月別に見た日経平均株価の騰落状況

日経平均株価は、月別などで見るとある程度の傾向が見て取れることがあります。投資の教科書でも、「アノマリー(経験則)」という言葉で述べられることがあります。こうした時間軸で株価の傾向を見ていくことは軽視できないと考えます。

今年の日経平均株価は、5月、6月に堅調に推移しました。このような年はその後どのような動きを見せたのかを中心に、日経平均株価の季節的な傾向を調べてみました。

目次

5月に上昇する年には堅調な傾向がある

今年の日経平均株価は、4月終盤から堅調に推移しています。5月の日経平均株価の騰落率は、プラス7.0%と比較的大きな上昇となりました。

もともと、1-3月期の決算発表を終えて、夏休みを控えるこの時期の株価は「5月に売り抜けろ」という相場格言があるように、株価は下がりやすい傾向がありました。

2001~2010年の5月の日経平均株価の平均騰落率はマイナス0.3%でした。さらに、2001~2010年の7月、8月、9月、10月の平均騰落率はすべてマイナスとなっており、「5月に売り抜けろ」の相場格言が当てはまっていました。

しかし、2003年5月はプラス7.6%、2009年5月はプラス7.9%、2020年5月はプラス8.3%となっており、日経平均株価が安値から反発する際には5月の日経平均株価は比較的大きな上昇を見せる傾向があるようです。多くの企業が決算発表を行う前に悲観論を織り込んでいると思われます。

2003年は国内の金融システムへの不安などから立ち直る時期、2009年はリーマンショックから立ち直る時期、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大による懸念が後退した時期となりました。

過去の経験則から見ると、5月に大きな上昇が見られたことは、今後も堅調な動きが期待できる現象の一つと考えます。今年は、各企業が賃上げの動き、資本効率を意識した動きを見せています。

2011~2022年の5月の日経平均株価の平均騰落率はプラス0.2%となっており、平均で見ても5月はやや堅調な傾向に変わっています。

6月も上がりづらい傾向があったが、今年は大きく上昇

今年6月の日経平均株価の騰落率はプラス7.5%と、5月に続いて大きな上昇となりました。

「5月に売り抜けろ」との格言のとおり、もともと、6月の日経平均株価は大きく上がりづらい傾向がありました。2001~2010年の6月の日経平均株価の平均騰落率はプラス0.1%でした。

しかし、2003年、2009年、2020年の動きを見ますと、5月、6月と連続で上昇していました。このことも、今後の日経平均株価を占う上で、堅調な動きが期待できる現象の一つと言えそうです。

2011~2022年の6月の日経平均株価の平均騰落率はプラス0.2%となっており、近年の6月の傾向も少し堅調になっています。

7~9月あたりではいったん調整が入りやすい

これまでは5月、6月の日経平均株価が堅調であった年は、その後も堅調な動きが期待できることを述べてきました。ここでは、2001年以降の22年のうち、5月、6月にいずれも上昇した6回の動きをより細かく分けてその後の動きを見てみました、

①5月、6月ともにある程度大きな上昇(4%以上)を見せた年は2003年と2009年でした。

いずれの年も日経平均株価は8月まで上昇を続け、9月に反落しましたが、年末まで底堅く推移しました。

②5月に大きく上昇したが、6月に小幅な上昇となった年は2020年でした。

7月、10月に反落しましたが、年末まで堅調に推移しました。

③5月、6月ともに小幅な上昇を見せた年は2007年と2014年と2017年でした。

2007年、2017年は7月に反落しました。2007年は年末にかけて軟調に推移しましたが、2017年は年末にかけて堅調に推移しました。2014年は8月に反落しましたが、年末にかけて堅調に推移しました。

2007年を除くと、いずれも堅調であったことが分かります。今年の5月、6月の動きは①に分類されます。

7月の日経平均株価はまずまずの傾向

7月の日経平均株価は4-6月期の経済指標や企業業績に左右されやすいと思われます。2012年終盤に第二次安倍政権が発足し、2013年に日本銀行による大規模な金融政策が始まったのですが、その後コロナ禍に入るまでの7年間での7月の騰落は5回が上昇、2回が下落とまずまずの成績でした。コロナ禍に入った2020年5月がマイナス2.6%、2021年5月がマイナス5.2%となりました。2022年5月はプラス5.3%でした。

8月の日経平均株価の騰落率は引き続きよくない

夏場の株式相場を表す言葉としては、「夏枯れ」と言われるものがあり、上昇しづらい傾向があります。休暇を取る投資家がいることや、7-9月期の経済指標の発表、多くの企業の決算発表などを控えて、材料不足になりやすいことなどが背景になっていると考えられます。

過去12年間の8月の日経平均は6勝6敗。平均騰落率はマイナス0.8%とよくありません。8月も堅調に推移するようだと、日経平均株価の基調は相当強いと言えそうです。

秋口は上昇しやすい傾向がある

10月から12月までの平均騰落率を見ますと、第二次安倍政権の発足以降となる2012年終盤以降での好調さが目立ちます。9回上昇・2回下落し、平均騰落率は7.6%となりました。

日経平均は多くの事業会社、運用会社の決算時期の前で動きづらく、決算時期を過ぎたあたりでは動きやすく、上昇しやすい傾向が認められます。日米の株価指数は秋に安値を付けて、年末にかけて上昇する年がよく見られます。

今後の日経平均株価の見通し

世界の経済情勢を見渡しますと、ウクライナ情勢、中国景気の停滞懸念、米国による金融引き締めの影響など、見極めたい動きはありますが、国内要因を見ますと、コロナ禍による制限の緩和、円安の定着、各企業が資本効率を意識した動きを見せていることなど明るさも見え始めています。

7月下旬には日米欧で金融政策の決定会合が控えますが、市場の予想の範囲内の内容が示されれば、世界の株式市場の流れを大きく変えるものにはならないと考えます。

夏場あたりには、一時的に冴えない展開になるかも知れませんが、年末に向けては年終盤の堅調な展開が期待できそうです。

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