最高値を更新した後の各業種別株価指数の動き

株式相場を見る上で、どのような銘柄が物色されているのかを知るには、様々な株価指数を見る必要があります。
各株価指数を見ることによって、同じような分類の銘柄が上昇しているのか、循環的に様々な業種が上昇しているかが分かり、物色の変化などをつかみやすくなります。今回は、近年最高値を更新した業種について、最近までの動きを振り返り、今後の高値メドを予想してみました。

目次

最近の業種別指数の動き(一部)

ここでは、近年最高値を更新した業種別株価指数である輸送用機器株、卸売業株 の動きを示しました。さらに、足元で最高値を更新した業種別株価指数として食料品株 を取り上げてみました。この業種の強気材料としては、値上げをしても収益が落ちにくい(節約の対象となりづらい)ことが上げられます。そこで、値上げをすると収益が落ちてしまいがちな業種として、サービス業株、陸運業株 の推移と共に示してみました。近年最高値を更新した業種の好調さが見られています。

6月に最高値を更新した輸送用機器株

業種別株価指数・輸送用機器は小泉政権下の上昇時(2005年8月)にバブル時の高値を更新しました。その後もアベノミクスの始まった序盤(2015年)に更なる高値を更新し、その後この高値を前に反落する場面もありましたが、今年6月に円安の動きと共に再び高値を更新しました。

数年に一度の高値を上抜けるかどうかは、株価をみる上で重要なポイントとなります。株式市場では、株価が上がったところで売りを行う(逆張り戦略を行う)投資家が存在していますので、数年に一度の高値を上抜けるということは利益確定売りを吸収できたことの証明になります。

数年に一度の高値を上抜けた後はその後も上昇しやすいと言えます。アベノミクスの始まった序盤(2015年)に高値を更新した際も、2007年の高値から384の値幅を上方に高値を更新しました。

季節的な傾向

今年10月は6%の下落となりましたが、近年は年終盤に調整することはよくみられています。2021年以降の平均騰落率は9月、11月、12月がマイナスになっています。一方で、1月、2月、3月の平均騰落率はプラスになっています。

今後の上値メド

過去の上昇幅を求めますと、2001年9月安値から2007年2月高値までの値幅(上昇幅)が2261。2008年12月安値から2015年5月までの値幅が2644。2020年3月安値から足元までの値幅は、すでにこれらの値幅を上回っています。
値幅が徐々に長くなっていると考えれば、2020年3月安値から3000程度上方にある4948あたりが短期的な上値メドの候補の一つになりそうです。

図で示したように、36カ月移動平均乖離率はプラス80%前後まで高まった後に、輸送用機器株はさらに上昇してきました。現在の36カ月移動平均乖離率のプラス80%は5721であり、中長期的には6000程度までの上昇もあり得ると考えます。

2021年に最高値を更新した卸売業株

卸売株は、2021年後半まで最高値を更新するまでに時間がかかりましたが、上抜いた後は勢いのある上昇を見せました。特に、今年4月に著名投資家のウォーレン・バフェット氏が大手商社株の保有比率を上昇させたことに言及したことで、卸売業株はその後大きく上昇しました。

やはり、数年に一度の高値を上抜けるかどうかは、株価をみる上で重要なポイントと言えます。数年に一度の高値を上抜けた後にさらに上昇しやすいことは、2021年以降の卸売業株の動きに表れています。

今後の上値メド

過去の上昇幅を求めますと、2000高値から2002年2月安値までの値幅(下落幅)が3326円で2000年高値にこの値を加えると3326(V計算値)で、足元はこの水準をやや上回りました。つまり、卸売業株は2000年高値から2002年の安値までの下落幅の2倍あまりの値幅を上昇しました。

図で示したように、36カ月移動平均かい離率で止まりやすい水準はないように思われます。2005年の場面を参考にしますと、36カ月移動平均かい離率の102%上方まで上昇しており、足元に当てはめますと4200前後が一つの上値メドとなります。

足元で最高値を更新した食料品株

足元で最高値を更新した業種として、食料品株が挙げられます。
やはり、数年に一度の高値を上抜けるかどうかは、重要なポイントと言えます。輸送用機器株、卸売業株の動きをみても、過去の食料品株の動きを見ても、数年に一度の高値を上抜けるかは重要であると言えます。

食料品株は、急騰や急落が少ない業種と言えます。36カ月移動平均かい離率が高水準をつけてから時間をおいて、高値をつけてきたことが分かります。つまり、上昇ピッチが遅くなった後に高値をつけてきました。

今後の上値メド

過去の上昇幅を求めますと、2009年安値から2018年高値までの上昇幅が1509、この値幅を2020年安値に加えますと2810(N計算値)となります。
2018年高値から2020年安値までの下落幅は839、この値幅を2018年高値に加えますと2979(V計算値)となります。
1989年高値から2002年安値までの下落幅は1182、この値幅を1989年高値に加えますと2920(V計算値)となります。

過去の上昇場面で見られた水準である「36カ月移動平均のプラス50%の水準」を求めますと、10月現在で2588でありこのあたりが一つの短期的な上値メドと考えます。

今後高値をつける可能性のある業種

ここでは、今後、過去の高値を上抜く可能性のある業種について挙げてみました。

・電気機器、機械
円安メリットを享受でき、海外景気が回復すれば有望です。

・銀行業、保険業
低金利が長く続いたあと、今年は(日銀の政策変更などで)金利上昇が見られ、両業種とも大きく上昇しました。

・小売業
訪日客数の回復基調、値上げの動きなどを背景に業績が好調です。

今後の戦略

今回は最高値を更新した業種別株価指数について取り上げましたが、最高値だけではなく数年に1度つけたような高値を意識して株価の上昇が止まる場面は多く見られます。一方、その高値を更新した後は堅調に推移することも多く見られます。来年にかけては、新たな業種の高値更新も期待できそうです。過去の高値を更新した後は、さらにどの程度上昇しやすいのかを把握することは有意義であると考えます。

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