穀物相場の動きを振り返り、2025年の動きを予想 

世界的なインフレが見られるなかで、近年は金などの商品の上昇が際立つことがあります。投資対象となる商品としては、金を含む貴金属(銀、プラチナなど)、原油などのエネルギー、穀物などがあります。今回は、穀物の中のトウモロコシ、大豆の価格の動きに注目してみました。トランプ大統領による関税政策の影響を受けていますが、天候不順の影響により上昇しやすい面もあるようです。 

目次

穀物相場とは 

以下は、日本経済新聞ホームページ(2023年3月25日掲載)より抽出しました。 

トウモロコシや小麦などの穀物は、食品原料や家畜の飼料として欠かせない商品です。農家や食品会社は日々穀物の売り買いをしますが、その際参考となるのが先物取引の価格です。先物取引には金融機関や個人なども参加し、穀物は株式のような投資対象にもなっています。ただし、商品先物はリスクが高い商品です。 

穀物取引の中心になっているのは、米国シカゴにあるシカゴ商品取引所です。米国はトウモロコシの世界最大の生産国で、大豆や小麦の主要な輸出国です。米中西部は「コーンベルト」と呼ばれる穀物産地が広がっており、距離的に近いシカゴに先物取引所があります。取引量が多く、シカゴ先物取引が世界中の取引の指標として重視されています。 

穀物相場に投資するメリット 

  • インフレ対策になる 
  • 分散効果が期待できる 

トランプ大統領の就任後に上昇 

トウモロコシや大豆の国際価格が1月に上昇しました。中国と米国の間の貿易摩擦懸念が一時後退したこと、主要生産地での天候不順による供給減懸念が背景になりました。 

トランプ氏の米大統領就任前まで穀物相場は上値の重い展開となりました。トランプ氏が公約に掲げていた中国への高関税の賦課に伴う貿易戦争の再燃懸念が相場の下押し圧力となっていました。トランプ氏は就任初日(1月20日)に実施するとみられていた追加関税の大統領令の署名を見送り、穀物相場の上昇につながりました。今後も、穀物相場はトランプ氏の関税政策に左右されそうです。 

トウモロコシや大豆などの主要生産国であるアルゼンチンの天候懸念も相場の上昇要因となりました。同国のロサリオ穀物取引所は1月17日、乾燥と降雨量の減少による農作物への影響を発表しました。 

米農務省(USDA)がトウモロコシの収穫予測を下方修正 

以下は、日本経済新聞朝刊1月15日21面から抽出しました。トウモロコシや大豆の相場に底打ち感が出ている理由と考えられます。 

米農務省(USDA)は1月の需給報告で、米国産トウモロコシの2024〜25年度の収穫予測を下方修正しました。新たな生産量は昨年12月時点の予想に比べ1.8%少なくなりました。1月の需給報告は米国産のトウモロコシと大豆の最終的な生産見通しとして市場で重視されています。 

米国産大豆も生産量・期末在庫が予測を下回りました。一方、小麦は大きな修正はなく、ほぼ市場予想通りの結果となりました。 

米国の農家が作付けを減らす意向 

昨年、主要生産国の米国の農家が作付けを減らす意向を明らかにしました。 

農家の意向調査は米農務省(USDA)が毎年3月末に公表します。2024年3月28日に公表された2024年の意向によりますと、米国の農家はトウモロコシを前年比4.9%減らし小麦を前年比4.2%減らす見通しとなりました。 

今年3月のUSDAによる調査も昨年同様の内容になるようですと、米国での供給が減ることになり、穀物価格には上昇圧力がかかります。 

トウモロコシの取引要綱と価格の推移(米シカゴ先物) 

トウモロコシ先物取引の取引要綱は以下のようになっています(CME GroupのHPから抽出)。 

ここでは、過去20年間のトウモロコシ(米シカゴ先物)相場がどのように動いてきたかを表しました。 

足元は、過去につけた安値(2020年や2016年)を下回らずに反発しました。 

トウモロコシ(米シカゴ先物)相場の月別騰落率 

ここでは、トウモロコシ(米シカゴ先物)の月別の騰落率を示しました。 

各月別の平均騰落率を見ますと、以下のことが言えます。 

  • 2020年4月に安値をつけて上昇したのですが、3月から7月まですべて上昇となり、その後も上昇が続きました。2021年も、4月、5月に上昇となり、その後も上昇が続きました。 
  • 2022年4月に高値をつけて下落したのですが、4月から10月まですべて下落となり、その後も下落が続きました。 
  • 2023年、2019年、2018年の4月の騰落率を見ますと、小幅な値動きであったことが分かります。 

このように見ると、近年、4月に上昇するか下落するかは、その後の相場を占う上で重要な時期になっていると考えられます。 

大豆の取引要綱と価格の推移(米シカゴ先物) 

大豆先物取引の取引要綱は以下のようになっています(CME GroupのHPから抽出)。 

ここでは、大豆相場(米シカゴ先物)がどのように動いてきたかを表しました。 

足元は、過去につけた安値(2020年)を下回らずに反発しました。 

大豆(米シカゴ先物)相場の月別騰落率 

ここでは、大豆(米シカゴ先物)の月別の騰落率を示しました。 

各月別の平均騰落率を見ますと、以下のようなことが言えます。 

  • 2020年に安値をつけた後に上昇傾向となりました。2020年は6月から2021年4月まですべて上昇となりました。その後2022年5月にかけて上昇しました。 
  • 2022年5月に高値をつけて下落したのですが、6月から9月にすべて下落となり、その後も下落傾向が続きました。 
  • 2023年は6月、8月に上昇しましたが、7月、9月は下落となりました。その後も上値の重い展開となっています。 

このように見ると、6月から9月あたりに上昇するか下落するかが、その後の相場を占う上で重要な時期になっていると考えられます。 

まとめ 

今回は、穀物相場に関する基礎や、トウモロコシや大豆の価格に下げ止まり感が出ている理由を述べた上で、過去の推移や月別傾向などを取り上げてみました。穀物相場は今後もトランプ政権による関税政策の影響を受けそうですが、天候不順や米国の農家の動きによる上昇しやすさは続きそうです。穀物相場を占う上で、月別騰落率がどうなっているかはその後の動きを占う上で参考になりそうです。 

この記事は投資経済マーケットについて学習および解説をすることを目的に作成されています。 投資や運用の推奨および加入や結果の保証を行うものではございません。 参考資料としてご活用いただき、運用を行う場合は自己責任でお願いいたします。

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