日経平均株価や日本のハイテク株などの動きを見る上で、米国のナスダック総合指数の動向と比較する投資家は多いでしょう。共通する材料で動き、よく連動するためです。
今回は、ナスダック総合指数のこれまでの推移を振り返り、今後はどのように推移しやすいかを考えました。月別の騰落率はどうであったのか、また各月の動きはその後の推移に影響を与えているかについて調べてみました。やはり、その後の推移に影響を与えている月があると思われます。
ナスダック総合指数について
以下はFINASEEのホームページから抽出しました。(https://media.finasee.jp/articles/-/10825?page=2)
NYダウに続いて、代表的な米株指数がナスダック総合指数です。ナスダックは、1971年に開設され全米証券業協会が開設・運営している新興企業向けの電子株式市場を指します。3000社以上が上場し、新興企業とはいえ、GAFAMMと呼ばれるグーグル(アルファベット)やアップル、フェイスブック(メタ)、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、ネットフリックス、テスラなども上場しています。また、任天堂や日産自動車など日本企業もたくさん上場しています。
ナスダック総合指数は、ナスダック市場全ての上場銘柄を時価総額加重平均で算出した指数です。
ナスダック総合指数のこれまでの動き
図は、ナスダック総合指数の動きとその36カ月移動平均乖離率の推移を示したものです。36カ月移動平均かい離率の推移を見ますと、30%超にかい離した場面があるとナスダック総合指数はその後も上昇してきたことが読み取れます。ただ、2000年はプラス67%台まで上昇し、ナスダック総合指数は反落しました。2023年は7月にプラス26.9%までの上方かい離した後、反落しましたが、12月の動きは強気に見て良いでしょう。今後の高値メドは2021年の高値となります。
36カ月移動平均かい離率が下方に低下した場面を見ますと、コロナ禍の2022年にマイナス17.1%までの低下が見られました。しかし、この水準は2000年のITバブル崩壊後、2008年のリーマンショック後に見られた水準よりは上方となっています。2021年からの下落圧力はそれほど強くありませんでした。
足元の36カ月移動平均とのかい離率や、足元のナスダック総合指数のこれまでの推移を見ますと、上値を試しやすい場面になったと考えます。
連騰した場面を振り返る
以下は日本経済新聞の11月10日朝刊9面から抜粋しました。
- ナスダック総合指数が2023年11月8日まで9日間の連騰となりました。
- 連騰記録を振り返ると、1990年以降では1992年の13連騰が最長でした。当時はパソコンの普及期でした。
- 1998年に9連騰したが、当時はインターネットの普及期でした。
- 2009年に12連騰したが、当時はスマートフォンの普及期でした。
- 足元では、生成AIの普及が注目されています。
ナスダック総合指数の中心となるハイテク株を予想する上では、半導体市況が改善していること(注)、人員削減が進んで利益水準が上がったこと、米国では利上げ観測が後退し長期金利が低下したことなどが強気材料となります。
注:日本経済新聞朝刊12月13日9面に以下のコメントがありました。
半導体の国際団体SEMIは11日、2024年の半導体製造装置の売上高は2年ぶりに回復し、25年には過去最高を更新する予測だと発表した。
一方、「生成AIは人類に大きな恩恵をもたらす一方で、技術の進化に制御が追いつかず、暴走の恐れもある」(日本経済新聞朝刊12月1日3面)との指摘もなされています。生成AIの普及にはまだ不透明な部分もあると考えます。
月別に見たナスダック総合指数の騰落率
ここでは、ナスダック総合指数の月別の騰落率とともに、2001〜2010年、2011〜2020年、2021年〜2023年での平均騰落率を示しました。表にはありませんが、1991〜2000年の平均騰落率も示しました。
何度か秋口に急落したことがあるナスダック総合指数
10月のNYダウの平均騰落率は、2001〜2010年、2011〜2020年、2021年〜2023年に、いずれもプラスの数値になっていますが、何度か急落もしました。
10月に大きく下落したのは、2000年、2008年でその後のナスダック総合指数は軟調に推移しました。この2つの年では、9月から11月まですべて下落となりました。2023年は8月から10月にすべて下落となりましたが、11月から大きく上昇し、2000年や2008年との違いが表れました。
12月は上昇下落が混在する
12月のナスダック総合指数の騰落状況は、2001〜2010年が6勝4敗で平均騰落率はプラス1.0%でした。2011〜2020年が6勝4敗で平均騰落率はプラス0.1%でした。2021年はプラス0.7%、2022年はマイナス8.7%となっており、12月は上昇する年と下落する年が混在しています。
12月の騰落率を見ましても、その後のナスダック総合指数の動きには大きく関係していないように思われます。
先行きを予想する上で注目したい1月、2月の動き
ナスダック総合指数を大きく捉えますと、1991〜2000年は堅調に推移し、2001年〜2010年はITバブルの崩壊やリーマンショックがあったことから軟調に推移し、2011年〜2020年は堅調に推移してきたことが読み取れます。
各年代の月別の騰落率を見ると、1月、2月、6月、8月の騰落率が相場の方向性と一致してきたことが分かります。1991〜2000年、2011〜2020年の平均騰落率はプラスになっており、2001〜2010年の平均騰落率はマイナスになっています。2022年は1月、2月に下落し、年末まで軟調に推移しました。
このように見ると、1月、2月のナスダック総合指数の騰落状況は、その後のナスダック総合指数の先行きを占う上で、一定の参考になりそうです。
今後のナスダック総合指数の見通し
2024年の世界経済の見通しは、様々になっています。ハイテク株の先行きを占う上では、生成AIが普及するかを見極めたいと考えます。
過去のナスダック総合指数の月別の騰落状況を見る限り、来年1月、2月あたりに大きく上昇すると、その後のナスダック総合指数も大きく上昇する可能性があります。
ナスダック総合指数で10年おきに見られる現象などを参考にすると、2021年以降は、2000年〜2010年のように長期的に乱高下することになる可能性もあると考えます。
この記事は投資経済マーケットについて学習および解説をすることを目的に作成されています。 投資や運用の推奨および加入や結果の保証を行うものではございません。 参考資料としてご活用いただき、運用を行う場合は自己責任でお願いたします。