日本株銘柄コードの豆知識

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銘柄コードを構成する文字

米国株と日本株の違いの一つは銘柄コードを構成する文字です。

米国株はアルファベットと数字を用いて表現されるティッカーと呼ばれるもので銘柄を判別します。仕事で日本株に携わった期間がそれなりにあってから米国株も仕事の一部で調べるようになった時に個人的に一番苦労したのがこのティッカーでした。

よくみれば、米国株のティッカーは企業名をなんとなく彷彿させるようなものが多いのですが、仕事で日本株に慣れると、ティッカーごとに桁数が違うことの違和感はぬぐえません。

つい最近まで、日本株の銘柄コードは原則4桁の数字でした。

特に米国株になじみがある方には、数字の羅列でわかりにくいとよく言われますが、数字で桁数が統一されているのは特にプログラミングしてデータ抽出をするときなどに非常に都合がいいです。筆者が個人的に思っていることですが、プログラミングの世界では文字より数字の方がはるかに扱いやすいので、桁数が統一されていない米国株のティッカーより日本株の銘柄コードの方がはるかに好都合でした。

 日本株は一番左の桁の数字でおおよそのセクターがわかる

さらに、頭の数字でおおよそのセクターがわかるようになっています。

非常にざっくりと並べると以下のようになります。数字は銘柄コードの一番左の数字です。

1: ETF 水産・農林 鉱業 ゼネコン

2: ETF 食品

3:ここはいろんなセクターが多い 敢えて言うと紙・パルプ

4: 化学 薬

5: 石油元売り系 ゴム 鉄鋼 非鉄 金属製品

6: 機械 電機

7: 重工業 自動車 精密 小売 その他製品

8: 卸売(いわゆる商社) 小売 銀行 証券 保険 その他金融 不動産

9: 陸運 海運 空運 倉庫 情報・通信 電気・ガス サービス 小売

例えば情報・通信セクターに分類されるNTTの銘柄コードは9432ですから、一番左の桁が9の「情報・通信」と合致します。ソニーGは6758ですから、一番左の桁が6の「電機」に合致します。

足下の日本株市場をけん引するのは、半導体関連企業です。

代表格は東京エレクトロン(8035)ですが、アドバンテスト(6857)、ソシオネクスト(6526)、ルネサスエレクトロニクス(6723)、日本マイクロニクス(6871)、TOWA(6315)あたりでしょうか、製造装置や検査装置は「機械」に属するので、銘柄コードの最初が6で始まる銘柄が多いのです。6で始まる企業の株価が好調だと、半導体関連が好調なのかな?とおおよその想像をつけられるわけです。

近年上場した銘柄は、空きコードを付与されるため、必ずしも前述の法則に当てはまらないものもあるのですが、覚えておくと便利だと思います。

 アルファベットも使われるようになった

なお、2024年からは新規に付与される銘柄コードにアルファベットが使われます。アルファベットが付与される桁は最初から2桁目と4桁目のどちらか、あるいは両方です。英大文字のうち、「B」、「E」、「I」、「O」、「Q」、「V」、「Z」を除く19文字を使用します。これら7文字は数字と見間違えがちなので使われないのでしょう。

出典: JPX website

左から2桁目も知っておくとなお便利

話を元に戻します。既存の銘柄コードは左から2桁目も覚えておくと便利なことが多いです。例えば一番左の桁が9の場合、2桁目についてはざっくりと以下のように分類できます。

90: 陸運

91: 海運

92: 空運

93: 倉庫

94、96、97: 情報・通信

95: 電気・ガス

98、99: 小売等

セクターが多い一番左の桁が8はざっくりと以下の通りです。

80、81: 卸売

82: 小売り

83、84、85: 銀

86: 証券

87: 保険

88、89: 不動産

つまり、日本株の銘柄コードの場合は数字である程度のセクターを判断できるわけです。これは米国株のティッカーだと知らない会社なら調べないと何を生業にしているのかわかりにくいのとは大きな違いではないでしょうか。

ちなみに筆者は最初の1桁が1から9までのすべてを保有しており、保有株式の一覧では銘柄コードの若い順に並びますので、上から眺めていくと、セクター別のその日の強弱をおおよそ把握できるという点でも数字の分類を気に入っています。

書籍版の会社四季報等がお手元にある方はぜひ確かめてほしいのですが、各銘柄の情報の欄外には下記の赤い印のようにセクター名が掲載されています。

出所:東洋経済新報社 会社四季報2020年秋号

書籍版以外で四季報の情報を利用している方にはなじみが薄いかもしれませんが、この記載を確かめていただけると、最初の1桁によるセクター分類をご理解いただけると思います。

投資情報を得るためにSNS等を利用している方が少なくないと思いますが、日本株の企業名は時に非常に文字数が多く、企業名を見ても生業がよくわからないこともあるでしょう。銘柄コード分類を大まかに知っておくと、把握しやすくなると思います。頭の隅に入れて活用していただけると嬉しいです。

まとめ

日本株の銘柄コードは一番左の桁の数字でおおよそのセクターがわかる

2024年1月からはアルファベットも使用されるようになった

左から2桁目も知っておくとなお便利

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この記事を書いた人

大学講師兼投資ライター
システムエンジニア->証券アナリスト->地方公務員->セミリタイアな中小企業の嘱託研究員->大学講師

CFP、FP1級、日本証券アナリスト協会認定証券アナリスト保有。
TOEIC950。MBA取得済。投資歴31年余り。

システムエンジニア時代に投信売買システム、生命保険契約管理システムに携わり、それらのしくみにも精通。
趣味はサッカー観戦(川崎Fサポ)、旅、読書、野菜栽培、フラワーアレンジメント。
がんサバイバーでもある。

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