筆者は2024年春から大学の教員を本業としています。
大学教員といえども、教育と研究にだけ従事していられるわけではありません。
例えば、「入試」はおそらく多くの大学で多くの教員が在籍中に何らかの役割を担うと思います。
「入試」が多い
多くの教員が在籍中に何らかの役割を担うであろう「入試」は実に多様化しています。
1989年に大学に進学した筆者は、35年経過した現在、その「入試」の違いに結構驚いています。
自分の時代にはなかった「総合型選抜」という入試があります。
ちょっと前までは「AO入試」と呼ばれていたものに近いようですが、学力試験ではなく小論文や面接、プレゼンテーションなどで選抜する入試のようです。やり方はそれぞれの高等教育機関によって異なるでしょう。
近年は国公立大学でも「総合型選抜」を実施している大学が少なくないようです。
筆者が勤務する大学では「総合型選抜」以外に「学校推薦型」やある特定の分野に関する特別選抜、大学共通テストの結果だけで合否を判定する入試などがあります。
「学校推薦型」は、筆者の時代にもありました。
高等学校に大学側が入学者枠を提示し、各校X名という形でその枠に応じ、高等学校側から推薦してもらう形です。
18歳人口が減少してきており、入学者数を確保したい高等教育機関の多くがこの形の入試を実施しているようです。
筆者の知人は近年子供の大学受験を経験したそうで、結構な数の「学校推薦型」が多い故、高等学校側が利用していない学校推薦枠もあるようです。高校生を持つ親で、特定の高等教育機関への進学を検討しているのであれば、早い段階で目指す高等教育機関への「学校推薦枠」があるかどうかを確認しておくといいかもしれません。「学校推薦枠」を利用すれば、大学共通テストを受験せずに進学を決められる高等教育機関も少なくないようですので、受験生の負担が減るでしょう。日ごろの成績が良好である必要はあるでしょうけれども。
さて、そんなわけで昨今「入試」の回数が非常に多いのです。
早いところでは、来春入試の合否が出ているような入試が実施されているでしょう。
入試の回数が多ければ、それに従事する人も増えるわけです。よって、入試に従事する教員も多くなるというわけです。
「入試」が早ければ、お金も早く必要
結論から申し上げると、「入試」の実施が早いということは、学費の納入期限が早いということでもあります。
多くの場合は、入学金だけは合格発表から2週間程度以内に納入しなければいけないケースが多いようですが、場合によっては前期の授業料もというケースもあるでしょう。以前、同様のことを書きました。
大学や学部によって異なるでしょうが、入学金と前期の授業料ということになれば、私大ですと少なくとも数十万円のお金が必要になります。
これ、非情ですが振り込みでと指示されることが多く、キャッシュが必要になるわけですね。
学費を「学資保険」で準備している方へ
高等教育にはそれなりにお金が必要であるという認識を持つ方は少なくないと思います。
が、お金が必要になるタイミングが高校卒業時であると考えるのであれば、このご時世はtoo lateかもしれません。
高校3年生の9月末には初年度の学費にはめどをつけておきたいものです。
高等教育を見据えて、お子さんが幼少期に「学資保険」に加入している方が多いと聞きます。この商品の是非はともかくとして、学費の準備手段としてマイナーではなさそうに思えます。
さて、そのような方にお聞きします。
その保険契約の「満期」はいつですか?
