株式投資を始めた初心者の方の中にはアメリカ株に興味を持っている人も多いのではないでしょうか。
世界最大の経済国の株式であるため、国内銘柄よりも銘柄の成長性や投資リターンが大きく、投資を行うならアメリカ株をポートフォリオに入れておくべきという声もあるくらいです。
しかし、アメリカ株には日本国内とは異なるリスクがあり、投資を始める前にしっかりと理解しておかなければ、結果を出しやすいアメリカ株でも失敗をしてしまう可能性があります。
そこで今回は、投資初心者の方向けにアメリカ株について基礎から解説していきます。
投資を行うメリットやデメリット、お勧めの投資法も紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
まずアメリカ株(米国株)とは?
アメリカ株(米国)とは、アメリカ合衆国内の企業が発行する株式のことです。
アメリカは世界最大の経済大国であり、アップルやアルファベット(グーグル)、マイクロソフトなど世界最大規模の企業に投資が行えます。
日本の株式の多くは東京証券取引所で取引が行われるように、アメリカ株はニューヨーク証券取引所やナスダックといった取引所で取引されています。
ではもう少し詳しく、どのような銘柄に投資ができるのか、どこからアメリカ株を買えるのかを紹介していきましょう。
アメリカ株を代表する銘柄
アメリカには世界を代表する企業が多く在籍するため、一度は名前を聞いたことがある企業の株が取り扱われています。
- アップル(AAPL)
- アルファベット(GOOGL)
- マイクロソフト(MSFT)
- アマゾン(AMZN)
- コカ・コーラ(KO)
- ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)
- Visa(V)
- フェイスブック(FB)
など
このように世界を代表する銘柄が取り扱われる一方で、成長力を持った新興企業やスタートアップ企業の銘柄も存在し、聞きなれた大企業からこれから成長を期待できる幅広い銘柄から投資が行えます。
同時に、アメリカ株と言えばアメリカの長期的な成長と共に株価も上がる株価指数が有名で、
- ダウ・ジョーンズ工業平均株価(アメリカを代表する30銘柄の企業で構成)
- S&P500 (アメリカ大型企業500社で構成されたアメリカを代表する株価指数)
- ナスダック総合指数(ナスダックに上場する3,000以上の銘柄で構成された指数)
などにも投資ができます。
アメリカ株を取扱う取引所
日本国内だと東京証券取引所を筆頭に名古屋証券取引所や札幌証券取引所が開設されていますが、アメリカでもニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所など、いくつかの取引所が開設されています。
- ニューヨーク証券取引所(世界最大の証券取引所)
- ナスダック証券取引所(世界初の電子株式取引所で新興企業やハイテック企業が上場)
- シカゴ・オプション取引所(アメリカのオプション市場)
- NYSEアメリカン証券取引所(ETFや小型企業向けの取引所)
主にニューヨーク証券取引所とナスダックがアメリカの主要取引所で、日本とは時差があるため23:30〜翌日の6:00までが立ち合い時間となります。
アメリカ株は国内の証券会社から買える
アメリカ株はアメリカで取扱われている株式であるため、アメリカの証券会社でなければ取引ができないと考えてしまうかもしれません。
しかし、アメリカ株は日本国内の証券会社から買うことが可能です。
各証券会社によって少し仕様が異なることがありますが、基本的には外国株用の口座を開設してアメリカ株の取引が始められます。
ただ、アメリカ株を購入するためには現地の通貨である米ドルが必要になるため、投資資金を日本円から米ドルに交換してから始める必要があります。
証券会社によっては日本円を自動的に米ドルへアメリカ株を購入する際に交換してくれる仕組みもありますが、スプレッドと呼ばれる手数料が発生することもあるため、証券会社ごとに仕組みを調べておきましょう。
