結論から言います、ダメです。
みなさんこんにちは、金融商品を売らない投資と財務の専門家、BFPの土居 亮規でございます。本日は暴落相場に知っていただきたい、ナンピン買いとドルコスト平均法についてお話します。
「買い下がり」がなぜダメなのか?
まず大前提として、投資の理論や手法の有用性は「その投資が短期投資なのか、それとも中長期投資なのか?」で変わります。短期投資で使っても大丈夫だけど中長期ではダメよ!って感じですね。その逆も然り。
今回の議題とする「ドルコスト平均法」「ナンピン買い」は買い下がり、つまり「株価や為替レートなどが下がるのに合わせて、追加購入をしていく」手法です。これが暴落相場においてはなぜダメなのか。それは一言で言ってしまうと「リバウンドしなかったらゲームオーバーになる」からです。
よく株価や為替の暴落相場では、「価格が下がったらバーゲンセール!」ということをおっしゃる方がいます。それは、正しいです。
ただし、例えば暴落として記憶に新しいリーマンショックでは株価の下落が半年程度続き、その後に戻すまで年単位の時間を必要としました。一方でコロナショックによる相場下落は数日で戻し、ナンピン買いやドルコスト平均法を行った人は短期間で利益を手に入れる結果となりました。
ここをご留意の上、次を読み進めてください。
解説:何が「ダメ」なのか?
「リバウンドしなかったらゲームオーバーになる」について解説していきます。
まず、「ナンピン」「ドルコスト平均法」は全て「いつか株価・為替レートが元の水準に戻る」という前提で行われる手法です。価格が元に戻らないならどれだけ分散しようと無駄です。
ここからさらにETFなどで指標はいつか戻るという前提に賭けるのか、はたまた戻らなくてもドル円の買いや個別銘柄のように配当金が手元に入るから問題ないと考えるのか、は投資スタンスの違いにより考え方が変わるのですが本記事の本題はそこではないのでいったんおいておきましょう。
冒頭で「ダメ」と書いた理由と問題点。それは
ナンピン買いやドルコスト平均法は、「行えばプラス利益が出る・含み損が助かることがある」という反面、1回の負け、つまり「行って1回でも価格が元に戻らない銘柄が出ると、元々投資してたぶんはもとより追加投資分もすべてマイナスになり敗退することになる」という点です。
これは「コツ・コツ・ドカン」。つまり小さい利益を何度も積み重ねていけるので「良い手法」に見えるものの、1度の大損ですべてを失ってしまうことがある、という上記について投資格言が昔から存在します。
ですので弊社では大前提として「ナンピン」「ドルコスト平均法」はダメ、特に短期投資であればあるほど、ロスカットにより撤退することの脳が大事だ、とお伝えし続けているわけですね。
もちろん、ナンピンの仕方やドルコスト平均法によるポジションの作り方はやり方によっては有用に機能することもありますが、SNSや弊社顧客様のご意見等を見ていると上記の前提を理解されておらず、間違った運用をされておられる方が多い印象です。
では、「正しい」使い方とは?
「コツ・コツ・ドカン」。1回の負けですべてを失うのでダメと書きましたが、ではその問題点を解決するためにはどのようにこの手法を活用すればよいのでしょうか?いくつか具体例を出します。
1:「入金力」がある人
極端な話、買い下がりによる追加投資は「一生(株価や為替レートが元に戻るまで)心を無にして続けられる精神と資金力」があるなら、勝つまで続けられます。ですので「その銘柄と心中」する覚悟がある人、言い方を変えるなら「その銘柄・指標・会社はつぶれない」という確信・覚悟があり、サラリーマン属性や経営者属性がある方であればこの手法は【中長期投資においては】有用です。
短期投資の場合でこれを行うと、株価や為替が元に戻るのに年単位の時間を要してしまい、それは実質敗北となります。こういった資金が拘束され本来の目的から外れてしまうことを「機会費用の損失」と呼びます。
なぜかSNSでは「この無限の入金力」を持ってると思しき方が多数存在しており、「日本はいつからそんなに豊かな国になったんだろう!?」と驚くのですが、まぁ、自分のリアルマネーを賭ける方はインフルエンサーの言動なんて真に受けないことをお勧めします。
2:限定入金手法
ナンピンやドルコスト平均法の問題点は「際限なく資金をつぎ込んだ結果、戻らなければ1度の負けですべてを失うこと」です。
つまり言い方を変えると、「ナンピン・ドルコスト平均法は行うけど、この銘柄には〇〇円まで」「1週間に1回追加購入。ただし4回まで」といった感じで、1つの投資対象に投下する入金資金を限定しておくことで致命的な敗北を避けることができます。
逆に一番よくないのが「勝っている銘柄を売却して、負けている銘柄を追加購入する」こと。これをやり始めると、大体すべての利益を失います。ご注意ください。
但しもちろん、「投資に投下する資金を限定する」ということはすなわち「損失が減る代わりに、リターンも少なくなる」ということです。この辺りをどこでバランスを取るのかが大切になってきます。これは皆さん個々の投資スタンスや属性(資産の金額や運用している資産の属性)によって変わってきます。
まとめとご案内
以上です。お伝えした「価格が元に戻らなければ、以下に分散しても意味はない」という点に関しては、気になる方はExcelなどに「株価が戻ったケース」「戻らなかったケース」を想定して、投資金額と株価を適当に入力してから、損益を何度かシュミュレーションしてみてください。本記事の通り、割に合わないことが分かるはずです。
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今回はこの辺で。
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