S&Pを振り返り、2025年を予想

NYダウ、S&P500などの米国株指数は、2024年も史上最高値を更新しました(2024年12月19日執筆時点)。2025年の世界の株価の動きを予想する上でも、米国株の動きがどう推移するかはその中心に位置するでしょう。今回は、2025年の世界経済の見通しに触れた上で、S&P500の動き(季節的な傾向を含めて)を振り返り、2025年のS&P500の動きについて予想しました。 

目次

2025年も米国での経済成長が期待される 

以下は、日本経済OECD24年12月5日5面の記事、Reutersの12月4日の記事から抜粋しました。 

  • OECDによる2025年の世界経済予測は3.3%成長に 

経済協力開発機構(OECD)は2024年12月4日に、2025年の世界の実質成長率を3.3%とする予測を公OECDた。9月時点から0.1ポイント引き上げました。世界全体でインフレ率の低下が民間消費の伸びを支えるとみました。国別に見ると、米国の好調さが目立ちます。 

  • 米国で好調が続く 

米国は2.4%成長となっています。金融政策の緩和が投資を呼び込むほか、人工知能(AI)の活用によって生産量が拡大するとみています。 

  • ユーロ圏は1.3&の成長に 

ユーロ圏は1.3%の成長となっています。欧州中央銀行(ECB)の金融緩和が投資を促し、労働市場の引き締まりが個人消費を支えると予想しています。 

  • 中国は成長鈍化 

中国は4.7%の成長で、2024年の4.9%の成長からは小幅に鈍化する見通しです。不動産市場の弱さや景気の悪化などに備えた予防的な貯蓄により消費が一定程度抑制されるとみています。 

  • 日本は1.5%の成長に 

日本は1.5%となっています。景気刺激策が実施されること、実質賃金が上昇することなどにより、消費や投資が好調を示すとみています。 

トランプ政権の政策や地政学リスクの影響を見極める動きに 

OECDは「貿易摩擦と保護主義の高まりでサプライチェーンが混乱し、消費者物価を押し上げ、成長に悪影響を及ぼす恐れがある」と述べています。トランプ大統領は主要貿易相手国に対し関税を引き上げる構えを見せており、貿易の見通しが不透明になっています。 

また、地政学リスクの高まりや海外経済の悪化などが、米国での貿易や物価に大きな影響を与えないかも気になります。 

今後の米国株の動きを占う上では、FRBがどの程度利下げを行うか、米国の経済指標や業績がどうなるかを織り込むことになるでしょう。期待感で上がる年ではないと考えます。 

S&P00とNYダウ 

S&P500、NYダウはともに米国株の動きを表す代表的な株価指数ですが、物色の方向次第で異なる動きを見せることがあります。S&P500。 

S&P500のこれまでの動き(月次) 

下図は、S&P500の動きとその36カ月移動平均乖離率の推移を示したものです。36カ月移動平均かい離率の推移を見ますと、20%超にかい離した場面があるとS&P500はその後も上昇してきたことが読み取れます。2021年は4月にプラス23%台までの上方かい離が見られた後、2022年1月に高値をつけました。その後は、プラス20%を超えてかい離することなく、上昇しています。 

36カ月移動平均かい離率が下方に低下した場面を見ますと、コロナ禍にあった2022年にマイナス9.7%までの低下が見られました。この水IT準は2000年のITバブル崩壊後、2008年のリーマンショック後に見られた水準より上方となりました。 

36カ月移動平均かい離率を見ますと、大きな方向性は示されていないと考えます。 

S&P500のこれまでの動き(日次) 

下図は、過去5年間のS&P500とその25日移動平均かい離率の推移を示したものです。 

矢印で示しましたように、25日移動平均かい離率の水準を切り上げているか切り下げているかは、その後のNYダウを予想する上で参考になりそうです。足元の25日移動平均かい離率の推移を見ますと、強気とは言えない状況であると判断します。2021年の高値を付けた際の推移に似ていると言えます。 

S&P500の季節的傾向 

株価は、月別などで見るとある程度の傾向が見て取れることがあります。 

今回は、過去のS&P500の月別の騰落率はどうであったのか、また各月の動きはその後の推移に影響を与えたのかを調べてみました。その後の推移に影響を与えている月があると思われます。 

2月に上昇することには良好な経験則がある 

2月は、前年10~12月期の経済指標や主要企業の決算が発表され、年末商戦の結果が分かるので重要だと考えています。2025年2月は、トランプ大統領就任直後の反応になるだけより注目したいところです。 

過去の動きを見ますと、2月のS&P500の動きはその後のS&P500の推移の参考になるのではないかと考えます。 

  • 2000年から2003年までの2月はすべて下落となり、この間のS&P500は2000年の高値を更新できませんでした。 
  • 2007年から2009年までの2月はすべて下落となり、この間のS&P500は2007年の高値を更新できませんでした。 
  • 2010年から2015年までの2月はすべて上昇となり、その間のS&P500は上がり続けました。 
  • トランプ氏が大統領に就任した2017年は上昇しましたが、2018年は下落となりました。いずれも2月の方向性がその後の動きと一致しました。 
  • 2021年と2024年はともに2月に上昇し、年末にかけて上昇しました。 

 上昇しやすい3月、4月、7月 

2001年以降のS&P500の平均騰落率を見ますと、3月、4月、7月の好調さが目立っています。 

下落しやすい8月、9月 

一方、8月、9月の平均騰落率は悪くなっています。夏季休暇を取る投資家がいること、米国の新年度を前に売りを活発化させる投資家がいることが背景になっていると思われます。 

今後のS&P500の見通し 

今回は、世界経済の見通し、S&P500のこれまでの移動平均かい離率の推移、季節的傾向から、今後のS&P500の推移を考えてみました。米国経済の好調さを背景にS&P500の上昇は期待できそうですが、トランプ大統領による政策や地政学リスクなどを理由に、調整する場面がみられる可能性もありそうです。2月の方向性を参考に、どこまでの上昇が期待できるか、下落が止まりやすい水準はどの程度かを捉えることが有効と考えます。

この記事は投資経済マーケットについて学習および解説をすることを目的に作成されています。 投資や運用の推奨および加入や結果の保証を行うものではございません。 参考資料としてご活用いただき、運用を行う場合は自己責任でお願いいたします。

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