基礎からわかる先進国株解説!メリット・デメリットとお勧め投資方法

先進国株式は一般的に、新興国の株式に比べリターンは小さくなりますが、一般的に値動きも安定しており、リスクも小さいといわれています。

そんな先進国株式についての特徴やメリット・デメリット、お勧めの投資戦略について今回は記事にしていきたいと思います。

目次

先進国株式とその基準指標とは?

そもそも「先進国株式」の先進国とは、どのような国を指しているのか知っていますか?

この辺りの定義はかなり曖昧です。

一般的には先進国という言葉は経済や技術が発展しており、国民の生活水準が高い国々の総称として使われています。

一方で、先進国に対してこれからの成長が期待される国々を新興国といいます。

先進国の代表的な国はG7と呼ばれる日本、アメリカ、カナダ、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア及びEUです。

ただし、新興国と同様「この基準を満たせば先進国」という言葉には明確な定義はなく、分類基準は非常に曖昧なのが実情です。

投資信託の世界では、先進国株式、新興国株式などの場合、地域の株価の動きを示す株価指数をベンチマークという指標をもとに投資リターンの目安にしています。

先進国株式の場合、多くの投資信託が目安にしているのが「MSCIコクサイ・インデックス」という株価指数です。

MSCIコクサイ・インデックスは、日本を除く先進国の株価動向を示す代表的なインデックスです。

MSCI指数は、(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社)が算出・公表している指数のことです。

構成国から日本が除かれているのは、日本の投資家が海外の株式に投資する際に参考とする指標としてつくられたからです。(もちろん、日本が含まれた先進国指数もあります)

さらに構成上位の銘柄は、Apple、Microsoft、Amazon、JPモルガン・チェースといったように米国の巨大企業で占められています。

各国の先進国株式に個別で投資をする場合、まずこのMSCIコクサイ・インデックスと投資したい先進国の指標(日本で言う日経平均など)の上昇率が平均より高いのか低いのか、を比較分析することで、その国に今、投資すべきかどうかが分かります。

例えば、先進国のMSCIコクサイ・インデックスが年間5%上昇している中で「この国の株を買いたい!」と取り組む先進国の指標インデックスが同じ時期、10%も上昇しているとします。

そうするとその国は「もうすでに上がりすぎている」可能性が高いです。

これが先進国ではなく、新興国であれば「この国は著しい成長をしているのだな!」ということで「買い」になるかもしれませんが、すでにある程度の成長が終わってしまっている先進国は株価の上昇と成長率が必ず国力の上昇につながっているケースは少なく、大抵の場合が一過性の「バブル」であることがほとんどです。

つまり先進国株においては特に「みんなが買っているときには利益確定して撤収」することが大事です。

先進国投資信託などは、アメリカ株に偏っているものが多い

先進国は新興国に比べて経済が安定しています。冒頭でも先進国株式は一般的に、新興国の株式に比べリターンは小さくなりますが、一般的に値動きも安定しており、リスクも小さいといわれています、といいましたが、本当にそうでしょうか?

実は、先進国に安定を目的で投資信託等を購入、つまり先進国国家それらの株式を全てまとめて購入する、という先進国銘柄で構成された投資信託を購入すると、大抵の場合は値動きも安定しており、リスクが小さくなっているように見えますが、商品設計によっては大きな勘違いです。

一方で、先進国株式の約7割はアメリカが占めています。上位銘柄の多くは米国企業ですし、そもそも絶対数が多いです。

こういった先進国株市況の問題点は「分散投資」です。

投資家の皆様が「私はリスクを取りたくない!世界各国に分散しているから、一つぐらい国がダメになっても大丈夫なように、世界株インデックスを購入しています!」と考えて、運用されている方がいたとします。

その方針自体は、勝てるかどうかはタイミング次第ですが悪くありません。

しかし、先進国株の中で米国株は大きな比率を占めているということは、それを知らずに世界株インデックスに投資して分散しているつもりになっていても、実は米国の経済情勢に投資対象の70%の比率を賭けているということと同義です。

あえてキツイ言い方をするなら「無知は罪なり」なんですが、勉強不足のために気が付けばアメリカにオールインに近い状態で投資をしていた、なんてことにはなりたくないですね。

特に本記事を執筆している2022年現在、は1年以上前からアメリカ株を手放せと学習補助アドバイザリーをしているお客様にはお伝えしています

そのアドバイスを聞いて。

手放した方が「アメリカ株を世界株インデックスに差し替えました!これでいいですよね!」と言われる方がいらっしゃいますが、多少ましになったとはいえ状況は何も変わっていません。

これは「勉強不足」で流すには結構大きなリスクなので、お心当たりがある方は、方針を転換することをお勧めします。

じゃあどうやって、「海外株で分散投資」をするの?

