株式投資の「アドバンスト連想ゲーム」に必要なもの

目次

株式投資は「連想ゲーム」?

筆者は、株式投資に「連想ゲーム」のような要素があると考えています。

株式投資には「連想買い」と「連想売り」という言葉もあります。

ある事象で連想される銘柄を取引することです。

例えば、「今年の夏は暑い」と気象庁が長期予報を出したとしましょう。

暑いと売り上げが伸びるものがありますね。

ビール、アイスクリーム、冷たい飲み物、エアコン、涼しさを感じられる衣類や寝具などでしょうか。

電力消費が増えることも想定されます。

それらを扱う企業の株価には追い風が吹くかもしれません。

これが「連想ゲーム」の一つです。

率直に申し上げると、これぐらいは多くの人が想像できると思います。

ですから、株式投資としてすごくうまみがあるかといえば、そうでもないと思います。

なぜなら、自分が考えることというのは大抵他の人も考えているからです。

多くの人が想像できることで、自分が他の市場参加者を出し抜けることはレアだと思います。

ですから、連想買いは楽勝と過信するのはよくありません。

アドバンスト「連想ゲーム」

一方で、筆者は「連想ゲーム」を否定もしません。

ただし、条件付きです。

他の人があまり気づいていないことに気が付くならば、それは大きな収益機会になると考えます。

いわば、「アドバンスト連想ゲーム」をできるなら、ということです。

一つ具体例を挙げます。

日本に半導体製造の拠点を新たに設けようという動きがあります。

いくつかは読者の方もご存じでしょう。

熊本県内に工場を設ける台湾セミコンダクター(TSMC)の名前を耳にする機会が増えています。

それだけではありません。

韓国のサムスン電子も日本に拠点を設けることが報じられています。

サムスン電子が日本に半導体拠点新設、後工程の日韓シナジー効果に期待 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

サムスン電子といえば、スマートフォンやテレビを思い浮かべる読者さんが多いかもしれませんが、実は世界屈指の半導体企業です。

事業概要 | サムスン半導体日本 (samsung.com)

さて、このような報道を見聞きして、何を思い浮かべるでしょうか。

これが「連想ゲーム」です。

半導体製造をするなら、半導体製造装置や素材を作っている企業にお金が入りそうと想像するのは簡単です。

実際、半導体製造装置関連企業の株価は大きく上昇していますね。

こちらはアドバンテストの株価6か月チャートです。

アドバンテストは、半導体デバイスが正常に動くかをテストする検査装置を手掛ける世界上位メーカーです。

出典:www.nikkei.com

半導体の工場が増えるから、製造装置に恩恵があると考えるのは普通の「連想ゲーム」です。

「半導体」とでも入力してweb検索をかければ、そう難しくなくヒットするでしょう。

それほど難しいことではありません。

「アドバンスト連想ゲーム」をやりたい方へ

「アドバンスト連想ゲーム」に定義はありません。

連想に制約はありません。

好きなようにやればいいのです。

ただ、その精度を高めたいのであれば、筆者なら半導体がどうやって作られるのか、その産業の影響範囲はどこなのかを調べます。

それで得られる知識は「半導体の産業連関」です。

実はすごくきれいな水がなければできないとか、どのような半導体の需要が多いのかなどを調べることで連想の範囲が広がります。

その際に役に立つのが「産業連関」とか「業界地図」といった情報です。

「〇〇産業のすべて」といったような本も役に立つと思います。

ライバル企業などを同時に把握することも可能なことが多く、視野が広がります。

出典:技術評論社 website

出典:amazon.co.jp

業界地図などだけでは想像できない、いわば副次的効果に連想が及ぶと連想の範囲が広がります。

半導体製造工場が新たに建設されるのだとすれば、

  • 拠点周辺に住む人が増え、交流人口が増えるなら周辺の地価は上がるだろう。
  • 道路等のインフラ整備が進むだろう。
  • 拠点周辺では人手不足が深刻になるかもしれない。
  • 本国からの出張者が増えるだろうから、ホテルが増えるかも。
  • 建設事業者が関与せざるを得ない

といったことを想定できます。

また、作った半導体が何に使われるのかを想定するのも連想ゲームですね。

家電用なのか、自動車用なのか、ゲーム機用なのか、データセンター用なのか。

ほかの用途もあります。

半導体は様々な種類があり、産業のすそ野が広いのです。

もちろん半導体以外にも産業連関はたくさん存在しています。

さまざまな分野で連想ゲームが可能です。

どの連想が当たってどれが外れるかはわかりません。

当たらないことも少なくないです。

とはいえ、誰でもできる連想をしてもうまみはそれほどありません。

そして、投資を検討する前にこのような要素を考え、繰り返すことで精度が上がっていきます。

それぞれの事象に対して、何を調べなければいけないかが身につくからです。

そして、連想できたことの裏付けをとれるようになれば、さらに精度が高くなっていくでしょう。

これがしんどいと思うなら、無理に個別株投資をやる必要はありません。

正直楽ではない作業です。

ですから、洗練されたインデックスへの投資を続ければいいと思います。

これらのプロセスが楽しいと思えるようであれば、個別株投資を楽しめると思います。

まとめ

株式投資は連想ゲームの要素があると考えている

誰でもできそうな連想にはそんなにうまみはない

連想するための自分の素養を業界地図などで身に着けたい

連想作業が楽しければ、個別株投資を楽しみながらできるのではないか。

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この記事を書いた人

大学講師兼投資ライター
システムエンジニア->証券アナリスト->地方公務員->セミリタイアな中小企業の嘱託研究員->大学講師

CFP、FP1級、日本証券アナリスト協会認定証券アナリスト保有。
TOEIC950。MBA取得済。投資歴31年余り。

システムエンジニア時代に投信売買システム、生命保険契約管理システムに携わり、それらのしくみにも精通。
趣味はサッカー観戦(川崎Fサポ)、旅、読書、野菜栽培、フラワーアレンジメント。
がんサバイバーでもある。

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