日経平均がバブル崩壊直前の1989年12月株価最高値3万8915円最高値超えしました。
とはいえ、そもそも当時とは物価水準が全然違いますよね。これは本当に最高値なのでしょうか…?という疑問はありますが、とりあえず節目ではあります。
今の日本株は「バブル」なのか
そもそもの話、ここが最高値と考えるのに疑問があるのは、日経平均に構成されている(組み込まれている)個別銘柄は2006年に算定基準・銘柄も入れ替えているというイベントがあったからです。
日経平均という指標自体、当時と中身が全く異なるので基準として成り立っていないというところがありますが、それでも物価水準を考慮しても目先の節目を 超えてきたので人によっては「バブルだ!」と考える人もいらっしゃるのではないでしょうか?
仮にバブルだとしても、今現在、日経平均が上がっているのは日本株を海外の人が購入していることが要因としてあるので、日本人がどう思うか・思っているかについては関係があまりなさそうなところではあります。
新NISAで株価は上がるのか?
結論から言うと弊社は「新NISAは日本の株価にあまり影響がない」と考えています。
【新NISAの利用率データ】
https://news.yahoo.co.jp/articles/7d716cd45f38ff76e58ca3f49305fe85a7ce5495
理由は「新NISAで投資される資金総額」
家計診断・相談サービスの統計データによると、本記事執筆現在の新NISA利用率は約37.8%となっています。
こういう統計データの場合、「誰にヒアリングしたか」というのも大事になってくるので、日本の人口が約1億人として、そのうち子どもや超高齢者、事情があって証券取引ができない人(例えば低所得者、ホームレスとか、ブラックリストとか)を除いて、経済活動のできる人間を約6000万人と仮定する。
この仮定データに比率をかけ合わせれば、統計の片寄等をある程度排除して正確な実情がだせます。もちろん「ある程度」の仮説であることは忘れてはいけませんが。
これを加味すると、新NISAの利用者数は約2268万人となります。
さらに考察をすすめると、つみたて投資枠:年120万円、成長投資枠:年240万円、総額1800万円です。
枠を全部使いきる人ばかりではないですが、仮に全部使い切ると約407兆円。ちなみにプライムマーケットの時価総額は現在約962兆円となります。
ここだけ見るとインパクトは十分にあるように見えますが、新NISAの成長枠は「海外銘柄も購入できる」というところが注意点です。
流行りのアメリカETFや世界株ETFなどで使われた枠は、当然日経平均・日本株の底上げに寄与しません。SNSなどで見ている所管、結構海外に投資している人も多いので、それを考えると新NISAで日本マーケットを底上げする余地は最大想定でも2割程度、さらにその中から日経平均に寄与するとなるとたかが知れているのではないか、というのが弊社の見方です。
元気がある業績・無い業績
話を戻しまして日経平均の最高値についてですが、これが長く続くのかというところが重要です。日銀や海外勢が買いに来ているのでバブルの時よりは足元が強いと思いますが、なにかあれば今すぐパチンとはじける可能性も0ではない、でもこのままもう少しだらだら上がる可能性もありますよね。
1989年バブルを見ると1990年代前半までみんな楽しくやっていたので、まだ上がる可能性はあるよなとも思います。
今、日本株を買っているのは海外と日銀なので、「日本人」というか「一般市民」の意向が株価に反映されていない状態です。
市民のほうに目を向けて内閣府の物価動向を見ると「2.5」とか。弾力性[u2] 、商品価格が変動した際に需要、あるいは供給がどのくらいの割合で増減するか示した数値はアメリカに比べると低く抑えられているが、中小企業のサービスへの価格転換が困難な状況です。
価格、というと物がある「現物」と、原則人件費以外の原価がかからない「サービス」に分けられるのですが、今現在の状況でいうと
- 国内の宿泊サービスなどが持ち直している。
- 飲食は良くも悪くも低調(勝ち負けがはっきりしたかなという印象)
やはり価格転換できない飲食店は厳しい状況ですね…というかんじです。
また為替レートの関係上、原材料を輸入に頼っている企業は厳しい所感です。
ただ飲食に関しては2018年の物価高上昇局面からは若干改善しているが、これが一時的なものなのか中長期的なものなのかが分からないですね。
また半導体企業の株価は跳ね上がっているが、それ以外があまり動いていない状態です。
ちなみに弊社は、自社で投資する銘柄候補は非製造業を中心に探しています。これもまぁ一長一短ではある(サービス業系は下がるとき結構下がる)んですがとりあえずの方針として、ですね。
