TOPIXのルールを知る -算出対象への追加と除外-

日本株投資家であれば、TOPIXを意識する方が多いと思います。

しかし、TOPIXがどんな株価指数かご存知でしょうか?

「東証プライム市場の全銘柄で構成される時価総額加重平均株価指数でしょ?」と言われそうです。

大筋は正しいのですが、厳密にいえば正しくありません。

目次

TOPIXとは

正式名称はTokyo Stock Price Indexで、読み方はトピックスです。日本語では「東証株価指数」です。

算出しているのは日本取引所グループ(東プ 8697)傘下の企業である「株式会社JPX総研」です。

日経平均株価と並ぶ日本の代表的な株価指標で、国内株式で運用される投資信託のベンチマークとしては、日経平均株価よりもTOPIXのほうが多く使われています。

東京証券取引所に上場する銘柄を対象として算出・公表されている株価指数です。

2022年4月に実施された東京証券取引所の新市場区分移行までは、東証1部上場銘柄を対象として、各銘柄の浮動株数に基づく時価総額を合計し、1968年1月4日を基準日に、当時の時価総額を100として算出していました。

2022年4月1日の新市場区分施行をきっかけにTOPIX自体も見直されることになりました。構成銘柄については市場区分と切り離され、市場代表性や投資対象としての機能性のさらなる向上を目指しています。このあたりについては追って改めて触れます。

TOPIX算出対象に追加される日

TOPIXの算出要領(https://www.jpx.co.jp/markets/indices/topix/tvdivq00000030ne-att/cal2_30_topix.pdf)に、場合分けされて算出対象への追加日が掲載されています。

1)プライム市場に新規上場した銘柄

→新規上場日の翌月最終営業日

2)他市場からプライム市場へ市場区分を変更した銘柄

→プライム市場に市場区分を変更した日の翌月最終営業日

3)TOPIX 等の算出対象銘柄が株式移転、株式交換、新設合併又は会社分割といったコーポレートアクションのため上場廃止となり、当該株式移転等に伴う新設会社等が TOPIX 等の算出対象に追加される場合

→新設会社等の新規上場日

4)TOPIX 等の算出対象が、TOPIX 等の算出対象でない会社を存続会社又は完全親会社とする株式交換・吸収合併に伴い上場廃止となり、当該存続会社又は完全親会社が TOPIX 等に追加される場合

→TOPIX算出対象会社の上場廃止日

簡単に言えば新たにプライム市場上場銘柄となった銘柄は翌月最終営業日からTOPIXの算出対象になります。

それ以外は、コーポレートアクションの形態により、算出対象への追加日が異なります。

TOPIX算出対象から除外される日

追加される日のルールがあれば、除外される日のルールもあります。

1)TOPIX 等の算出対象が株式移転、株式交換、新設合併又は会社分割といったコーポレートアクションのため上場廃止となり、当該株式移転等に伴う新設会社等が TOPIX 等に追加される場合

→当該新設会社等の新規上場日(通例、上場廃止日の 2 営業日後)

2)1)以外の場合(合併・株式交換などにより非存続会社となる場合など)

→上場廃止日

3)整理銘柄、特設注意市場銘柄への指定

→整理銘柄、特設注意市場銘柄への指定日の 4 営業日後

TOPIXへの追加と除外にもとづく連動資金の動き方

株価指数のルールを知ることのメリットは、当該株価指数連動資金がルールによって動くことです。

例えばTOPIXに新規に追加される銘柄は、TOPIX連動資金の買いを呼びます。

除外される銘柄は売りを呼びます。

これは確実な需給になるので、機関投資家でも興味を持つ人が多いです。

除外される銘柄を予想するのは、経営破綻やコーポレートアクションの可能性を探ることになるので難しいですが、他市場からプライム市場へ市場変更しそうな銘柄を予想することはそう難しくありません。上場基準に照らし合わせて合致しそうな銘柄をプライム市場以外から探せばいいからです。筆者もアナリスト時代に市場変更しそうな銘柄の予想をしていました。

さて、買いと売りが起きると確定すると、動かすべき資金の大半は追加または除外される日の前営業日の引けです。

追加または除外される日の寄りからは「あるべき姿」にするためです。

2023年10月6日にグロース市場からプライム市場へ市場変更した霞ヶ関キャピタル(3498) の例を確認しましょう。

出典:日経スマートチャートプラス

市場変更日にもとづくと、TOPIXへの追加は2023年11月30日です。その1営業日前が2023年11月29日で、引けで大きな売買が起きています。これがTOPIX連動資金の動きです。

このルールをわかっている投資家は、11月29日の引けに買い需要があることを知っています。ですから、その前に仕込んでおいて引けで売るというストラテジーを取ることもあります。売買は売りと買いがあって初めて成立するからこその投資行動です。

このタイミングとは別に、新規追加銘柄の一部に関して買い需要が発生するタイミングがあります。それはTOPIXで忘れてはいけない概念である「浮動株」にかかわる話で、それはそれでそれなりのボリュームになるので、次回書かせていただきます。

まとめ

  1. TOPIXは日経平均株価と並ぶ日本の代表的な株価指標で、国内株式で運用される投資信託のベンチマークとしては、日経平均株価よりもTOPIXのほうが多く使われている。
  2. TOPIX算出対象への追加日・除外日は追加と除外の理由にもとづいて算出要領で決められている。
  3. TOPIX連動資金が動くのは、原則として追加日・除外日の前営業日の引けである。
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この記事を書いた人

大学講師兼投資ライター
システムエンジニア->証券アナリスト->地方公務員->セミリタイアな中小企業の嘱託研究員->大学講師

CFP、FP1級、日本証券アナリスト協会認定証券アナリスト保有。
TOEIC950。MBA取得済。投資歴31年余り。

システムエンジニア時代に投信売買システム、生命保険契約管理システムに携わり、それらのしくみにも精通。
趣味はサッカー観戦(川崎Fサポ)、旅、読書、野菜栽培、フラワーアレンジメント。
がんサバイバーでもある。

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