アメリカ株に投資をするメリットを紹介
アメリカ株に興味を持つ人の多くが、世界最大の経済国の株式に魅力を感じて投資を行っています。
国内銘柄にはない成長力や株式の仕組みを正しく理解すれば、さらにアメリカ株への投資に興味を持つことができます。
ここからはアメリカ株に投資をするメリットを紹介していきます。
アメリカ株の市場は右肩上がりでパフォーマンスが高い
アメリカ株に投資をする1番のメリットと言えば、右肩上がりに成長を続ける株価に投資が行えることです。
過去にアメリカを起因とするITバブル崩壊やリーマンショック、世界を巻き込むコロナショックなど、世界中の株価が大暴落してしまう事件が起こりました。
アメリカを代表するダウ・ジョーンズ工業平均株価を見ると、一時的に株価が下がったとしてもその後は下落以上の価格上昇が起きており、長期的に右肩上がりに成長を続けています。
数十年の歴史からアメリカ株は成長を続けて株価が上昇していくことは実証済みであり、長期的に投資を行えば十分なリターンが期待できるでしょう。
特に安定して成長を続ける投資先として、アメリカ株の株価指数をポートフォリオに加える投資が人気を集めています。
世界を代表する企業に投資ができる
アメリカ株を代表する銘柄でも紹介しましたが、基本的に世界を代表する企業の銘柄がアメリカには集まっています。
そのためアメリカ株では世界を代表する企業に投資が行えます。
アップルやマイクロソフト、アルファベットやアマゾンといった、日本でも誰もが知る企業に投資が行え、何かと話題を集めるイーロン・マスク氏のテスラ社にも投資可能です。
一見、外国の銘柄であるため企業の情報を集めることが大変かと想像できますが、有名企業であるため日本からでも多くの情報を入手し投資に活かせるのです。
配当が高い傾向にある
アメリカ株にも、株式の保有を続けることで企業の利益の一部を投資家に還元する配当が存在します。
日本株の場合には決算時期(3月など)に配当が集中しますが、アメリカ株の場合には四半期ごとの配当で年に複数回行われる傾向があります。
そのため日本株よりもアメリカ株の方が配当利回りが高くなり、株式投資による運用パフォーマンスを高めることができます。
ただ、全てのアメリカ株で配当があるわけではなく、成長企業の場合には利益を自社への再投資で事業拡大を図ることも多いです。
1株から購入可能
日本株の場合、最低売買単位が100株に統一されているため100株からの購入が基本となります。(例外としてミニ株など1株から購入できる仕組みもあります。)
しかし、アメリカ株の場合には1株から購入することが可能です。
株価に購入予定の株数を掛けることで必要資金を簡単に計算でき、小額からでも十分投資が行えます。
アメリカ株に投資をするデメリットを紹介
アメリカ株に投資をするメリットが存在すると同時に、デメリットも存在しています。
投資を始める際にはリスクとなるデメリットも把握しておかなければ、上手く投資を行うことができないため、アメリカ株の投資を始める前にデメリットもしっかり理解しておきましょう。
為替変動のリスクが伴う
アメリカ株は現地通貨である米ドルで投資を行う必要があり、日本円と米ドルのレートは日々変動しており為替変動のリスクが発生します。
例えば、今日1ドル=100円のレート(価格)でアメリカ株に投資を行ったとします。
1年後に購入したアメリカ株を売りましたが購入時と同じ価格での売りとなり、ドル円のレートが1ドル=90円になっていました。
もし1ドルだけ投資を行っていれば100円が90円になり、100ドルなら10,000円が9,000円、1,000ドルなら100,000円が90,000円になります。
株式投資自体では同じ価格での売買であったとしても、為替変動次第で損失が出てしまう恐れがあるのです。
逆に昨今のような円安が急激に進む状態だと、逆に為替変動による利益が出る場合もあるでしょう。
為替は単純に右肩上がりで価格が動くわけでは無いため、今後急激に円高に動いていく可能性も十分あり、アメリカ株に投資を行う際には株価だけではなく為替変動のリスクも考慮しなくてはならないのです。