マーケットのテンションは依然高いままで、弊社が毎年恒例で行っている1月の投資勉強会では年初時点の株価38000ぐらいで「10%~15%、20%上がるかもしれません」とつたえていて、その通り動いているのかなという印象です。
気になる個別銘柄について
【WOWOWの5年チャート】
コロナ需要で上がっていたサブスク・株価(WOWOW)も次第に下がり始めています。コロナ特需の生活環境から徐々にシフトしていってるのかな、というところですね
大きく順張りで上げている銘柄だと例えば任天堂。これを買えた人は利益も出ているでしょうね。バリュー投資・中長期保有の人からするといまの任天堂を買うのは怖いですが。
【任天堂の5年チャート】
また任天堂は海外シェアも大きいので為替の影響もうける銘柄です。ゲームのマーケットが北米や中国など海外に移っています(開発費もかけられて日本のゲームと遜色ない)。これを加味するとこの高収益が本業によるものなのか、為替利益によるものなのかは分析が必要だと思います。
【コメダ珈琲の5年チャート】
飲食・サービス系セクターでいうと「コメダ珈琲」ここが上がっています。ようやく5年チャートで見ると下がり始めの兆候があります。
【銀座ルノアールの5年チャート】
同じ業種で見ると「ルノワール」(銀座ルノワール)なども面白いです。
この会社は喫茶店のイメージだが、利益をあげているのはコーヒーではなく立ち退き料」です。一等地とかではなく古いビルとかに入っている店舗が多いため、ビルの修繕・建て替えを求められたとき「立ち退き料」がまとめて入ってきて利益が上がっている企業です。別名「立ち退かされ屋」と揶揄されることもあります。
そういった形式上、株価はある程度横ばいが続き、ある日いきなり売上・利益が上がって株価があがります。
オフィス系REIT(リート)も物色
日本は今、物価は上がっているけど家賃は上がらない状態。
ですが家賃が上がらない諸悪の根源である借地借家法は、オフィスやテナントには適用されないためその気になれば賃料を上げられるため、オフィスビルを運営している会社は今後あがる可能性がある。とみています。
たとえば大和証券オフィス投資:8976などの東京のパリッとしたビルが多いリートが良さそうですね。
オフィスビルに限った話ではないが、日本の金利が上げられないから株価が下がっている状態。金利が上がらないという方向に賭けるのであれば面白い投資かもしれないです。
日本も今後、多少の利上げはあるかもしれませんがアメリカの金利の上げ方を日本はできないので上がっても0.5~1%だと思います。
ですので金利上昇に関してはアメリカを基準にするのは違うと考えています。
【大和証券オフィス投資の5年チャート】
オフィスビル系のリートは、参考として出した大和証券オフィス投資が一時期、一口66万円が、本記事執筆現在58万円まで落ちているので中長期的保有で見ると配当金も良いところを含めて割安感を感じます。
リートと不動産会社の最大の違いは、リート法人は得た収益の90以上を分配すると非課税になるところです。
いわゆる内部留保・現金0に近い状態となり、リート法人事態には税金がかからないので、金利が上がったときに持ちこたえられなければ厳しい反面、株価(証券価格)への反映も早いです。
パリッとしたビルは利回り3%とか4%が一般的なので自分で購入するよりはレバレッジかかっていて、なおかつ現物持つより流動性も高いコチラを買っておいた方がいいのでは?という考え方もあります。
【住友不動産 5年チャート】
不動産系の個別銘柄でいうと、例えば住友不動産です。
この銘柄は数億・数十億単位のビルやタワーマンションなどの取引に強いです。
良い会社ではあるのですが本記事執筆現在、住友不動産の株価は高止まり・ダブルボトム形成したのちにV字回復しているという状態ですので、今は買えないかなというのが弊社の所感です。
銘柄選択の基準としては、住友不動産でなくとも、仲介手数料で儲けている不動産もなかなかいいのでは?と弊社は感じております。
業績とPBRについては2024年3月5日に更新した記事でも触れておりますが、PBRは過去の決算を基に算出されており、今の資産価値・将来どうなるかの確約はできていないためPBRを信用しすぎるのは危険です。
まとめ
株価は最高値更新だが、物価水準を考えるとバブルではない可能性がある
新NISAによる日本株上昇効果は思ったより少ない可能性が高い
コロナで特需があった個別銘柄は下がりつつある
オフィス系REIT(リート)なども選択肢に入る(かもしれない)
以上です。
皆様の投資の意思決定の参考としていただければ幸いです。