないでしょうか。そんなクレディスイス銀行がどのようなものなのか、そしてクレディスイス銀行に悪影響を与えたものなどを解説していきます。

目次

クレディスイス銀行とは?

皆様は何となく、富裕層が使う「プライベートバンク」という言葉を聞いたことがありますが。クレディスイスというのはまさにそれ「でした(過去形です)」

クレディスイスは160年以上の歴史の中で、銀行業務に関するあらゆる経験と専門知識を培ってきましたが、現在では約5年前から株価低迷と凋落が見て取れる、「元」名門銀行です。

クレディスイス銀行は、世界中の企業、機関投資家、富裕層、スイス人個人を含む幅広いお客様に、専門的なアドバイス、包括的なソリューション、革新的な商品を提供しています。

富裕層や資産管理、投資銀行や資本市場サービス、商業銀行やプライベートバンキング、リテールバンキングなど、完全に統合された金融サービスへのアクセスを世界中のお客様に提供できる・できていた、というのが特徴です。

※一部、公式ページより抜粋・リライト

・・・という書き方をすると「なんかすごそう!!」というイメージが浮かぶかもですが、もう一度読んでみてください。日本のネットバンクでも普通にできることばかりです。そもそもが、すでにプライベートバンクというのは時代遅れのビジネスなのですが、その中でもうまく方針転換できなかった巨大銀行が、ここです。

またクレディいスイスはそんな中でも、現在も50カ国以上で事業を展開し、150以上の国籍の従業員が約5万人(2021年末)働いている「非常に大きな銀行」です。また、クレディ・スイス・グループの株式(CSGN)は、スイス(SWX)およびニューヨークでアメリカ預託証券(CS)として上場されています。

つまり、「巨大すぎてつぶせない」というやつです。

クレディスイス銀行に悪影響を与えた事件とは?

とはいえ、あたりまえですが「最初から業績が悪かった」わけではありません。

ここでは近年、クレディスイス銀行に悪影響を与えた事件について解説していきます。

1:グリーンシル・キャピタルの破綻

グリーンシル・キャピタルは、企業が保有する売掛金を売却することで資金を調達するファクタリングの一種であるサプライチェーンファイナンスを専門とする企業でしたが2021年に破綻しました。

サプライチェーンファイナンスとは、商品の供給網に金融機関が絡み、事業の円滑湯となるサービスではあるのですが、今日の記事では大した内容でないので流します。

大事なポイントとして同社は、顧客が発行する債権のリスクを引き受けることで利益を得ていました。

が、その債権の信用リスクを適切に評価することができず、それが同社の破綻の一因となりました。

また、グリーンシル・キャピタルは、複数の投資家から資金を集めその資金をもとに新たな融資取引を行うというビジネスモデルを採用していました。しかし、同社が投資家に提供していた資金調達商品が過大なリスクを含んでいたことが判明し、投資家が同社への投資を中止したことが破綻の一因となりました。

この一連の流れによりクレディスイスは約50億ドル(当時のレートで5000億円)の巨額損失が生じたとも言われ、経営悪化の一因となりました。

2:アルケゴスキャピタルの破綻

こちらも2021年初頭の事件ですが、アルケゴスキャピタルの倒産劇も、クレディスイスに大きな打撃を与えました。その額は50億ドル(約5500億円)とも言われています。

アルケゴスキャピタルの事件としては短期間に大量の取引を行うアルケゴスキャピタルに対して、クレディスイスが過剰な与信やリスク管理を行わなかったことが巨額の損失の原因となっています。

規制当局や機関投資家からの再三の警告にもかかわらず、クレディスイスは銀行の資金を守るために必要な適切なリスク管理を行ないませんでした。この監督不行き届きと警告サインの無視は、アルケゴスが破綻した損失だけにとどまらず、最終的にヘッジファンドやその他の機関への信用供与を行う「プライムブローカレッジ事業」部署の閉鎖につながり、結果的に収益源の一つを失うことになりました。

経営不振での顧客資金の流出

これらに追い打ちをかけるように、クレディ・スイス・グループは、2022年12月期の最終損益が72億9300万スイスフランになったと発表しました。経営不安による顧客の預かり資産の流出で収益性が低下したことが原因といわれています。また、投資銀行部門も悪化し、リストラ費用が計上されました。

こうなると銀行は

  1. (銀行)預金現金で持っとくのは損だ!国債を買うぞ!
  2. (顧客)経営やばいらしいな!!預金を引き出すぞ!!
  3. (銀行)えっ!?現金が足りない!国債を売却だ →損失確定して大損発表
  4. (顧客)やっぱり経営が危ないんじゃないか!!現金を引き出せ!!
  5. 3に戻る。以下、倒産までエンドレス。

というルートをたどります。

2023年現在、シリコンバレーバンクが破綻したのがこの流れです。

幸いにしてクレディスイスは破綻までいきませんでしたが、この財務的な後退を克服するため、同社は事業再編を行い、現在に至ります。ですが、構造改革は道半ばで、UBSに買収される形となりました。

まとめ

「元」名門銀行

大きすぎてつぶせない

今回の騒動以前に2つの事件で損失を被っていた

UBSに救済買収された

今回はクレディスイス銀行における破綻の懸念に際して、クレディスイス銀行がどのようなものなのかなどについて紹介してきました。クレディスイス銀行には今後さらなる動きがある可能性が十分にあるので今後も目が離せないでしょう。

投資・運用の参考にしていただければ幸いです。

URLをコピーする
URLをコピーしました!

この記事を書いた人

本メディアを運営する「金融商品を売らない投資と財務の専門家」、BFPホールディングスです。

投資や財務の学習・計画補助・コンサルタントをご希望の方は、「こんなこと相談していいのかな・・・?」とお悩みになられる前にご連絡ください。

目次
閉じる