性格タイプ別!アンティークコイン投資スタイル事例 – 前編 –

目次

まず先にひとつ、お断り

先に一つお断りさせてください。

本記事は、学習補助を目的としているという関係上、なるべく販売者側が語らない視点も含めて、筆者なりの意見を述べさせていただいております。今回のテーマでは、これまで以上に、業者やインフルエンサーの方々がこうすべきと説明している内容と大きく見解が異なることを述べる可能性がございます。あくまで筆者の一意見ということをご理解の上、お読みいただけますと幸いです。

自分に合った『基本形』を考えよう

さて、前回までの記事で、アンティークコイン投資のざっくりとした概要(メリット・デメリット)を説明させていただきました。中には、コイン投資に興味を持たれた方もいらっしゃるのではないかと思います。

ただ一方で、今お伝えしている情報だけでは、漠然と良いなと思いつつも、具体的にどのように組み立てていけば良いのかが分からない、という方も多いのではないかと思います。

結局やりたくても動けない、または、よく分からないまま何となく目についたものを買って失敗してしまった…という結果は、やはりこの記事を書いている身としては、なるべく避けたいなと思うのです。

で、どうすれば良いのかなと思案したところ、ご自身がコイン投資をするに当たって、実現したいこと(何を重視するのか)から逆算していただくのが良いのかなと思い至りました。

重視するポイントによって手段は変わります。

例えば、株式投資においても、バリュー株を中長期でじっくり保有するのか、値動きのある銘柄で短期目線でのトレードを繰り返して利益を稼いでいきたいのか、その目的によって選ぶ銘柄や運用スタンスは変わりますよね。

実はコインも同じなのです。

一口にコインと言っても、価格帯は幅広く、カテゴリーも豊富です。(コイン全体の基本特性として、中長期目線の方が勝ちやすく、資産保全性が高いという特徴はあるものの)細かく見ていけばやはり銘柄ごとに特性の違いがあります。

このことを理解せずに、ただ闇雲に、業者から言われるがままに購入をしていけば、気付けば高い手数料を払っただけで何の利益も手元に残っていない、という笑えない話になり兼ねません。

ということで、今回の記事では、より具体的にコイン投資のイメージを持っていただくための導入用の企画として、性格・タイプ別にどのような手法が考えられるのか、筆者が思い浮かんだ事例をいくつか挙げてみようと思います。

今回の記事を読み進めていただきつつ、ご自身に合った『基本形』を考える際の参考にしていただければ、企画としては成功かなと思います。

コイン投資家の黄金ルート

「さて、ではさっそく事例を挙げて…」

といきたいのですが、焦らしてしまいスイマセン、

もう一つ前提部分での筆者の考えをお話しておいた方が、より理解が深まると思いますので、コイン投資初心者が歩むべきルートについて、先にお話させてください。

筆者が考える勝率アップのための「コイン投資家の黄金ルート」は、

《まずは少額のコインから購入→徐々に高額のコインにまとめていく》

という順番だと思っています。

なぜなら、リスクが低い状態でコイン投資に関する知識・経験を積みつつ、

徐々に効率よく安定した方向にシフトしていく…

という流れに乗りやすいからです。

また、高額のコインには、当然価格が高くなる理由があります。しかし、おそらく初心者の方には、何故そのコインにその価格が付いているのか、一見しただけでは理解が出来ないと思います。

しかしここで、以前に少額で試し買いをしたコインと同じカテゴリーのものであった場合、どうでしょうか?コインの額面や材質の違いだけでなく、発行年数やデザインバリエーションの違いによって希少性に大きな差が生まれていることなどが事前知識として入っていれば、そのコインが高額の理由が推察できるようになってくるはずです。

ですので、まずは低リスクの状態(目安としては1銘柄あたりで百万円以下/想定予算の1割程度の銘柄を複数枚)から始めて、コインの売買に慣れつつ、徐々にリスクを大きくしていくような流れを意識するのが良いのではないかと思っています。ちなみに、予算があまり無い方は数千円、数万円のものから始めても構わないと、筆者は考えています。

3つの投資スタイル

では、筆者が思い浮かんだ投資スタイルを、3つご紹介させていただきます。

◎しっかり安定タイプ(中期〜長期目線/資産保全性重視)

◎高回転せどらータイプ(短期~中期目線/回転率重視)

◎トレジャー発掘家タイプ(短期~長期目線/投機性重視)

