月別に見た日経平均株価の騰落状況(2)

日経平均株価は、月別などで見るとある程度の傾向が見て取れることがあります。こうした時間軸で株価の傾向を見ていくことは軽視できないと考えます。

「月別に見た日経平均株価の騰落状況」というテーマは、当サイトで8月24日に掲載しましたが、今回はそのときの内容を振り返り、今後の予想を加えて、述べたいと思います。各月の動きを見ると、その後の推移に影響を与えていると思われる月があるようです。

目次

 今年の月別の騰落率は例年の傾向に近い


表は、日経平均株価の月ごとの騰落率、およびその「2001~2012年の平均騰落率」、アベノミクスが始まってからコロナ禍となるまでの「2013~2020年の平均騰落率」、コロナ禍以降の「2021~2023年の平均騰落率」を示したものです。

今年のこれまでの日経平均株価の動きは、例年見られやすい傾向が表れたと言えそうです。それぞれの期間の平均騰落率を見ますと、2月から5月にかけて上昇しやすいこと、8月から9月に下落しやすいこと、11月に上昇しやすいことなどが今年も表れました。

5月、6月に大きく上昇した年には良い傾向がある

8月の原稿では、「5月、6月の日経平均株価が堅調であった年は、その後も堅調な動きが期待できる」ことを述べました。11月の上昇により、今年も堅調に終わる可能性が高くなりました。

特に、5月、6月ともにある程度大きな上昇(4%以上)を見せた年は2003年と2009年でしたが、いずれの年も日経平均株価は、年末まで底堅く推移しました。今年も5月、6月ともに大きな上昇となり、11月末まで底堅く推移しました。

今年については、各企業による業績の改善、資本効率を意識した動きなどを好感しました

11月に上昇しやすい傾向が今年も表れた

11月の日経平均株価は、上昇しやすい傾向があります。

10月は大手の運用会社が決算を行う時期とされ、手じまい売りが出やすく、10月末を過ぎると新たな買いが入りやすいことが背景になっています。4-9月期の中間決算の発表を終えて買いが入りやすい面もあるでしょう。

2012年終盤に第二次安倍政権は発足しましたが、[敬小1] 安倍元首相は2012年10月にすでに自由民主党の総裁に就任しており、[敬小2] 衆議院選挙を控えた2012年11月の日経平均株価は5.8%の上昇となりました 。2013年以降各年の11月の日経平均株価も堅調に推移し、2020年の11月まで9年連続の上昇となりました。

コロナ禍であった2021年11月は3.7%の下落となりましたが、2022年、2023年の11月も上昇となり、過去12年で11回上昇し、平均騰落率はプラス4.8%(表にはありません)となっています。

11月の日経平均株価の騰落率とその後の動き

11月に大きく上昇した後の傾向

ここでは、11月の日経平均株価が大きく上昇した後は、どう推移したかを調べてみました。

2001年以降の各年の11月の日経平均株価で、騰落率がプラス5%以上となった年は、(今年を除くと)2002年、2005年、2010年、2012年、2013年、2014年、2016年、2020年の8回です。

一方、日経平均株価で主な高値をつけた年は、2007年、2015年、2018年、2021年です。
2002年は翌年に安値をつけ、2010年も翌年に安値をつけましたが、それ以外の6回のケースはその後も上昇傾向となりました。

 11月に大きく下落した後の傾向

ここでは、11月の日経平均株価が大きく下落した後は、どう推移したかを調べてみました。

2001年以降の各年の11月の日経平均株価で、騰落率がマイナス5%以下となった年は、2007年、2009年、2011年の3回です

日経平均株価は、2007年に高値をつけた後、翌年のリーマンショックを受けて大きく下落しました。その後、2012年終盤に安倍政権が誕生するまでの日経平均株価は冴えない展開となりました。

このように見ると、11月の日経平均株価の騰落率は、その後の日経平均株価の動きを占う上で、一定の参考になりそうです。

12月も大きく上昇するようなら、より強い上昇基調示唆となる

11月に続いて、12月も大きな上昇(5%以上)となった年を見ますと、小泉元首相が郵政解散を行った後の2005年、安倍首相が誕生した2012年でした。1990年代に遡りますと円高が是正された1995年の11月、12月も大きな上昇となっています。11月、12月に大きく上昇すると、その後の日経平均は極めて強い展開になっています。

上記の2005年、2012年を除いて、11月が5%以上の上昇となり、12月に3%以上の上昇となった年は、2012年、2013年、2016年、2020年でした。やはり、その後の日経平均株価は上昇しました。

過去の動きを見る限り、12月も一定程度上昇するなら、その後の日経平均株価も上昇しやすいと言えそうです。

1月相場は良くない傾向があるが、一定程度上昇する年もある

過去23年間の1月の日経平均株価は12勝11敗。平均騰落率はマイナス0.8%と良くありません。

  • 2019年、2023年にある程度の上昇となり、2021年、2023年に高値をつけました。
  • 2016年、2022年に大きな下落となり、その年(2016年、2022年)に安値をつけました。

1月の騰落率がどうなるかも、一定の信頼度で、その後の展開を占う上で参考になりそうです。

 2月相場は上昇・下落が混在する

過去23年間の2月の日経平均は14勝9敗。平均騰落率はプラス0.3%となりました。上昇と下落が混在しています。

  • 2012年、2016年に大きな上昇となり、2015年、2018年に高値をつけました。
  • 2016年、2020年に大きな下落となり、その年(2016年、2020年)に安値をつけました。

2月の騰落率がどうなるかも、一定の信頼度で、その後の展開を占う上で参考になりそうです。

 今後の日経平均株価の見通し

過去の日経平均株価を振り返りますと、11月に大きく上昇したことからは、今後の日経平均株価も堅調に推移することが期待できそうです。日経平均株価は6月から10月に高値をつけるケースが多く、11月から2月にかけて強く推移することには良好な傾向があるようです。


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