三菱商事急騰の裏で狙い目は三菱地所?バフェット効果と高金利時代の不動産銘柄

2025年2月22日。投資の神様として有名なウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイのホームページで「株主への手紙」が公表されました。

その中で日本の5大商社への追加投資について言及があり、週明け2月25日の株式市場では商社株が大きく上昇しました。

最も影響を受けたのが三菱商事(8058)で、2月25日には前営業日の終値2,378円から8.87%増の2,589円に上昇しました。

一週間以上たった3月7日時点の終値でも2,553円と急騰後にありがちな反動による急落とはなっていません。

そもそもバフェット氏が日本の5大商社に投資していることが判明し話題になったのは2020年。

それ以降もバークシャー・ハサウェイの株主総会などで投資拡大の意欲を見せ、その言動が株価に大きく影響を与えています。

ただ商社株が注目を浴び急騰したからといって、いまさらそれに便乗して利益を上げようと考える投資家は少ないでしょう。

株の格言として「噂で買って事実で売れ」や「人の行く裏に道あり花の山」は有名ですからね。

かといってこれだけ大きなニュースになっている話題を見過ごすのは惜しいと感じるのも事実です。

そこで今回は、急騰した三菱商事のグループ企業である不動産銘柄『三菱地所』に注目してみます。

目次

三菱地所:三菱商事の勢いがグループ企業を押し上げるか

三菱地所(8802)は、三菱グループの一員として東京の丸の内を中心に不動産事業を展開しています。

2025年2月7日に発表された2025年3月期第3四半期決算によると、営業収益は1兆479億円で前年比13.1%増、営業利益は1,944億円で前年比32.5%増となっています。

事業についてはオフィスや商業施設、ホテルからのインカムゲイン(家賃など)が好調に推移し、特に住宅事業における分譲マンションの引き渡しや投資マネジメント事業が大きく貢献しています。

具体的には、コマーシャル不動産事業(商業施設やオフィスビル、物流施設、ホテルなどの開発・賃貸・管理事業)で726億円(前年比127億円増)、住宅事業で205億円(前年比135億円増)と堅調です。

この他、2027年には東京駅のすぐ目の前に国内最高層・最大級規模の超高層複合ビル「トーチタワー(TORCH TOWER)」(高さ約390m、地上63階建て)の完成が控えているため、マスメディア報道により注目が集まるでしょう。

バフェットの手紙効果による短期の株価急騰はなし

三菱商事とは異なり、三菱地所の株価については、バフェット氏の手紙による影響をほとんど受けていません。

手紙が公表される直前の2月20日からの株価推移(終値)を見ると以下の通りです。

三菱地所の株価

  • 2月21日:2,173円
    (22日~24日は休場日)
  • 2月25日:2,183円(三菱商事が急騰した営業日)
    ——-
  • 3月7日:2,189.5円

三菱商事が急騰した25日はほとんど影響を受けず、翌週末の3月7日においても大きな変動はありません。

現時点では同じ三菱グループとはいえ全くの別銘柄という扱いなのでしょう。

しかし、バフェット氏は2020年以降、2023年や2024年の株主総会でも日本の商社への期待を繰り返し語っています。

今後も長期にわたり三菱商事を高く評価し続ける場合、その影響がグループ全体に波及し、三菱地所にも注目が集まる可能性があります。

金利上昇・円安は不動産市場に逆風なのでは?

一方で、不動産市場全体は日本の金利上昇や円安による建設コスト上昇の影響を受けており、不動産銘柄への投資は慎重な見方が求められるかもしれません。

しかし、外国人投資家にとっては、日本の金利は欧米に比べ依然として低水準であり、円安も相まって不動産投資の魅力が維持されています。

今後も相対的な低金利が続くと予想するなら、投資妙味があると考えられるでしょう。

株主還元に注目①:積極的な自社株買い

上場企業が株式市場で自社の株式を買うことで、市場で売買されている株式の数が減少し、1株の希少性が高まり株価の上昇要因となります。

三菱地所は2024年5月10日、発行済み株式の2.53%に当たる3,200万株、500億円を上限とする自己株取得を決議しました。

さらに、2025年3月期から2027年3月期まで、毎期500億円程度の自社株買いを継続する計画を立ており、それを超える部分についても機動的に追加検討する方針が決算書にも明記されています。

自社株買いによる株主還元を重要視する投資家にとっては好材料でしょう。

株主還元に注目②:累進配当で配当利回り低下も

三菱地所は、2023年より毎期3円の累進配当を導入しています。

過去の配当金は2021年にコロナショックの影響か減配があったものの、基本的に増配が続いています。

2024年3月期の年間配当金は1株当たり40円から2025年3月は43円(予想)、以降は累進配当により2030年は60円以上に増配される見込みです。

ただ、2025年3月初めの株価を2200円とすると43円の配当金で利回り1.95%ですから、決して高配当銘柄ではありません。

また2018年以降は配当性向30%が維持されてきたところで累進増配が基準になると、業績低迷時に無理な増配(配当性向の悪化)の可能性が高まってしまいます。

しかし、株式投資は基本的に企業が成長することを期待してするものです。

累進配当は最低3円の増配をするだけで『企業が株主への責任を果たせる』と考えることもできますから、逆に未来の増配率が抑えられ、配当利回りが低下する可能性が高まるでしょう。

仮に計画通りに年3円の増配を続け、2030年の配当金が60円になったとします。

  • 2025年:40円⇒43円(増配率7.5%)
  • 2030年:57円⇒60円(増配率5.26%)

増配率低下により相対的に配当金の支払いが減れば株価上昇につながります。

配当金による株主還元を不要と考えるキャピタルゲイン重視の投資家にとって魅力的な選択肢となり得るでしょう。

まとめ

バフェット氏の手紙による影響で三菱商事が急騰

今後、同じ三菱グループの三菱地所が注目される可能性 

三菱地所の業績は好調で成長が期待できる

自社株買い・累進配当でキャピタルゲイン重視の投資家に好感

金利上昇は不動産に逆風だが、海外投資家目線では相対的に低金利

5大商社の急騰に惑わされず『裏道に咲く花』を探していきたいですね。

URLをコピーする
URLをコピーしました!

この記事を書いた人

投資ブロガー兼ウェブライター

投資歴は20年ほど

投資初心者さん向けに全世界株式を主軸にした投資を勧めるブログを執筆。

趣味の投資枠で中日ドラゴンズのHR1本につきFANG+を1000円買付けるホームラン投資を実施中(日本一になったら売ります!)

目次
閉じる