18歳ならば、お子さんの誕生日が10/1以降の方は要注意です。
仮にお子さんの誕生日が1/10だとしましょう。
18歳満期の学資保険契約であれば、高校3年生の1/10までその保険契約は満期になりません。つまり、学費として使おうと思っていたのであれば、1/10までお金が手に入りません。
前述した10月ぐらいに実施される入試の結果、合格を得た場合、11月頭ぐらいにはある程度まとまったお金を納入しなければいけなくなったときに、学資保険の満期が間に合わないということです。
これから学資保険への加入を検討している方へ
結論を申し上げますと、満期は17歳にしておいた方がいいです。
学資保険の多くで17歳満期と18歳満期を選べるのは、子どもの誕生日や学資保険の契約日によっては、18歳満期にすると大学の入学前に満期学資金を受け取れないことがあるためです。
また、学資保険の場合、満期は変更できないことの方が多いようです。
学資保険の満期前に資金が必要になりそうな方へ
既に契約済みの学資保険があり、満期を子供が18歳になった時としている場合も少なくないと思います。学資保険は子供が幼少期に加入するケースが多く、18歳の時の状況を想定できていなくても不思議ではありません。
そのような方は、子供が高校3年生の9月末までに少なくとも100万円程度の自由になる現金を用意しておいていただきたいです。
それが難しいのであれば、学資保険の「契約者貸付」を検討するか、可能であれば子供が高校3年生の夏までには保険料の払い込みを停止して契約にすることを検討するといいでしょう。
「契約者貸付」は、解約返戻金の一定割合を限度額として、保険契約から貸し付けを受けるものです。貸し付けを受けたままで満期を迎えたら、借りた分と利息が満期金から差し引かれます。貸付を受けられる限度額は、保険契約によって異なるので、契約している保険会社のコールセンターなどで尋ねるといいでしょう。目安は8割前後でしょうか。すぐには答えてもらえないケースもあると思いますので、時間の余裕は確保してください。また、わずかですが国債の金利が上昇してきたことで、契約者貸付に使用される金利も上昇している可能性があります。その点も含めて確認してから利用の是非を検討したいものです。
「払済保険」とは解約返戻金のある保険において、保険料の払込みを中止し、その時点の解約返戻金を残りの保険期間の保険料にあてる方法のことです。払済保険に変更すると、以後の保険料の払込みは不要になりますが、支払われる保険金は少なくなり、特約の保障はなくなります。一方、保険料の払込みを中止しても保険契約は継続され、保険期間も変わりません。学資保険に関しては、払済を検討するのも一つの方法です。18歳満期の契約を持っている場合は、約款などを確認し、不明であればコールセンター等で問い合わせておくことをお勧めします。
奨学金は入学費用として想定しない方がいい
高等教育を受ける費用として奨学金の利用が決して珍しくはなくなりました。
奨学金も多様化しており、それぞれの利用条件が異なりますが、こと、入学前の費用としては想定しない方がいいと思います。進学前に受給できるものはそう多くないからです。
入学後の費用として想定すべきでしょう。
実は入学後が大事
高等教育は入学すれば終わりではありません。
それから卒業までの期間、しっかり勉強して単位を取得し、卒業することが大事です。
当然ですが、卒業の要件は学費をきちんと納めることです。筆者が勤務する大学では、学費の納付が期限内に終わっていない場合、単位を付与できないことになっています。
筆者が大学生だった1990年代前半と比較すると、きちんと登校し、授業に出席し、きちんと勉強して単位を取得することが求められているなぁと感じます。入学できただけで安心しないようにしたいものです。
入学後、学業の成績が良ければ、高等教育機関が実施する授業料免除などの優遇を受けられる場合があります。可能ならぜひ利用したいですね。
学費以外の費用もある
多くの高等教育機関が、テキストだけではなくノートパソコンを用意するよう求めることが多いようです。レポートや卒論を書くためにもいずれ必要になるでしょう。これらの費用が10~20万円程度は発生すると想定した方がいいです。
まとめ
高等教育機関の入試が非常に多様化している。
高等教育機関で学ばせたいと考えるのであれば、子供が高校3年生の9月末までには少なくとも100万円程度の現金を用意しておきたい。
加入している学資保険の満期が18歳ならば、誕生日を鑑みて契約満期まで資金が間に合うかどうかを確認しておきたい。場合によっては契約者貸付や払済保険の利用を考えたい
奨学金は入学時の費用としては想定しない方がいい