外貨預金は投資するべきではない!メリット・デメリットの紹介

本記事を作成現在(2022.10.25)ドル円の為替レートは140円台後半と歴史的な円安ドル高になっており、年初来から30%以上の変動が進んでいます。

最近、SNSやニュースでは「円安進行!外貨建て投資ならこれ!」のような投稿が散見されますが、これはもう、2年遅いです。

今回の記事では、銀行窓口等で提供される「外貨預金」について解説しますが、結論から述べると「お金のプロである銀行がリテラシーの低い人を騙して売る商品」ですので、絶対に契約しないようにしましょう。

一般の方からするとハードルが低いように見える「外貨預金」ですが、いかにお勧めできない商品なのかを解説していきます。

目次

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手数料が法外に高い

為替取引では「手数料無料!」と記載している銀行・証券会社がありますが、これには誤解があります

あくまで「手数料という名目として徴収しているものがありません」というだけで、実際には手数料に値するようなものを徴収しています。

銀行窓口などで「本日の為替レート ドル円」「147.10-146.50」のような表記を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この表記は「今、米ドルを買うなら147.1円です」「今、米ドルを売るなら146.5円です」という意味です。

つまり、即座に間髪入れず「米ドルを買って、売ると0.5円損をする」ということです。

この価格差を「スプレッド」と呼びます。

この「即座に売買したときに生じる差額」が、こういった外貨建て商品の、実質的な金融機関手数料となっています。

この実質的な手数料ですが「実は銀行の外貨預金が一番高い」です。

店舗型の銀行の場合、この手数料は0.3円から0.7円、為替レートの変動が激しい時には1円がつくことも珍しくありません。

ネット系銀行の場合、桁が一つ下がり0.03円から0.05前後。この時点で全く違います。

また、外貨建て預金ではないですが、同じような動きで活用できるFXなら0.01円ということも珍しくありません。

つまり、銀行が提供する「外貨建て預金は手数料0というのは欺瞞で、裏でこれだけの暴利をとっている」ということです。

0.5円ぐらい大したことない、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、仮に計算しやすく、ドル円が150円の時に0.5円のスプレッド手数料と考えると、150万円の外貨建て預金を取引した場合、片道5,000円の手数料「売買」となると往復になるので、×2倍で1万円になります。

これが、為替取引で「利益が出ても損が出ても」課される、ということになります。

これを「安い!」と思うなら何もいいませんが、普通、日本円預金が0.001%のような利息しか付かない時代においては、許容すべきではない手数料だと思います。

ですので、米ドル建て預金をしたいなら銀行ではなく、ネット系証券会社のFXで、レバレッジ1倍で借入をせずに行うことをお勧めします。この様にすれば、30分の1の手数料コストで外貨預金が可能です。

外貨預金は預金保護(ペイオフ)の対象外

日本国内の銀行に円で預金をしていた場合、銀行が潰れても預金保険(ペイオフ)の対象になります。

ですが、外貨預金の場合は「預金」という名前がついていますが、この預金保険の対象外であるため、日本の銀行に預けてあった場合でも破綻した金融機関の財産に応じて分配される、つまり「保護がされない」ということになります。

そもそも「預金」というのは、一般的な解釈観点でいくと「投資リスクを取りたくないから、いざという時のために現金で置いておく」というものです。

翻って、外貨預金というのは「預金」という言葉がついているため誤解しやすいですが、言い方を変えると「米ドルに投資します!」ということであり、為替変動による価値の増減リスクを受け入れる、ということと同義です。

ここに、銀行がつぶれても保護されないということを加味すると「外貨預金」というのはそもそも名前でミスリードを誘っており、正しく表記するなら「米ドル投資」が正確です。

「投資商品のネーミング」に騙されて「預金」と名前がついているから「安全安心だ!」と騙されないようにして下さい。

隠し手数料がある

外貨預金には2つの隠し手数料が存在しています。

一つ目が「不利な為替レート」。

銀行窓口などで「いま、1ドル148円で購入できますよ!」とPRしているときは、実際のドル円は148円ではありません。

147.5円程度で取得できるドル円を、店頭窓口では148円で売ることにより、先に紹介したスプレッドとは別で、さらに銀行が裏で利益として抜いています。

銀行に行かれた際に、窓口で表示されている「現在の為替レート」と「ヤフーファイナンス」などのネットでのリアルな為替レートを比較してみると、実際に抜かれていることが分かると思います。

余談ですが、この仕組みは外貨建て保険や外貨建て金融商品でも同じ仕組みで運用されているものがありますので「想定されている為替レートがいくらなのか」は、商品の目論見書を端から端まで読んで把握するようにして下さい。

隠し手数料二つ目は「預金金利」です。

これも、為替レートの差額と同様、銀行が裏で抜いています。

参考までに、本動画作成時点でのアメリカ金利は約4%。

それに対して銀行は、3%中盤です。為替レートと同じく、この差額も彼らのポケットに入っています。

ここまでで「外貨預金を契約したい!」と思いますか?

金融商品を売らない投資と財務の専門家としては、やめておいたほうが良いのではないかなと思います。

では外貨建て投資はどうやればいいの!?

そもそも冒頭にも述べた通り「今から始める外貨建て投資には否定的」です。

現在はもう利益確定のタイミングで、参入のタイミングではないと思います。

とはいえ「いや、私の予測は違う。今からでもリスクリターンは釣り合っている!」という方もいらっしゃると思うので、内容を落としておきます。

外貨預金・外貨投資に取り組む金額が少額、200万円に満たない方は「金券ショップ」の利用がおすすめです。

あまり知られていないですが、金券ショップというのは外貨も扱っています。

「金券ショップ 外貨」等で検索をすれば、銀行よりも有利なレートで外貨交換している業者を見つけることができる可能性は高いです。

ただし、銀行以上に時価なところはあるので、必ず言われたレートそのままで取引するのではなく、ヤフーファイナンスなどで確認をするようにしてください。

これはすべての投資でもいえることですが、相手の言うことを鵜呑みにしてはいけません。

投資予算が200万円以上あるなら、外貨の現物を保有したいもしくは外貨預金を「銀行のぼったくり商品より有利に運用したい」場合、FXの「現引き」という制度がおすすめです。

これは買い手時の通り「ドル円を買いました。それを清算するのではなく、現物で引き取ります」という制度です。

多少の引き取り手数料はかかりますが、銀行よりは安いですし、為替レートもリアルタイムなのがおすすめです。

また「外貨預金」としてFXを使いたいのであれば「レバレッジをかけずにドル円を持っておけば」同じように運用できます。

ただし注意点としては、レバレッジなしでも相場が動けば損益がでるので、ロスカットが出ないように多少は余裕をもって入金しておくことが大切です。

とはいえ、レバレッジ1倍であれば約150万円で1口、為替レートが1円動いたら1万円損益が出る、というぐらいですので、恐慌レベルの暴落がきても200万口座に入れておけば、ロスカットされるような事態にはならないと思います。

まとめ

銀行の外貨預金の手数料が一番高い

外貨預金は預金保護(ペイオフ)の対象外

リアルな為替レートを確認する

一口に外貨建て投資といっても様々ですし「銀行は大きいからこそ信用できる!外貨預金がいい!」という考え方はやめましょう。

大きい組織だからこそ、維持するためにはどこかから稼いでこないといけません。

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この記事を書いた人

「金融商品を売らない投資と財務の専門家」、株式会社BFPホールディングス 代表取締役。

株式・為替(FX)・不動産・事業投資など、総合的に投資を実行する現役の投資家兼アドバイザーとして活動中。2023年、書籍発行予定。

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