短期売買は細かく利益を積み上げる投資手法で、短い時は数秒から長くても数週間以内に取引きを成立させます。
万人におすすめできる、分散された投資信託への長期・積み立て投資に対して、短期売買は玄人向けで難しいとされる場合が多いです。
この記事では、投資初心者に短期投資をおすすめしない理由を紹介します。
テクニカル分析で利益を上げ続けることが難しい
短期投資の売買は、主にテクニカル分析で投資判断します。
テクニカル分析とは過去の値動きを分析して、ローソク足や株価チャートから近い将来の値動きを予測する手法です。
テクニカル分析は経験が必要で初心者には難しく、習得に時間がかかります。
また、あくまでも過去の動きを参考に予測する投資手法であり、分析通りに動くとは限りません。
テクニカル分析は、企業の投資価値を判断しているのではなく、トレンドの方向性を示しているからです。
あくまで一例ですがテクニカル分析の有用性を疑問視する声もあり、投資戦略として有効ではないとする研究結果もあります。
テクニカル分析後も、自身で決めた投資ルールに従い利益の確定や損切りを実行できる「判断力」や「決断力」が必要で、投資初心者には難易度が高いトレード手法といえます。
ゼロサムゲームである
投機性が高いデイトレードやFXは「ゼロサムゲーム」と呼ばれることもあります。
ゼロサムゲームとはプレイヤー同士で投資額を分配するゲームで、得する人と損する人が必ず存在します。
勝つ人と負ける人がいる場で利益を積み上げることは、非常に難しいです。
一方、全世界や米国の手数料が安い優良なインデックスファンドに投資することは「プラスサムゲーム」と呼ばれています。
プラスサムゲームは勝ち負けの濃淡はあれど、参加者全員が利益をあげられます。
出典:Stock Market Briefing S&P 500 and DJIA 1921-Now
たとえば、米国のS&P500指数は80年以上も右肩上がりで成長を続けており、資本主義社会において経済は常に成長し続けてきました。
成長し続ける場所に資金を投じれば、勝ち負けを繰り返しながらも20年~30年の長期で見て、年利5%前後の利益を享受できる可能性が高いのです。
インデックスファンドへの長期投資は経済の成長を信じて投資する、合理的で初心者にも取り組みやすい投資手法だといえます。
取引手法によっては時間が拘束される
短期投資は、リアルタイムでマーケットを見て株価の動きを観察し売買します。
株式投資でデイトレードする場合、取引できる時間帯は平日の9時から15時30分です。
日中授業がある学生や仕事をする会社員は集中してトレードに臨むのが難しく、専業向けの投資手法といえます。
また、株価の動きだけでなく各国の経済情勢や景気動向など、ニュースにも気を配る必要があります。
ネガティブなニュースで一気に株価が急に暴騰したり、暴落する場合があるからです。
取引手法によっては市場が開いている時間帯はマーケットに張り付き、常に相場を気にしなければならず、時間的な拘束が長くなりやすいです。
精神的につらい
中長期的な取引でも同様ですが、取引回数が多くなる短期投資は心がすり減る場面も必然的に多く、精神的なつらさがあります。
具体的には利益を上げたとしても「もっと買っていれば」と思いますし、損失が拡大した場合は「損切りできていたら」と勝っても負けても悔しさが残ります。
たらればで後悔する機会が多く、お金やトレードの事以外頭が回らなくなる方もいるでしょう。
さらに信用取引に手をだせば、いっそう心がすり減ります。
デイトレードを行なう場合、一気に資産拡大が狙える信用取引が魅力的に感じます。
信用取引は手数料が安く、少ない自己資金でも最大3倍量の取引が可能だからです。
利益も3倍なので勝っている場合は気になりませんが損失も3倍なので、コツコツ積み上げた資産が一気に無くなることもあります。
20年以上の長期・分散を前提としたインデックスファンドへの積み立ては、機械的に行なうので精神的な消耗が少なくすみます。
もちろん、自分の精神をコントロールして利益を上げ続けるトレーダーも存在しますが、初心者には難しい取引です。
取引する場合、極めて少額から始める方が無難です。
売買手数料がかさむ
売買手数料は一般的に取引ごとにかかります。
短期売買は、中長期的な投資と比較して取引回数が多くなるので、必然的に手数料がかさみます。
短期投資をメインに取組む場合、手数料が定額のプランを用意している証券口座の開設がおすすめです。
まとめ
テクニカル分析の難しさ
ゼロサムゲームである
時間の拘束が長い
精神的につらい
手数料がかさむ
上記の理由から、初心者が短期投資で継続的に利益を上げる事は難しいです。
しかし、短期売買で利益を上げるトレーダーがいるのも事実で、挑戦したいと思う方もいると思います。
短期売買に取組む場合は自身の保有資産を把握し、信用取引には手を出さず少ない資金から始めるのがよいでしょう。