中南米国の通貨の動きを振り返り、今後を予想

今回は、最近堅調に推移している通貨として、ブラジル通貨・レアル、メキシコ通貨・ペソの動きを取り上げたいと思います。いずれも、足元の経済が好調で、実質金利が高いことから有力な投資先になっています。これまでの動きを振り返り、今後を予想しました。

さらに、今回は中南米の通貨として、アルゼンチン通貨・ペソの動きも取り上げました。11月に選挙が行われましたが、来年は多くの国で選挙が行われることから参考にすべき点があると思われます。

目次

IMFによる中南米国の経済見通し

以下は、ロイター10月10日の記事より抽出しました。

  • 国際通貨基金(IMF)は10月10日、最新の世界経済見通しを発表し、中南米・カリブ海諸国の2023年の成長率予測を2.3%とし、7月の前回見通しの1.9%から上方修正しました。
  • 2022年の4.1%成長から減速します。IMFは「金融政策の引き締め、外部環境の悪化、商品価格下落の影響に伴う成長の正常化」と説明しました。
  • ブラジルの成長率見通しは、7月時点の2.1%から3.1%に上方修正しました。年前半の農業とサービス部門の活動が好調だったことを理由に挙げたほか、「財政刺激策に支えられ消費も好調を維持している」としました。
  • メキシコの成長予測は、2.6%から3.2%に上方修正しました。コロナ禍後の建設業とサービス業の回復や、米需要の恩恵を指摘しました。
  • IMFが今年の成長率をマイナスと予想しているのはアルゼンチンとチリで、それぞれマイナス2.5%、マイナス0.5%と見込んでいます。

ロイター10月10日の記事

財政改革の進展がブラジル国債の魅力に

3月に公表されたルーラ政権の新財政ルールは、財政政策の柔軟性を保ちながら財政健全化を目指すものでした。また、ブラジルの複雑な税制を簡素化する税制改革の審議も進むなど、ルーラ政権下で一定の財政改革が進む兆しが見られています。

ブラジルの国債利回りは主要先進国と比較して高水準にあり、今後の利下げ余地が十分にあることなどから、投資対象としての魅力が高まっていると考えられます。

(参考:FRANKLIN TEMPLATION ホームページ)

ブラジルの貿易黒字が拡大

米国と中国の対立のなか、ブラジルには中国が輸入品を米国産から切り替える動きが波及しています。ブラジルは10月の貿易黒字が同月として過去最大になりました。

(日本経済新聞朝刊11月21日11面より)

ブラジルの通貨レアル(対円)相場の推移と今後の見通し

ここでは、ブラジルの通貨レアル(対円)相場のこれまでの動きを表しました。

36カ月移動平均かい離率が30%になる水準が、短期的には一つの上値メドになりそうです。中長期的には、当かい離率が25%を超えるかどうかで、その後もブラジルレアル円相場が上昇を続けるか反落するかの分岐点となってきました。この点からはまだ上昇が続くことが期待できそうです。

メキシコ経済・通貨の特徴

メキシコの大きな特徴の一つは、アメリカの隣国であることです。対米依存度が高く、メキシコの輸出全体の約8割が米国向け、輸入の約半分が米国からです(いずれも金額ベース)。

銀などの鉱物資源が豊富で、石油や天然ガスも産出され、メキシコの通貨ペソは資源国通貨と位置づけられ、資源価格の動向に影響を受けやすいという特徴があります。

2016年にトランプ氏が大統領選に当選した後、メキシコペソは下落しましたが、2020年にバイデン氏が当選した後は上昇しました。2024年はメキシコ、アメリカ両国の大統領選が注目されます。

(参考:MONEY SQUARE ホームページ)

メキシコの最近の経済情勢

メキシコは、中国に代わる生産拠点として直接投資の受け皿となっています。米電気自動車大手のテスラはメキシコへの進出準備を進めています。(日本経済新聞朝刊11月21日11面より)

今後の経済指標で良好な数字が続くようだと、通過ペソへの資金流入が見込まれます。

メキシコの通貨ペソ(対円)相場の推移と今後の見通し

ここでは、メキシコの通貨ペソ(対円)相場のこれまでの動きを表しました。

アメリカ、メキシコの大統領選挙を控えていることは不透明要因ですが、過去の動きを見ると、メキシコペソ円相場は上昇が続くことが期待できそうです。

アルゼンチンの最近の政治経済情勢

以下は、日本経済新聞朝刊11月21日3面から抽出しました。

  • アルゼンチンは景気低迷が長年続き、足元では干ばつや通貨安に伴う高インフレに悩んでいます。
  • アルゼンチンの次期大統領に右派のハビエル・ミレイ氏が決まりました。世界有数水準のインフレで経済苦境に陥るなか、中央銀行の廃止や経済のドル化など過激な主張を唱えています。
  • ただし、アルゼンチン経済を回すのに十分な米ドル紙幣を確保するのは困難と指摘されています。
  • 次期政権は議会少数派となり公約実現に課題を残します。中国寄りだった現政権の路線は一転し、米国との関係改善が進む見通しです。

日本経済新聞朝刊11月21日3面

アルゼンチンの通貨ペソ(対円)相場の推移と今後の見通し

ここでは、アルゼンチンの通貨ペソ(対円)相場のこれまでの動きを表しました。良い点は指摘できません。

2024年は多くの国で選挙が行われる

政治要因で動くのは、アルゼンチンだけではありません。2024年は多くの国で選挙が予定されており、世界的なインフレのなかで、政策への注目度は高くなり、選挙の予想・結果によって相場が左右されやすい年になりそうです。

今後の戦略は

今回取り上げました中で、ブラジル、メキシコの経済は構造的な変化が見られることから、両国の通貨は今後も上値の更新が期待できそうです。これまでの両国通貨とその36カ月移動平均かい離率の関係などを見ても強気に考えられる点が指摘できます。

アルゼンチンの動きについては、今後、各国で選挙を控えるなかで似た動きを見せる国が出てくる可能性があり、各国通貨を見る上で参考になると考えます。

この記事は投資経済マーケットについて学習および解説をすることを目的に作成されています。 投資や運用の推奨および加入や結果の保証を行うものではございません。 参考資料としてご 活用いただき、 運用う行う場合は自己責任 でお願いたし ます。


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