これは、特に決まった呼び名があるわけではなく、

イメージしてもらいやすくなれば良いなと思い、筆者が勝手にネーミングしたものになります。

(今回の)前編では、コイン投資の王道とも言うべき《しっかり安定タイプ》の説明を主にさせていただき、次回の後編で残りの部分を説明させていただければと思います。

それでは、順番に説明していきましょう。

しっかり安定タイプ(中期〜長期目線/資産保全性重視)

こちらは「リスクヘッジのために保有したい」「将来の自分年金や子供の将来の教育費のために保有したい」など、基本的に長期目線で、かつ資産保全性(価格の安定性)を重視して運用していきたい人を想定しています。

この場合のコインの選定ポイントとしては、『希少性』『ストーリー性』『伸び代』を意識するのが良いでしょう。つまり、なるべく価値が担保されていて、価格が落ちにくい銘柄を選んでいく、という考え方になります。

『希少性』は発行枚数(現存枚数)が少なく、かつグレードが高いもの、そしてやはり歴史があるもの(第二次世界大戦前・できれば100年以上前に発行されたもの)を選定するのが良いでしょう。

『ストーリー性』は、要はテーマ株のように、話題になりやすい銘柄のことです。

例えば、人類史上最も古いお金であるリディアコイン、(有名どころの)歴代ローマ皇帝、アレクサンダー、ハプスブルク家、神聖ローマ帝国、都市景観、ナポレオン、イギリス王家、ウィリアム・ワイオン、東インド会社、貿易銀、インフレ貨などなど…、パッと思い浮かぶだけでも沢山のキーワードが挙がります。細かく説明をしだすとキリがありませんので、これ以上の説明は省きますが、キャッチーなストーリーを持ったコインは、注目を浴びやすいため価格が上がりやすく落ちにくい傾向がある、ということは覚えておきましょう。

『伸び代』は、上記の条件を満たしながら、まだ直近で大きな値上がりをしていない(反落に巻き込まれにくく、これから上昇余地がありそうな)銘柄を探す、ということです。具体的なノウハウをひとつ公開してしまうと「上記のようなストーリー性によって注目を浴びているコインの周辺にあるコインやキーワードを探してみる」のが良いのではないかと思います。

過去の事例を参考に、もう少し説明しましょう。

「世界で最も美しいコイン」と評され、おそらく日本人コレクターにとっても最も有名であるコインに、イギリス 1839年 ヴィクトリア女王即位記念 5ポンド金貨(通称ウナライオン)があります。

このコインが注目を集め一気に高騰した際、まず注目されたのは「ヴィクトリア女王」そして「彫刻家ウィリアム・ワイオン」というキーワードでした。ここから、ヴィクトリア×ウィリアム・ワイオンの派生銘柄が物色され、例えばインドのモハール金貨などが一気に人気を高めていきました。

このように、人気のキーワードが楔となり、その周辺に伝播していく、ということがコイン業界では起こるのです。では、今、高騰しているコインは何で、その周辺には何があるのか…。

いかがでしょう、こういうことを考え始めると、ちょっとワクワクしてきませんか?(笑)

注意点1

さて、上記のポイントをご理解いただいた上で、注意点も確認しておきましょう。

まず<直近で高騰しすぎている銘柄>には注意が必要です。

頭の体操のために、ひとつ例を挙げて考えてみましょう。

現在高騰している人気銘柄の代表格として、イギリス 1847年 ヴィクトリア女王即位10周年記念 クラウン銀貨(通称ゴチック・クラウン)があります。

筆者も手にとって見たことがありますが、「世界で最も美しい銀貨」と称される非常に繊細なデザインで、かつ希少性も高い大変素晴らしいコインになります。それ故、2022年時点においても、どんどん高値を更新しているような銘柄になります。

ですが、ここで初心者が陥りやすい罠が待っています。

実は『ゴチクラ』にはいくつかバリエーションがあるのです。

発行年を見ると、1847年に8000枚発行された以外にも、1853年に460枚追加発行されています。また、エッジの形状も、ヴィクトリア女王の11年目を表す「アンデシモエッジ」と17年目を表す「セプティモエッジ」の他、何も記載がない「プレーンエッジ」があります。最も枚数が多いのは「1847年発行のアンデシモエッジ」であり、最も多く出回っているのもこのタイプになります。当然、タイプによって相場価格は異なってくるものの、今はそのコインの話題性と人気のために、全体的に大きな値上がりを見せている状況です。