バッサリ言ってしまうと「横着せず、目論見書を読もう」という答えになります。

上場投資信託(ETF)もしくは投資信託は、「このファンドは何に何パーセント投資をしています」等内容の公開が義務付けられており、これが目論見書に記載されています。

安易に投資商品の名前だけで商品購入して、「自分は分散投資できている!」と考えるのはやめにしましょう。怠惰の対価には必ずコスト(お金)がかかります。

時短家具やホームクリーニングで自分の時間をお金で買う、弁護士や税理士、FPといった専門家を雇って自分がゼロから勉強する手間と労力をお金で買う。

こういった「投資」的な怠惰であれば大歓迎ですが、ただただ横着をする怠惰はお勧めいたしません。

良くも悪くもネット時代、昔はそれこそ「プライベートバンク」などにアクセスできなければ国際分散投資なんて夢のまた夢でしたが、現在では簡単に投資が可能です。

10ページ程度の、日本語で書かれた目論見書に目を通すぐらいの手間はかけましょう。

先進国代表01:アメリカ株

先進国の中でも約70%大きな割合を占めているアメリカ株ですが、様々な特徴があります。これを抑えなければ、先進国投資・国際分散投資では勝てません。

一つ目の特徴は日本株より配当金が高いということです。アメリカ株は日本株以上に「会社は社長と従業員、顧客」のものではなく、「オーナー、つまり株主」のものだという意識が強く、他国の株に比べて高配当を受けられます。

日本株の配当金では1%程度の銘柄も多く存在しますが、米国株では3~5%が主流で、中には10%を超える配当利回りの銘柄も存在します。

これは近年の傾向で、配当金を出すということは「法人税が引かれた後の利益から配当を出し、さらにその配当を受け取った投資家が課税される」という2重課税が課されることから、あえて配当を出さずに社内で再投資して「株価を上げることで投資家利益に報いる」という企業が多く存在していたのも、アメリカという国です。

この方針を取っている企業で有名どころだと、投資の神様であるウォーレン・バフェット氏が経営する「バークシャー」社が記憶に新しいです。

次に、アメリカ株には日本株のように「最低〇〇株からしか買えない」という単元制度が無いので、1株から購入することができます。

日本でも1株から購入できるサービスを開始していますが、選べる銘柄が限定されているため、米国株の方が選べる幅が広くなっています。

少額投資で長期的に積み立てることも可能なので、初心者にとって大きなメリットとなります。

三つ目が「良くも悪くも政治に影響される」ということです。

これはアメリカがどうこうというより、代表がこれだけ変わっても景気経済や株価にほぼ影響しない日本が異常なのですが「大統領や中央銀行(FRB)の人事が変われば、株価や経済に大きな影響」が出ます。

つまりここから言えるのは、チャートの形のみで判断する「テクニカル投資」で投資をやっている場合、今までのチャート形態の連続性を無視した「選挙」というファンダメンタル要素が急に相場動向に放り込まれることで、指標等の信憑性が一気に下落するタイミングが存在する、ということです。

日本と違い、資産の半分以上を有価証券で保有しているアメリカにおいては大統領支持率と株価は相関する、といわれるぐらいです。

これをメリット、と捉えるなら「経済に強くリーダーシップがある大統領が出てくれば、株価は上がる!」

デメリットと、とらえるなら「選挙ごとに相場状況を注視しないと、投資方針が決められない!」ということになります。

アメリカのように代表によって経済や株価が大きく変化するのがいいのか、それとも日本のように宇宙と交信している友愛主義者とか、金融セクター出なのに海外で「日本への投資」を公演した瞬間株価が落ちるような人が首相になっても、取り敢えず相場や経済がある程度安定して回る国家運営がいいのか。

