TOPIXのリバランスで起きること

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実際にリバランスされたTOPIX

2回にわたりTOPIXについて書かせていただきました。

前回(https://bfp-investmentlabo.com/2022/10/29/kiso0006/)は「流通株式時価総額」によって、TOPIXのウエイトが変化することについて触れています。

2022年10月7日に公表された「ウエイト低減」を含めたTOPIXの1回目のリバランスが2022年10月28日の大引けで実施されています。

このリバランスはよく「10月末」と表現されています。

これは10月最終営業日に反映されるよう運用される都合上、10月最終営業日の1営業日前の大引けで実施されるのです。

ウエイト低減銘柄に関して起きたこと

日本経済新聞2022年11月1日付朝刊によると、ウエイト低減対象銘柄はプライム市場で205銘柄、スタンダード市場で288銘柄の計493銘柄で、10月7日の引け後に発表されて以降、対象銘柄は10月上旬から平均1%安となり、下落した銘柄は6割強にのぼったそうです。

10月7日から10月31日までの騰落率をみると、TOPIXは1.2%上昇しました。一方、引き下げの対象になった銘柄は単純平均で0.8%安となり、下落したのは全体の61%にあたる299銘柄で、TOPIXを下回ったのも356銘柄と72%にのぼっていると記事には書かれています。

前回記事で書いた通り、TOPIX内でのウエイトが低減すると、やはり該当銘柄は売られる傾向が強いです。

ウエイトが低減する銘柄ばかりではない

これまで「ウエイト低減銘柄」にばかり言及してきましたが、TOPIXの連動資金自体に変化がない場合、ウエイトが低減する銘柄があるならば、上昇する銘柄が必ずあります。

総じていえば浮動株ベースの時価総額加重平均(浮動株は流通株式に似たような概念ですが、まったく同じではありません)株価指数であるTOPIXの場合、浮動株ベースの時価総額が大きい銘柄が買われる傾向にあります。

具体的に言えばトヨタ自動車(7203)、ソニーグループ(6758)、キーエンス(6861)、NTT
(9432)などが上位に位置しており、ウエイトが上昇する対象です。

ウエイトについては月末の値が、JPXのwebsiteに掲載されますから、ご参照ください。

https://www.jpx.co.jp/markets/indices/topix/

リバランス実施時にはウエイト低減とウエイト上昇が同時に置きますから、引けの1分の出来高がものすごく大きくなります。

例えばトヨタ自動車(7203)の2022年10月28日には約6000万株の出来があります。

出典:日本経済新聞website

この日のトヨタ自動車の出来高は約9000万株ですから、約2/3が引けの1分で取引されたことになります。

それでも、プライスを下げているのは、この引けの1分で買ってくれる人がいることを前提に、例えば28日の寄り付きで取引して、引けの1分で売却するといった取引をするような方がいるからですね。それはそれでしっかり利益が出ていることになります。わかっている人はこのような取引をリバランス日に実行します。

ウエイト低減銘柄もまた引けに売買が集中します。

筆者が保有している前澤工業(6489)のチャートです。

出典:日本経済新聞website

この日約10万株の出来高がありますが、引けの1分で6万株近い取引がありました。

こちらはウエイト低減銘柄故、明らかに売られていますが、買った人がいるからこそ売買が成立しています。その後、株価は切り替えしていますね。

2022年10月28日の東証プライム、スタンダードの売買代金は、普段の2倍程度に膨らみました。これが連動資金70兆円とも80兆円ともいわれるインデックスのリバランス時に起きることです。

TOPIX全体の指数には大きく影響しないものの、個別銘柄を追えば、それなりの動きがあるものが少なくありません。

このリバランスが3か月ごとに起きる

2022年10月28日に発生したことは2025年1月末まで3か月ごとに実施されます。

次のイベントは2023年1月30日です。

ウエイト低減銘柄を保有している方は、今後株価推移を見つつ、今回の取引状況等を鑑み、今後の方針を決めていただければよいでしょう。

個人的にはウエイト低減銘柄を3銘柄保有していましたが、方針は決めました。1銘柄は10月7日の発表の翌週にすべて売却しています。

まとめ

2022年10月28日に、新たな定義に基づくTOPIXの1回目のリバランスが実施された。

TOPIX連動資金量が変化しないなら、ウエイト低減銘柄がある時、ウエイト上昇銘柄が必ずある。

ウエイト上昇銘柄は浮動株ベースの時価総額が大きい、大型株が中心となる

リバランス日は大引けの1分にその日の取引が集中し、出来高、売買代金ともに普段より大きくなる

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この記事を書いた人

大学講師兼投資ライター
システムエンジニア->証券アナリスト->地方公務員->セミリタイアな中小企業の嘱託研究員->大学講師

CFP、FP1級、日本証券アナリスト協会認定証券アナリスト保有。
TOEIC950。MBA取得済。投資歴31年余り。

システムエンジニア時代に投信売買システム、生命保険契約管理システムに携わり、それらのしくみにも精通。
趣味はサッカー観戦(川崎Fサポ)、旅、読書、野菜栽培、フラワーアレンジメント。
がんサバイバーでもある。

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