さて、勘の鋭い方はもうお分かりかと思います。ゴチクラはタイプによって<希少性>に大きな違いがあるのです。仮にゴチクラを買いたいとなった際に、もし長期目線の方が今のタイミングで買うのであれば、できるだけ希少性が高いタイプのものを選ぶべきです。もちろん「1847年アンデシモエッジ」も素晴らしいコインですし、今後も価格が伸び続ける可能性はあります。しかし、少なくとも急激に値を上げているトレンド銘柄に順張りでエントリーする形になるため、(希少性の高い)他のタイプに比べると「反落に巻き込まれる可能性」が高くなってしまう、ということは理解しておく必要があるでしょう。

注意点2

次に、もうひとつ注意点を述べさせていただきます。

それは、希少性が高すぎる<激レアの珍品>にも注意が必要ということです。

理由は、過去の取引実績が見つからず、価格判断の拠り所が無くなってしまうからです。

オークションにそのようなコインが出品された場合、そのコインが入札者の心に深く刺さるかどうかは運次第です。当時5000万円で購入したコインが、一気に1億円を超える落札価格になる可能性がある一方、1000万円や2000万円という価格で落札されてしまう可能性も想定しておかなければいけません。

純粋なコレクターの方ならば、その希少性は最高のご褒美でしょうから構わないのかもしれませんが、少なくとも投資目的で安定重視の性格の方が、こういったギャンブル的なやり方をしてしまうと、おそらくロクなことにならないでしょう。

このような状態にならないためにも、希少性が高い一方で、過去の取引実績が確認できる銘柄をできるだけ選定した方が無難と言えるでしょう。

焦りは禁物

筆者の個人的な予想ですが、おそらくこれから数年の相場では、伸び続けるコインがある一方、反落するコインも増えてくるだろうと予想しています。

そういった中で、コイン投資でしっかりと利益を出していくためには、上記で述べたポイントをちゃんと捉えている銘柄を選んでいく必要があると考えます。

こうなってくると、そもそも運も必要になってきます。なぜなら希少性が高いということは、市場に出てくる機会がそもそも少なく、出てきたとしても争奪戦になる可能性が高いからです。

しかし、そこで焦って高値で購入するのは厳禁です。

高額なコインの場合、失敗するとダメージも大きいので、じっくりと慎重に銘柄を選定し、

自分が勝負できる金額以上の買い物はしないという心構えを持って取り組みましょう。

予算内で手に入れるための打席に、なるべく多く立つように努めること。

そして、もし入手が叶ったなら、幸運と捉えて、そのコインを大切に迎え入れてあげてください。

次回予告

コイン投資の王道スタイルとも言うべき《しっかり安定タイプ》の説明をさせていただきましたが、いかがでしょうか?

少しでも、より具体的なイメージが湧いたのであれば、嬉しく思います。

さて、次回は残りのスタイル2つ、

◎高回転せどらータイプ(短期~中期目線/回転率重視)

◎トレジャー発掘家タイプ(短期~長期目線/投機性重視)

について、説明をさせていただこうと思います。

引き続き、よろしくお願いいたします。

まとめ

重視するポイントによって投資スタイルは変わる。

なので、自分の『基本形』を考えることが大事。

コインにも銘柄ごとの特性がある。

筆者が考えるコイン投資家の黄金ルートは、

《まずは少額のコインから購入→徐々に高額のコインにまとめていく》という流れ。

しっかり安定タイプ(長期目線/資産保全性重視)の選定ポイントは、『希少性』『ストーリー性』『伸び代』。

『希少性』は発行枚数(現存枚数)が少なく、かつグレードが高いもの、そして歴史があるコイン。

『ストーリー性』を持ったコインは、注目を浴びやすいため価格が上がりやすく落ちにくい傾向がある。

『伸び代』は、まだ直近で大きな値上がりをしていない(反落に巻き込まれにくく上昇余地がありそうな)コイン。注目を浴びているコインの周辺を探すと見つけやすい。

「直近で高騰しすぎている銘柄」は、反落に巻き込まれる可能性があるため注意。

上昇途中の銘柄を選ぶ場合は、より希少性の高いタイプを入手できないか考えるべし。

希少性が高すぎる「激レアの珍品」も、価格判断の拠り所が無くなってしまう可能性があるため注意が必要。

焦って高値で購入するのは厳禁。

予算内で入手が叶った場合は幸運と捉え、そのコインを大切に迎え入れること。

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この記事を書いた人

京都に暮らす、おっちゃん。

株式投資の他、アンティークコインや仮想通貨などへの投資経験を持つ。

本業の傍ら、いかに精神的・肉体的負荷を減らしながら投資を継続していくかを重視しています。

ちなみに、本業はフリーランスのデザイナー。

趣味は古銭収集と猫吸い。

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