この辺りは議論の余地があるところですが、そういった「特性」がアメリカマーケット(もしくは「日本」)にはある、ということだけ押さえておいてください。

ここまでの話だと「日本株よりアメリカ株のほうがいいな!」と思われるかもしれませんが、デメリットや注意点もあります。

まず、日本国内から投資をするには手数料が高いということです。

アメリカ株は、アメリカ現地の手数料と日本に委託する手数料がかかるため日本株の手数料の2倍ほどかかることになってしまいます。

また投資資金も円から米ドルに換える時にも為替手数料がかかるため、日本株より取引コストがかかります。

税金に関しては、確定申告をすれば「租税条約」つまり、税金の二重取りが防止される法令が存在する為、二重課税にはなりませんが手数料は如何ともしがたいです。

また個別銘柄の場合その形式上、為替レートの影響を受けますので、仮に株価が上がったとしても投資した時以上にドル安円高が進んでしまえば、リターンがそれだけ減ってしまいます。

もちろん逆に利益が増えることもあるのですが、海外に投資をする際は「その企業の業績」だけでなく「為替レートの推移予想」も立てないといけないというのが、面倒なところではあります。

これが面倒なら、個別銘柄を避けて、為替変動の影響を受けない「為替ヘッジあり」の投資信託といった選択肢あります。

先進国代表02:中国株

中国株は新興国株に分類されるのか、先進国株に分類されるのか難しい所ではありますが、2019年のIMF(国際通貨基金)の統計によると、中国のGDP(国内総生産)は米国に次いで2位と高く、なおかつ過去数年にわたり成長を続けています。

そんな状況下で、さすがに新興国を自称するのは無理があるだろうと思うので、先進国の株式の双璧をなすものだとして紹介します。

中国株最大の特徴は「中国人が株を売買する市場」と「外国人が株を売買する市場」が分けられている、という点にあります。

日本で言う東京証券取引所である中国のメイン市場「中国本土市場」は、上海および深圳に住所を置き、それぞれに中国国内の投資家のみが取引できる「A株市場」と、外国人投資家にも開放されている「B株市場」に分かれます。

なぜこんな仕組なのかというと、皆さん意外と忘れがちですが、建前上、中国は資本主義ではなく共産主義国家です。

中国株のB株市場というのはもともと、共産主義における「人民元を自由化しない条件下で、外資を導入したい」と考える中国政府の策として創設された市場です。

早い話が「海外資本のお金は欲しい。でも完全に自由に売買できるようにはしたくない」という思惑があったわけです。

皆さんが留意しておかないといけないこと、それは「国の政策の影響を強く受ける一党独裁国家であり、民主主義国家とは、政治経済のプロセスや政策方針が大きく異なる」という大前提があるということです。

国の政策によってある日突然、民間企業の運営に政府が介入してくるといったことも起こり得ますし、昨日までOKだったグレーゾーンがいきなり黒になったりします。

また、情報の信憑性にも問題があります。以前から中国政府が発表する統計データなどは、その信憑性が疑わしいと言われています。中国では政府の公式発表すらも真偽が分からないことも多いですし、場合によっては政府も地方政府の正確な数字を把握していなかったりします。

それに加え、中国企業の情報を集めることは、さらに難易度が高いです。

中国語という壁もありますし、情報を集められたとしても、政府のデータさえ疑わしいのに、各企業の情報となるとさらに真偽の判別が付きづらいです。中国株に投資する際はこれらの注意点があることをよく理解した上で、大きな損失を被ることのないように上手くリスクをコントロールしていく必要があります。

こういった特性から、そもそも「中国株には投資をしない!」と決めている投資家も一定数います。弊社もその一人です。

ただし、投資メリットはそういったリスクを補って余りある「大きなリターン」。一党独裁で突き進むということはつまり「うまくいっているうちは成長スピードも一押し」です。

ですので、データの不確実性や諸々の国家体制に目をつぶって投資をするのか・・・。それともそんなリスクは許容できないと対象からすべて外すのか・・・。悩ましいところではあります。

繰り返しますが、これらを熟考した上で弊社は「投資をしません」。

将来は分からないですけどね。

まとめ

先進国には決まった定義はない

日本を除く先進国インデックスに「MSCIコクサイ・インデックス」

ただしこれはアメリカが7割を占める

アメリカと双璧をなす中国株も癖が強い

一口に「先進国」といっても、投資手法や考え方はいろいろあります。

ましてや新興国以上の「株価上昇」を見込める国はほぼないので、そういったハイリスクハイリターン案件以上に「投資するタイミングと考え方」が大切です。

【2022年12月13日 1次改稿】

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この記事を書いた人

「金融商品を売らない投資と財務の専門家」、株式会社BFPホールディングス 代表取締役。

株式・為替(FX)・不動産・事業投資など、総合的に投資を実行する現役の投資家兼アドバイザーとして活動中。2023年、書籍発行予定。

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