楽天証券の単元未満株取引 「かぶミニ」を体験

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「単元未満株取引」は単元取引ではない取引

日本の上場普通株は原則100株単位の取引になります。

ですから、現物取引であれば株価の100倍の金額の現金が必要です。

1株5桁の銘柄も珍しくないですから、単元取引には数百万円現金が必要な銘柄がたくさんあります。

一方この記事で触れる「単元未満株取引」は制約つきで、1株単位で日本株を取引できる制度のことです。

証券会社によってサービス名もサービス内容も違う

「単元未満株取引」制度は、ずいぶん前からありました。

筆者は20年ぐらい前にはすでに使っていました。

当時は、現在100株に統一されている単元もまちまちで、1株6桁の株価のものも珍しくなかったですし、1,000株単位の銘柄もたくさんありました。単元株の取引には多額が必要な銘柄が多かったのです。

もっとも1株単位という銘柄があり、その銘柄では「単元未満株取引」はできませんでしたが。

株式投資の金額の障壁を減らすためと考えられますが、一部の証券会社が導入したサービスが「単元未満株取引」です。

筆者が20年ぐらい前に利用していた時は、大手証券が提供しているサービスでしたが、近年はオンライン証券でもサービスを提供しています。

マネックス証券は「ワン株」、SBI証券は「S株」といったように、証券会社によってサービス名も違いますし、サービス内容にも違いがあります。

「単元未満株取引」は市場を相手にした取引ではなく、証券会社との取引です。

ですから、注文には制約があります。

たとえばマネックス証券の「ワン株」は午前11時半までに出した注文が当日の約定分になります。約定は1日1回です。

出典:マネックス証券

SBI証券は注文を出した時間帯によって、1日3回約定します。

出典:SBI証券

楽天証券は単元未満株サービスがありませんでしたが、2023年4月17日からサービスをスタートしています。サービス名は「かぶミニ」です。

出典:楽天証券

「かぶミニ」最大の魅力は100銘柄程度が対象の「リアルタイム取引」

大手オンライン証券では後発のサービス提供になった楽天証券の「かぶミニ」最大の魅力は約100銘柄を対象に可能な「リアルタイム取引」です。

「かぶミニ」で取引できる銘柄はサービス提供開始時で473銘柄です。証券会社が取引相手となりますので、証券会社が相対取引に応じられる適度の規模と流動性がある銘柄に限られたサービスだと理解すればいいでしょう。

出典:楽天証券 website

「リアルタイム取引」該当銘柄以外の取引は1日1回「寄付」のみです。

「リアルタイム取引」対象銘柄は、買った日に売却できますが、「寄付銘柄」は翌営業日以降にしか売却できません。

「かぶミニ」で取引できる銘柄と取引可能な種類を確認してから取引を考慮したほうがいいでしょう。

かぶミニ™(単元未満株取引) 取扱銘柄一覧 (rakuten-sec.co.jp)(楽天証券)

「かぶミニ」を試してみた

筆者は楽天証券に口座を持っているので、サービス開始日から「かぶミニ」を利用できました。

早速試してみました。

「現物取引」の注文種類に「単元未満」の買いと売りがあります。

出典:楽天証券 website

「単元未満 買い」を選ぶと、このような取引画面が表示されます。

筆者は場中に「リアルタイム取引」が可能な東京エレクトロン(8035)を選んだため「リアルタイム取引」が可能でした。

なお、「指値」などはできず、注文は「成行」のみです。

筆者は楽天証券にNISA口座を持っていないので、表示されませんが、一般NISA口座での取引も可能です。

出典:楽天証券 website

取引の相手が市場ではないため、板情報は能動的に選ばない限り表示されません。

出典:楽天証券 website

「リアルタイム取引」が約定されると、すぐに売却可能になります。

出典:楽天証券 website

「単元未満 売り」を選ぶとこのような画面になります。

画面は特に違和感を感じませんでした。

出典:楽天証券 website

手数料等の比較

オンライン証券他社とのサービスの比較です。

買付は手数料無料の場合が多いですが、売却は証券会社によってまちまちです。

楽天証券は手数料コースがいくつかありますが、どのコースを選んでいても「かぶミニ」の手数料は必要です。

出典:楽天証券 website

また、楽天証券には「スプレッド」があります。

スプレッドは、約定価格に載せられるものです。

売却の手数料は他社より概して安いので、その分約定価格にスプレッドを載せることで、取引の相手となる証券会社のリスクを軽減するものでしょう。

出典:楽天証券 website

なお、楽天証券は2023年7月末までエントリー不要で「かぶミニ」の手数料を無料にしています。

単元未満株取引を試してみたい方には都合がいいでしょう。

出典:楽天証券 website

単元未満株式で、できないこともある

例えば議決権は付与されません。

また、貸株の対象にはならないです。

スマートフォンアプリでは取引できない証券会社があります。

一方配当金は保有株式数に応じて受け取れます。

例えば配当権利確定日に単元で100株、単元未満で10株の、合計110株保有している銘柄があれば、その配当金は110株分支払われます。

単元未満株式取引に限りませんが、利用の前に、サービス内容とルールは何であれ確認しておきたいものです。

値嵩株を取引するのには決して悪くないサービス

例えば、1株6万円以上の株価のキーエンス(6861)を単元取引しようとなると、600万円以上の資金が必要ですが、単元未満株式取引ならば10万円もあれば1株の取引ができます。

出典:楽天証券 website

こういう銘柄を取引してみたかったという方には、単元未満株式は都合がいいサービスです。楽天証券ではキーエンスがリアルタイム取引対象銘柄になっていますので、成行注文しかできないとはいえ、売りたいなというタイミングで売ることができます。

また、10株持っていて5株だけ売るということも可能です。

筆者は、マネックス証券でこのような取引をちょくちょくやっています。

もちろん単元までコツコツ買うこともやります。

買いを検討している銘柄の値動きを意識して確認しやすくするために1株だけ買って様子を見るという使い方もしています。

50株保有している銘柄が1:2の株式分割をして単元株になるということもありました。

なお、単元株になると、単元未満株式取引はできなくなります。

一方指値や逆指値で取引したいとか、細かいことにこだわりたい方には向いていないサービスでしょう。

ご自身のポリシーに合わないのであれば無理に使わなくてもいいと思います。

まとめ

100株未満の日本の上場普通株取引を「単元未満株式取引」という

「単元未満株式取引」は20年以上前から可能だったが、近年はオンライン証券でもサービスを提供している

2023年4月17日に「単元未満株式取引」サービスをスタートしたのが楽天証券で、一部の銘柄に関しては他社にない「リアルタイム取引」が可能

「単元未満株式取引」でできること、できないことがあるので、ルールを確かめてから利用したい。

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この記事を書いた人

大学講師兼投資ライター
システムエンジニア->証券アナリスト->地方公務員->セミリタイアな中小企業の嘱託研究員->大学講師

CFP、FP1級、日本証券アナリスト協会認定証券アナリスト保有。
TOEIC950。MBA取得済。投資歴31年余り。

システムエンジニア時代に投信売買システム、生命保険契約管理システムに携わり、それらのしくみにも精通。
趣味はサッカー観戦(川崎Fサポ)、旅、読書、野菜栽培、フラワーアレンジメント。
がんサバイバーでもある。

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