非鉄金属相場の動きを振り返り、今後の動きを予想

世界的なインフレが見られるなかで、3月あたりから金などの商品の上昇が目立っています。投資対象となる商品として、金を含む貴金属、非鉄金属、エネルギー、穀物などがあります。今回は、非鉄金属の中の銅、アルミニウムの動きに注目してみました。特筆したい点があります。

目次

非鉄金属とは

以下は、日本経済新聞ホームページ(2023年3月24日掲載)より抜粋しました。

銅やアルミニウムなどの非鉄金属は幅広い分野に使われており、生活に欠かせません。

 非鉄金属の過去の値動きは、世界景気の動向を表わしてきましたが、最近では違う側面も見せています。非鉄金属が、脱炭素社会の実現に不可欠な存在として注目されていることです。脱炭素の需要が高まって、価格が高くなりやすくなるとの見方があります。脱炭素化に伴い電気自動車や風力発電など再生エネルギーの普及が進むと、これらの内部配線などに使う銅需要が大きく増えるとみられています。

銅、アルミニウムの用途や年間消費量は以下の通りです。

銅は、空調機や電子部品、建材など非常に用途が広範で、値動きは世界景気を敏感に映すといわれ「ドクター・カッパー」という異名を持ちます。2021年の世界消費量は約2485万トンで、このうち約半分を最大消費国の中国が占めました。

アルミニウムは建設資材、鉄道車両、自動車の一部、電子部品の材料になります。年間消費量は2021年が約6920万トンで消費の約6割を中国が占めました。

銅、アルミニウムを含めた6種類の非鉄金属は、ロンドン金属取引所(LME)市場で取引されています。LMEの取引価格が世界の非鉄価格の指標になっています。値決めでよく使うのが「3カ月先物価格」です。

非鉄金属に投資するメリット

インフレ対策になる

インフレになると貨幣の価値が下がる一方、モノの値段は上がります。資産の一部を非鉄金属に投資しておくことは、有力なインフレ対策になるでしょう。

 分散効果が期待できる

長期の資産運用をする上で、値動きの異なる複数の資産を組み合わせて保有することは有効と考えられています。非鉄金属などの商品を他の資産と組み合わせて保有することで資産全体での分散効果が期待できます。

 銅とアルミニウムが1年ぶりの高値に

以下は、日本経済新聞朝刊4月11日9面から抜粋しました。銅やアルミニウムの相場が最近上昇した理由として、以下のことが挙げられます。

 中国の製造業に底打ち感

銅とアルミニウムの最大の消費国は中国で、世界の需要の5〜6割を占めています。その価格は中国の景気見通しに左右されやすくなっています。中国の経済指標で3月のPMIが50.8となり、好調・不調の境目である50を6カ月ぶりに上回りました。

通貨・人民元が対ドルで下落し、中国の輸出産業は価格競争力が強まっています。中国のGDPの3割を占める不動産は低迷が続いていますが、今後は中国の製造業の持ち直しが続くかが見極められます。

 世界全体でも製造業に持ち直しの見方

S&Pグローバルが公表した月のグローバル製造業PMIは50.6となり、2カ月連続で50を超えました。まだ力強さはないものの、最悪期は脱しつつあるとみられます。

2020年春からの新型コロナウイルス禍で世界的にIT・デジタル機器の需要が急増し、その後は在庫調整に時間がかかりましたが、底入れ感が見られ始めています。

 銅(LME3カ月先物)相場の推移


ここでは、過去13年間の銅(LME3カ月先物)相場の動きを表しました。

コロナ禍で2020年に安値をつけた後に反発し、2022年に高値をつけた後反落し、足元は上昇し始めています。

 銅(LME先物)相場の月別騰落率

ここでは、銅(LME先物)の月別の騰落率を示しました。

各月別の平均騰落率を見ますと、以下のことが言えます。

  • 2020年3月に安値をつけて上昇したのですが、その後の4月から2021年2月まですべて上昇となり、その後も上昇が続きました。2021年も、4月、5月に上昇となり、その後も上昇傾向が続きました。
  • 2022年3月に高値をつけて下落したのですが、その後の4月から10月まですべて下落となり、その後も上値の重い展開が続きました。2023年も、4月、5月に下落となり、その後も上値の重い展開が続きました。
  • 2012〜2019年の4月、5月の騰落率を見ますと、明確な方向は出ていないことが分かります。

このように見ると、近年の4月、5月に上昇するか下落するかは、その後の相場を占う上で重要な時期になっていると考えられます。

アルミニウム(LME3カ月先物)相場の推移


ここでは、過去13年間の銅(LME3カ月先物)相場の動きを表しました。

コロナ禍で2020年に安値をつけた後に反発し、2022年に高値をつけた後反落し、足元では上昇し始めています。

 アルミニウム(LME先物)相場の月別騰落率

ここでは、アルミニウム(LME先物)の月別の騰落率を示しました。

各月別の平均騰落率を見ますと、以下のことが言えます。

  • 2020年4月に安値をつけて上昇したのですが、その後の5月から8月まですべて上昇となり、その後も上昇が続きました。2021年は2月から8月まですべて上昇となり、その後も上昇傾向が続きました。
  • 2022年3月に高値をつけて下落したのですが、その後の4月から6月まですべて下落となり、その後も上値の重い展開が続きました。2023年も、4月から6月まですべて下落となり、その後も上値の重い展開が続きました。
  • 2018年は6月、7月に下落となり、その後下落傾向となりました。

 このように見ると、近年の4月から6月に上昇するか下落するかは、その後の相場を占う上で重要な時期になっていると考えられます。

 まとめ

今回は、非鉄金属に投資するメリット、銅、アルミニウムの価格に上昇する兆しが出ている理由を述べた上で、過去の推移や月別傾向などを取り上げてみました。非鉄金属相場を占う上で、月別騰落率がどうなっているかは参考になりそうです。

足元の世界情勢を見ますと、中東情勢や米中対立など不透明要因が多いことから、様々な商品に分散して投資することには意義があるものと考えます。

この記事は投資経済マーケットについて学習および解説をすることを目的に作成されています。 投資や運用の推奨および加入や結果の保証を行うものではございません。 参考資料としてご活用いただき、運用を行う場合は自己責任でお願いいたします。

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