「適時開示」とは
「適時開示」とは「公正な株価等の形成および投資者保護を目的とする、証券取引所に上場した会社(以下、「上場会社」)が義務付けられている「重要な会社情報の開示」のこと」で、いわば「どの投資家にも知っておいてほしい発行体に関する情報」と言えます。
どのような場合に適時開示しなければいけないかは証券取引所が「上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則」で定めており(JPXの場合https://www.jpx.co.jp/files/ose/f/news/25882/wysiwyg/ki10.pdf)、多岐にわたります。代表的なものは増資、自社株買いといった資本が動くもの、大株主の異動、売出し、株主総会招集、株式分割・併合、株式公開買付などで、決算短信も「適時開示」の一つです。たくさんあって全部は覚えられませんが、代表的な種類は知っておいた方がいいでしょう。
ちなみに、「株主優待」は適時開示の対象ではありません。これは、「株主優待」がすべての上場企業に関係があるわけではないからだと筆者は解釈しています。
「適時開示」は「大本営」の発表である
投資でリターンを得られるかどうかを左右する一つの要素が、その銘柄の発行体に関わる事実や情報です。
「〇〇は株価に折り込まれている」という表現が使われる時の〇〇はたいてい事実や情報です。
アナリストレポートや会社四季報といったものはもちろん情報の一つですが、取材をもとにした第三者の見解です。一方「適時開示」は「大本営」である発行体からリリースされるものですから、投資家は無視してはいけないものだと思います。
「適時開示」を確認する方法
1)発行体のホームページで「IR情報」や「投資家情報」に掲載されるものを確認する。
これは一番わかりやすい方法ですが、いちいち発行体(株式であれば企業)のwebsiteを尋ねて、それらしいリンクを探すという手間が必要です。
2)証券取引所のwebsiteで確認する。(JPXならばhttps://www.release.tdnet.info/inbs/I_main_00.html)
JPXが提供している適時開示情報閲覧サービスを用いると、リリースされた日付やキーワードでの絞り込みができるため、発行体を網羅して「今日どんなことが発表されたのかな?」といった調べ方をするときに便利です。
3)調べたい銘柄がわかっているのなら、日本経済新聞website
私は自分が保有している銘柄、あるいは買いを検討している銘柄については日本経済新聞website(以下:日経サイト)を利用することが多いです。
日経サイトのポータルの右上には銘柄コードや銘柄名で検索できるボックスがあるので(下の図の赤で囲んだ部分)、適時開示を確かめたい銘柄の会社情報検索をすると表示される各銘柄ごとのページの「企業発情報」に「適時開示」が掲載されています。
「一覧」をクリックすると、過去1年分の「適時開示」を閲覧することができるため、直近2年間に当該銘柄(企業)で起きていたことを調べやすいです。
後追いになってしまいがちですが、保有している銘柄の株価が大きく動いたときには日経サイトで当該銘柄を検索し、何か「適時開示」が掲載されていないかどうかを確認しています。
また、決算短信も日経サイトで確認しています。発行体のwebsiteと比較すると、ユーザーインタフェースが統一されているため、直近のものなら探しやすいと思います。
また、適時開示については当日の「ランキング」があります。
日経サイトでマーケットを選び、表示されるページの右下の方に、下のような表示があります。
この表示で「50位まで表示」を選択すると、閲覧が多い適時開示順に50件が掲載されますので、今日注目されている適時開示が何かがわかりやすいと思います。
日本株の投資家であるならば、自分が保有している銘柄については日々「適時開示」の有無を追うことをお勧めします。銘柄が増えてくるとなかなか大変な作業ではありますが。
特に決算時期は、決算短信のみならず、自社株買いや配当予想の変更、株主優待制度の導入・廃止・変更などを合わせて発表するケースも多いですので、数字だけ確認して終わりにしない方がいいでしょう。
また、「適時開示」はマーケットがクローズした午後3時ごろにリリースされることが多いです。1日に1度ぐらい夕方以降に新たな適時開示の有無を確認するのもいいでしょう。
まとめ
「適時開示」は「上場会社」が義務付けられている「重要な会社情報の開示」のこと
「適時開示」の義務がある場合について、証券取引所が規定を設けている
保有している株式については、1日に1度ぐらい夕方以降に新たな適時開示が出ていないか確認することをお勧め