コーヒー豆相場の動きを振り返り、今後の動きを予想

商品の投資対象としては、金などの貴金属、銅などの非鉄金属、原油などのエネルギー、穀物などがありますが、最近の各商品相場を見ますと、落ち着いて推移する商品と大きく上昇する商品に分かれます。今回は、今年大きく上昇している商品として「コーヒー豆」の動きに注目してみました。過去の推移を振り返り、今後を予想しました。 

目次

コーヒー豆などの商品に投資するメリット 

これまで多く取り上げられて来なかった「コーヒー豆」の価格ですが、今後上昇が期待できるという点で、投資の対象の選択肢の一つになり得ると考えます。また、身近な商品であるため、価格の上昇は気になります。以下は投資するメリットです。 

インフレ対策になる 

インフレになると貨幣の価値が下がる一方、モノの値段は上がります。資産の一部を投資しておくことは、インフレ対策になるでしょう。 

分散効果が期待できる 

長期の資産運用をする上で、値動きの異なる複数の資産を組み合わせて保有することは有効と考えられています。様々な資産を組み合わせて保有することで資産全体での分散効果が期待できます。 

コーヒー豆などの商品に投資するデメリット 

以下は投資するデメリットです。 

変動が大きい 

後ほど、コーヒー豆の推移を示していますが、日経平均株価などと比べると、変動は大きくなっています。下落した場合の損失は大きくなります。 

最近の商品相場の動き 

以下は、最近の商品相場の動きです。 

金先物相場が高騰 

2024年の金相場は、11月に米国の大統領選挙を控えていたこと、世界景気の先行きが不透明であったこと、中東やウクライナの情勢が不透明であったことなどから、上昇基調が続きました。 

原油相場は軟調 

商品のなかでも景気に敏感な商品は上値の重い展開が続きました。代表的なものは原油相場です。主要な消費国である中国景気の悪化懸念などが重荷になりました。 

穀物相場 

小麦相場は、2022年のロシアのウクライナ侵攻により史上最高値を更新しましたが、ウクライナからの輸出再開などを受けて、落ち着いて推移しています。 

とうもろこし、大豆も、ロシアのウクライナ侵攻時に高騰しましたが、米国やブラジル等の豊作により、落ち着いて推移しています。 

コメは、2022年9月にインドの輸出規制導入により上昇しましたが、2024年9月に輸出制限が緩和され下落しました。 

ロブスタ種コーヒー豆、アラビカ種コーヒーがいずれも堅調 

コーヒー豆は、インスタントコーヒーに使われるロブスタ種コーヒー豆、高級品種とされるアラビカ種コーヒー豆のいずれも上昇しました。ベトナムやブラジルなどの生産地で天候不順が見られ、供給懸念が広がりました。 

コーヒー豆(NY先物)相場の推移 

ここでは、過去20年間のコーヒー豆(NY先物)相場の動きを表しました。 

2011年に高値を付けて下落し、2019年に安値をつけた後に上昇しました。2022年に高値を付けて下落し、2024年は再び上昇しました。 

コーヒー豆が高騰した理由 

以下は、日本経済新聞朝刊9月11日11面から抽出しました。コーヒー豆相場が今年高騰した理由として、天候不順が挙げられます。 

天候不順による影響 

主要産地のブラジルやベトナムが天候不順となり、供給懸念が高まり、コーヒー豆の価格が上昇基調となっています。 

近年の価格上昇はまずアラビカ種で見られました。ブラジルで2021年に霜害が発生し大減産となりました。また、2023年春以降に発生したエルニーニョ現象の影響による干ばつ被害で、ベトナムを主産地とするロブスタ種も大きく減産となりました。 

ベトナムでは2023年に続き2024年もコーヒー豆の生育期となる5〜6月ごろに降雨量が非常に少なくなりました。ブラジルでも、雨が少ない状況が続きコーヒー豆の生育に必要な水分が十分に得られませんでした。 

主要産地が限られることから、コーヒー豆の価格は天候不順の影響を大きく受けたもようです。 

制度面での懸念材料 

以下は、日本経済新聞朝刊9月11日11面から抽出しました。 

EUの制度に影響される懸念がある 

今後の価格の行方を占う上で注目されますのが、EUDR(欧州森林破壊防止規則)と呼ばれる欧州の制度です。 

同制度により、EU圏内で牛、カカオ、コーヒー、ゴム、大豆、木材などの規制対象品目を扱う事業者は、規制対象品目が「森林破壊フリー」であり、かつ生産国の関連法規に従って生産されていることを証明する情報データの収集を行う義務などが課される可能性があります。 

EU諸国はコーヒーの大量消費国であるため、EUDRが厳格に適用されると生産者に時間やコストがかかり、供給が減る可能性があります。 

欧州委員会は、10月2日、2024年末に適用予定だったEUDRを1年延ばす案を出したことから、コーヒー豆相場は下落しましたが、下落の動きは一時的なものにとどまる可能性があります。 

長期的に世界人口が増加しコーヒーの消費者増えると見られることから、需給は逼迫しやすいと考えます。 

コーヒー豆(NY先物)相場の月別騰落率 

ここでは、コーヒー豆(NY先物)の月別の騰落率を示しました。

2001〜2010年、2019〜2023年に上昇傾向にあり、2011〜2018年に下落傾向であった月、つまり、中長期的な方向性とよく一致した月は、5月、8月、11月、12月です。 

2022年からの下落は9月から始まっており、2023年からの上昇は10月から始まっています。最近6年間は、11月の方向性がその後の長期的な動きと一致してきました。 

前述の図のように、36カ月移動平均の方向性は上向きになっており、一時的に下落したとしても、長期的な上向きの方向性はなかなか変わらないと考えます。 

まとめ 

今回は、今年堅調に推移しているコーヒー豆相場について取り上げました。今後も世界的に天候不順が続くと予想されるなかで、コーヒー豆は主要生産国が限られること、消費者が増えること、36カ月移動平均線の動きなどから見て上昇が予想されます。また、相場を占う上で月別騰落率がどうなっているかも参考になりそうです。 

地政学リスクが高い中で、米中対立などのリスクも懸念される中で、様々な商品に分散して投資することには意義があるでしょう。 

この記事は投資経済マーケットについて学習および解説をすることを目的に作成されています。 投資や運用の推奨および加入や結果の保証を行うものではございません。 参考資料としてご活用いただき、運用を行う場合は自己責任でお願いいたします。

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