ストップ高やストップ安が無く、価格変動のリスクが高い
アメリカ株には日本株のように個別の株において、急上昇しすぎた株価を止めるストップ高、急落しすぎた株価を止めるストップ安が存在しません。
代わりに1987年の大暴落ブラックマンデー以降より導入された、S&P500の急落で発動するサーキットブレーカーがあるのみです。
7%の下落で15分間の市場停止、13%の下落で同様に15分間の停止、20%の下落で終日売買が停止となります。
サーキットブレーカーは市場全体の停止であり、個別の株が止まるということは基本ありません。
そのため、個別株だけが急激に下がったとしても下げ止まる措置は無く、大きな損失を出してしまうリスクもあるのです。
アメリカ(米国)特有の情報を手に入れる必要がある
アメリカ株でも有名企業への投資だと企業の情報を得やすいと紹介しましたが、リアルタイムで最新の情報を得ようとすると少し話は変わってきます。
最新の情報は英語で発信されることが多く、言語の壁や時差によって情報をすぐに得られないことがあります。
現地の状況を生で知ることができないため、日本からの投資だと不利になってしまうことがあるでしょう。
さらに、アメリカでは大統領選挙の結果が経済や株式市場に大きな影響を与える可能性があり、投資中にはこれらの情報も入手しておく必要があります。
特に選挙についてはトランプ氏のように、予測ではヒラリー氏が勝つと現地でも言われていたのに、逆転勝利するような予測の難しさが存在します。
日本とは異なる情報や状況が株価に大きな影響を与えるため、日本株以上に多くの情報を集めて精査するのがおすすめです。
投資初心者にお勧めのアメリカ株投資法
アメリカ株の基礎について理解した上で投資を始めていくのは自由ですが、株式投資に慣れていない初心者の方だと、どのように投資をしていけばいいのか分からない場合もあるでしょう。
そこで投資初心者でも運用できるおすすめのアメリカ株投資法を紹介していきます。
アメリカ株価指数と連動するETFへ投資
アメリカ株でも銘柄の数はかなり存在します。
その中から1つの銘柄を選ぶことは大変であり、個別銘柄だとアメリカ株のメリットである成長性の恩恵を受けられない可能性があります。
そこでアメリカ株への投資を始めるならまずは、S&P500やダウ・ジョーンズ工業平均株価と連動するETFに投資をすることがおすすめです。
国内の証券会社がそれぞれにアメリカ株価指数と価格が連動するETFを出しており、その中から選んで投資をすれば安定したアメリカ株のリターンが期待できます。
さらに集中ではなく各銘柄を集めた分散投資にもなるため、はじめからリスクを分散させた投資が行えます。
長期的な視野での投資
何度も紹介してきましたが、アメリカの株式市場は年々成長を続けて株価が上昇しています。
そのため初心者の方の場合は、短期的な投資よりも長期目線で市場の成長に乗る形の投資がおすすめです。
特に毎月一定額の金額で投資を続けるドルコスト平均法との相性が非常に良いです。
個別銘柄を1株ずつでも良いですが、ETFを毎月一定額買い続けて積み立てていけば、数年後には株価上昇の利益と共に上手く資産を形成できるでしょう。
特に一時的な不景気が来ても長期投資を続ければ利益が出やすいと、過去のチャートでアメリカ株は証明されているため初心者の肩でも安定したパフォーマンスが期待できます。
まとめ:成長ができるアメリカ株をポートフォリオに加えよう
以上がアメリカ株についての解説となります。
アメリカ株に投資をすれば、経済大国として成長を続ける市場に投資が行え、歴史的にも証明された安定したパフォーマンスが期待できるでしょう。
特に長期投資との相性が良いため、ポートフォリオの一部として加えておくことがおすすめです。
アメリカ株は国内の証券会社から投資が行えるため、すでに国内口座を開設している人はアメリカ株に投資ができるよう追加の口座を開設したり、証券会社の口座をまだ持ってない人は新たに開設して投資を始めていきましょう。